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「LINEで逮捕者」と読売新聞が報道 “政府が規制に乗り出す”との憶測も

7月6日、「人気のLINEを出会い系に悪用」との記事を掲載したのが読売新聞。記事によると「LINEで知り合った17歳の少女に睡眠薬を飲ませ乱暴した32歳の無職の男を、京都府警が準強姦の容疑で逮捕した」とのこと。男は5月15日夜、乗用車内で女子高生に睡眠薬入りのジュースを飲ませて眠らせた後、車内で暴行。携帯電話を奪った疑いという。LINEの出会い目的の使用に関しては当サイトでは昨年7月21日の時点で記事化。その後も継続的にこの話題を取り上げてきたが、危惧されていた事態がついに現実のものになってしまったと言える。

LINEは7月4日に初のカンファレンスで新プラットフォームサービス「LINE Channel」を発表したばかり。運営元のNHN Japan・森川亮社長は、LINEが開始1年で世界4500万ユーザーを獲得したことや、国内のスマホユーザーの約44%に相当する2000万ユーザーが利用していることなどを発表。質疑応答のコーナーでは「年内に世界1億ユーザーを目指し、Facebookも超えたい」との思いも明らかにした。しかし、そんな発表に泥を塗るかたちになったのが、今回の報道だった。

ネット上の反応を見てみると、

はじめから予想されること。企業として甘い。
出会い系は身分証明書必要なのになんでLINEは必要ないんだ。(中略)薄汚いおっさんに汚される前に国が規制すべきだろ。

といった声の一方、

LINEのせいじゃないし…これだけアナウンスしてるんだから自己責任でお互い悪いって事にすべき。。
出会い目的で、掲示板で出会ってLINEで話をするのが悪用と報ずるなら、電車で会いに行ったら電車を悪用したと報じてください。

といった具合に「LINE=悪」と決め付けるような報道に疑問を呈する声もある。しかし、ここで注目したいのは、千葉大学教育学部教授・藤川大祐氏の下記のようなツイート。

「だんだん問題が大きくなってきました。LINEのIDのやりとりを防ぐのは非常に困難。出会いの誘いに対応できない子どもにLINE等のアプリ利用は危険すぎます」

藤川氏は文部科学省の「ネット安全安心全国推進会議」にも参加するなど、言わばネットに関する政府側の御意見番的存在だ。

メディア業界の内部では今回の報道を契機に、政府がLINEに限らずスマホの利用に関する規制に乗り出すのではといった観測が流れている。「気になるのは、記事が掲載されたタイミング。事件発生が5月15日で、記事の掲載が7月6日というのは、やや不自然な気がします。今回の読売の記事は警察からの意図的なリークに基づき、執筆されたのではないかという憶測も流れています」と語るのは某大手新聞の社会部記者。

奇しくも同じ7月6日には、政府内部で「スマホ向けのフィルタリング強化」を決定する会合が開催。野田佳彦首相が本部長を務める「子どもの健全な育成方法を検討する会議」で、首相は「若者を有害情報から守る取り組みに遺漏があってはならない」と述べ、対策の具体化を急ぐよう指示した。

ネットのコミュニケーションの進化には、常に光と影の部分がつきまとう。LINEの出会い系目的での利用が進んでいることは事実だが、ユーザーからの声にもあるように「LINEは単なるインフラ」であり、それを悪と決めつけることでは何も問題は解決しないだろう。先月20日には議論を呼んでいた「違法ダウンロード刑事罰化」がほぼ強行採決のかたちで可決されるなど、このところインターネットの自由をめぐる環境は厳しさを増している。LINEに限らず国家による安易なスマホ規制が進むことは警戒したい。(EXドロイド編集部)

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