福島のニュース
福島県の対応も断罪 ヨウ素剤投与検討怠る 国会事故調
国会事故調の最終報告書は、福島県の事故対応の問題点にも切り込んだ。事故直後の初動対応の怠慢や防災計画の不備を指摘している。 報告書は初期被ばく対策の問題点として、ヨウ素剤配布をめぐる県の対応に言及。県は原発周辺のモニタリングポストで放射線量を把握していた上、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報を保有して放射能拡散の危険性が分かっていたのに、ヨウ素剤を住民に配布して服用を促す検討を怠ったとしている。 原子力安全委員会は昨年3月16日にヨウ素剤の配布と服用を文書で指示したが、県が文書の存在に気付いたのは2日後と遅れた。県は事故調に「当時は大量の文書がファクスで届き、整理に混乱があった」と説明した。 双葉、富岡、大熊、三春の4町は自主判断で服用を住民に指示し、いわき市と楢葉町も配布した。報告書は「初期被ばくの低減措置が取られなかった責任は政府と原子力安全委のほか、ヨウ素剤投与を指示しなかった県知事にある」と断じた。 県の地域防災計画も俎上(そじょう)に上がった。市町村をまたぐ広域避難は県が避難計画を作成することになっていたが、県は今回、避難の準備に主導的な役割を果たさなかった。報告書は「県が避難誘導していれば住民の負担を緩和できた。地域防災計画の準備、想定不足に問題があった」とした。 原発20キロ圏内にある医療機関の入院患者が取り残されたり、避難中に死亡したりした問題でも県の責任が問われた。 県は患者を避難所に移すよう医療機関に指示したが、報告書は「その後の医療機関の確保を支援しなかった。患者の避難に主体的な姿勢でなかった」と批判した。 報告書は「県の防災体制は原子力災害、地震、津波災害は同時発生しない前提に基づいており、初動対応に大きな困難を伴った」と結論付けた。 佐藤雄平知事は「県の対応に関する調査結果についてはしっかりと受け止め検証を重ねた上で、まずは初動対応に関する地域防災計画の見直しに反映させていきたい」との談話を出した。
2012年07月06日金曜日
|
|