「いのち」の樹よ、再び 左京で植樹「Xマス、新たな光を」
京都市左京区の日本バプテスト病院で、医師や看護師らが「いのちの樹(き)」と名付けたヒノキの苗木を育て始めた。開院時から50年以上、クリスマスツリーとして親しまれた大木を新病棟建設工事で伐採したが、その枝から2本の挿し木が根を張った。入院病棟から見える斜面に植え、今はまだ20センチ程度の苗木が再びツリーになる日を思い描いている。
同病院は1955年に開院し、当時から病院玄関前に高さ約30メートルのヒノキがそびえていた。毎年12月には電飾を施し、温かな光のツリーとして、患者の心を和ませてきた。
2005年から新病棟建設に着工し、09年夏に伐採される直前には職員や患者がお別れ会を開き、長年の感謝の気持ちをヒノキの前で語り合った。
伐採時に種と枝を集め、病院敷地内で育成を試みるとともに、中京区の造園業者に一部を託した。種は発芽せず、病院での挿し木も夏の猛暑で枯れたが、造園業者に預けたうちの2本が根付いた。
体の痛みを和らげながら終末期を生きるホスピスの入院患者や、難しい治療を受けて元気になろうとする子どもがいる新病棟北側の斜面で育てることを決め、今月1日、医師や看護師、事務職員が集まって植樹した。
人の思いや営みが世代を超えて受け継がれる象徴として「いのちの樹」と名付けた。
18歳の時から同病院に勤め、今は隣接する日本バプテスト看護専門学校教諭の小網美恵さん(47)は「冬に丸い明かりに彩られたヒノキはとてもきれいだった。苗木が立派なツリーになるには数十年かかるけど、新たな歴史を刻んでほしい」と成長を見守っている。
【 2011年11月07日 14時37分 】
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