コメンテーターズ　柏の持ち味消したＭＦの守備

　数少ないチャンスを生かしたグランパスが、しぶとく勝ったゲームだった。スリッピーなピッチコンディションで思ったようにボールを動かせないなかで、セットプレーと、こぼれ球をどれだけ拾えるかが勝負の分かれ目だった。

　特に中盤の３人、小川、藤本、ダニルソンの守備の意識が高く、柏の攻撃を自由にさせなかったのが大きい。柏は、ボールを奪った直後に効果的なパスをつなげるのが長所。グランパスの中盤の３人は、攻撃から守備に素早く切り替えて、柏の持ち味を消した。小川はパスミスが目立ったものの、ボールの出どころを粘り強くつぶした。消耗戦のような展開では、後半２０分すぎから運動量が落ちてくるのだが、藤本も前線からの積極的な守備を最後まで続けた。

　ただ、グランパスは本来、ボール支配を前提に、リズム良くパスを回して攻め切るのが持ち味。その点では、攻撃の精度をさらに上げていく必要がある。　（元日本代表、グランパスＭＦ望月重良）