柏−名古屋 前半9分、ドリブルで一気に3人を抜き去り先制点をアシストした永井(右)(内山田正夫撮影)(右)(上)前半、先制のゴールを決め喜ぶケネディ(奥)=国立競技場で
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名古屋グランパスは後半、オウンゴールを誘って柏に勝ち越し、勝ち点を28とし、一気に4位に浮上した。仙台は神戸を下し、同35で首位を守って前半戦を折り返し。広島は磐田に快勝し、同33で2位。浦和は鳥栖を振り切り、同30で3位に上がった。
◆名古屋2−1柏
7分38秒の長いロスタイムの果てに、グランパス勝利を告げるホイッスルがようやく響く。昨季王者・柏との国立競技場での雨中の激戦を制し、一気に4位に浮上。立役者は、前節まで4戦6発と絶好調のロンドン五輪代表FW永井と、8試合ぶりのゴールでようやく復活を知らしめた2年連続得点王のFWケネディだ。
2人の見せ場は前半9分だった。ペナルティーエリア外でこぼれ球を拾った永井がスペースにボールを出し、驚異的なスピードでDF3人の外側を回り込むようにぶち抜く。この“1人スルーパス”でGK菅野まで釣り出すと、右足アウトサイドで中央にラストパス。フリーになったケネディは、回転しながら技ありの左足ヒールで無人のゴールに流し込んだ。
永井にとってはようやく果たした御礼アシストだ。五輪メンバー入りを確定させた6得点中4得点がケネディのアシストで、「恩返しですね」と笑った。一方のケネディも試合前日に「永井にはたくさんアシストしたし、次は僕の番だろう。たぶん明日だ」と話していたが、予言通りの一撃となった。
2日の五輪メンバー発表後、永井は愛知県庁や地元3市役所への表敬訪問が相次いだ。「慣れないことをやって、緊張の中で1週間を過ごしてきた」。それでもパフォーマンスは落ちない。アシストの瞬間には菅野のスパイクが右足首に刺さり、看板を乗り越えてもん絶。周囲をヒヤリとさせたが、「看板にぶつかった? そんなにドジじゃない」と笑い飛ばした。
「意識していた」というチームタイ記録の5戦連発はならなかったが、秋に優勝を争うであろう柏を相手に3戦ぶり白星の価値は大きい。「次の仙台戦までしかチームに協力できないんで、そこまで全力でがんばりたい」。チームを離れる五輪期間まで残り1試合。置き土産は、勝ち点「6」しかない。 (宮崎厚志)
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