召喚の儀、その2
思わず惚けてしまったルイズの反応は至極当然のものだと言えよう
自らが目の前の存在を召喚した、そんなことすら忘れるほどに少女は気高く、尊くーーーーーなにより自分には釣り合わない
これならばまだクラスメートのモンモランシーのように、カエルでも召喚されていた方が惨めではあるかもしれないが遥かに気が楽であったことだろう
しかしルイズは少女を召喚した、召喚してしまった。そのことに対して激しく気後れしてしまう
「…………聞いているのですか、マスター?」
おそらく少女からすれば主であるマスターからの返答が不在なのを訝しんで、純粋な質問をしただけなのだろう
しかしルイズにはそれが王族に対する不敬を働いてしまったように思え、余計に緊張が高まり会話どころではない
そんな中、いち早く復帰したのは場の監督を任されていた教師コルベールであった
「お待ちください!」
声を荒げ、使い魔の少女の下へと駆け寄る
「ーーーーー何か用か、メイガス」
先ほどルイズにしたのと同じく右手をコルベールへと向ける、それに対してコルベールの「戦士」としての勘が警報を鳴らす
これはダメだ、逆らってはいけない
そう理性が結論付けるより早く、それを察知していた本能に従い、立ち止まって膝を付く
「申し訳ありません、私コルベールと申す者。このトリスティン魔法学園にて教壇の鞭を取っております。どこのどなたか存じませんが相当に高名なお方かと思われますが如何でしょう」
コルベールの言葉に対して変わらず右手を向けたまま、少女は淡々と答える
「ふむ、貴殿は教師だったか。そして確かに私はそれなりには名の知れ渡った騎士だと自負している、そしてブリテンを背負いし王だ」
告げられた言葉に、今の今まで水を打ったように静まり返っていた周囲が喧騒を取り戻す
「王族!?」「ブリテンって何処だ?」「可憐だ………」など反応は様々だ
「こ、これは申し訳ありません! 差し出がましい事ではありますが、王よ。あなた様の名前を拝聴させていただいてよろしいでしょうか」
暫し思案した後、鈴の音のような美しく響き渡る声で、少女は己が名を告げた
「ーーーーーーアルトリア・ペンドラゴンだ、メイガス」
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