電気ショックで外来魚駆除 大物標的、琵琶湖の生態系守れ 滋賀
産経新聞 7月8日(日)7時55分配信
■県、専用ボート導入
琵琶湖の生態系に影響を与えるブラックバスなどの外来魚を駆除するため、県は水中に電気を流して外来魚を気絶させて捕獲する「電気ショッカーボート」を導入した。産卵期に卵を守るため浅瀬に近づく外来魚を一網打尽にする作戦で、これまで網や銛(もり)での捕獲が難しかった親魚などの大物を標的にしている。
琵琶湖では20〜30年前から北米原産のブラックバスやブルーギルなどの外来魚が大量に繁殖し、固有種への食害が確認されるようになった。特にニゴロブナが加速度的に減少。昭和55年に約900トンだった漁獲量は、平成5年以降は100トン前後で推移している。
これを受け、県は平成14年から県漁連に外来魚の駆除1キロにつき300円の補助を開始。毎年300〜500トンを駆除した結果、外来魚の推定生息量は19年から5年連続で減少しており、23年4月の推定生息量は1330トンで、ピークだった18年4月の1920トンから約3割減った。
一方、従来は外来魚を1匹ずつ突き刺す銛や、編み目に挟んで捕獲する刺し網で駆除しており、どちらも体長の大きい親魚を大量に狙うことは不可能だった。
そこで県は、より効果的な手段として、諏訪湖(長野県)や皇居の堀など県外で活用されていた電気ショッカーボートに着目。ボートを借りて琵琶湖で試験運転したところ、大型の外来魚の捕獲に成功したため、今年度に約570万円かけて1台を導入した。
電気ショッカーボートは、前方に電極が2本とりつけてあり、水中に垂らして水深2メートルの範囲に500〜千ボルトの電圧をかけることができる。感電して気絶し、水面に浮かび上がってきた魚の中から外来魚だけを選んで網で捕獲する。気絶した魚は数分すると回復するため、固有種の生態に影響はないという。
先月7日に大津市の大津港で行ったデモンストレーションでは、15分でブラックバスとブルーギル約40匹を捕獲。体長45センチの大物も捕まえた。
県は今後、外来魚が隠れる水草が多く、遠浅の南湖でボートを活用する方針。県漁連に委託し、放電しやすい水温(15〜25度)になる初夏や秋などにほぼ毎日運行させる。1時間で平均約5キロの親魚の捕獲を見込んでおり、銛や刺し網と比べて高い効果が期待できる。
県水産課の担当者は「電流を流すと外来魚ばかり浮かんでくるのが琵琶湖の現状。ボートで外来魚を一掃し、固有種がたくさん生息するかつての琵琶湖を取り戻したい」と話している。
最終更新:7月8日(日)12時13分
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