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「………? 何処でしょう、ここ」
ふと気が付いたらまったく知らない場所にいた。そんな経験はありますか? 私は今それを経験しています。
私は先程まで学校の帰り道に親友と話をしながら歩いていたはずなのですが、今は鬱蒼と茂った森と思われる場所にいます……理解できません。
「ふむ、何でしょうね。誘拐や夢の類は無いでしょう。夢と言うにはあまりにも現実的すぎますし、誰も何もないというのを見ても誘拐では無いでしょう」
私は右手を顎にやって思案してみます。
親友のイタズラ? 否、ここまで大掛かりなのは不可能でしょう。第一に私の住んでいたところは都市部なのでこんな自然はよほど離れなければ存在しない。
何かの撮影に巻き込まれた? 否、それでも周りに人がいないのはおかしい。それ以前にこのように広い森林があれば遠目にでも気付くはずだ。
………考えたくありませんが、いわゆる神隠しなどと言った現象なのでしょうか。世界中にそういった話は確かに実在しますし、戻ってこない人などもいるようです。ですから私もそれに巻き込まれたのでしょうか?
「困りましたね……」
そしてふと気付く。私の声が高いことに、先程から少し目線が高いことに、そしてーーあるべき場所にあるべき物が無いことに。
それに気付いた私は走り出す。とにかく全力で、姿を確認するものを探しに行く。ーーその時は夢中で気付きませんでしたが、私のスピードが尋常でなく、周りの木々が衝撃波でなぎ倒されていくのには気付きませんでした。
そして数分ほど走った頃でしょうか、ようやく私はお目当てのものを見つけました。それはとても美しく、キラキラと日光を反射している湖でした。私はすぐさま駆け寄って覗き込み、自身の姿を見ました。
「.........!!!」
驚愕。空いた口が塞がらないとは正にこの事を言うのでしょう、私は思わず覗き込んだ体制で呆然としてしまいました。
何故ならそこに映っていたのは……大きな布地で眼を覆った、美しい紫の長髪の、ボディコンを着用した女性だったからです。
困惑する私の頭はただひたすらに色々な事を考える。
(何故こうなったのでしょう? 私の名前は月縛天。性別は『男』です。……しかし、今の私はどうやら『女』となっているようですね。しかもただの性転換などではなく全く別の人物となったところを見るに、憑依といったものでしょうか? ……というか、この身体は何故目隠しをしているのに外が見えるのでしょう。不思議な身体ですね。それに先程からとても力が湧いてきますし。あと、何でしょう。何だか身体の中を渦巻くナニカの感覚があるのですが……。不確かで、それでいて明確な存在感を持ったナニカの感覚)
「魔力……? 何ですかコレは、"マスター" "聖杯戦争" "偽臣の書" "間桐桜" "宝具" ……?」
私の頭に何やら知らない単語がーーいえ、既に知る単語となったのですがーー流れてきます。それによるとこの身体はやはり私のものではないようで、かなりスゴイものらしいです。
というかそれ以前に驚いたのは、この身体の本当の持ち主の名がメデューサだと言うのです。
メデューサ。それは古代ギリシャの神話において有名な蛇の怪物の名前。眼を合わせれば石となり、頭には髪の代わりに無数の蛇が蠢いているという怪物。………そんな存在に何故、私が成り代わっているのかという疑問は尽きませんが、とりあえず現状の打開にはならなそうです。
しばらくの困惑を置いて私は意識を覚醒させます。先程までの思考の底より戻った私はまず辺りの状況確認をしようとして、右に跳んだ。
おそらくそれはこの身体に染み付いた反射的な動きだったのでしょうが、今の私はそれに心底感謝した。
何故なら私が先程までいた場所にはとても深く刻まれた、文字通り“爪痕"があったからだ。
「………何ですか、これ。不思議体験Ver.憑依の次はVer.ふしぎ発見ですか」
口調こそ冷静であるが、私の心の臓はとても煩く早鐘を打っている。そんな私の視線の先にいるのは………小さなライオンとでも形容すべき獣だったのだから。
その状況を第三者が見ればとても微笑ましく映るでしょう。しかし当事者である私からしたらたまったものではありません。何故ならば、その獣ーーー今はちびらいおん、とでも呼称しましょうーーーの身体から放たれた爪が、地面をおよそ直径3~5mは抉ったのだから。
「これは………!」
それが眼に入った瞬間、私はそのちびらいおんの懐へと瞬時に潜り込もうとしましたが、そこは野生の獣。天性の勘により後ろへと飛び退いて回避されました。
そしてちびらいおんがかつていた場所に両足をついた私はそちらの方向へと眼をやる。するとちびらいおんはこちらに向かって爪を振るおうとしている所でした。ですから私はとっさにしゃがみ込んで頭上を通り過ぎるのを待ちます。
そうして私の後ろへと飛んで行ったちびらいおんを、私は背後から思い切り掴んでーーーそのまま抱き締めました。
何だかちびらいおんが驚いてガウガウ叫んでますが知りません。私は先ほどあなたを見たときから興奮していたんですから。
「もふもふです………小っちゃくて可愛いは絶対正義ですよ」
そう。私こと月縛天は可愛いものが大好きなのです。………女っぽいとか言った人、少し、顔貸してください。
その後、我を忘れて数十分はモフモフし続けていたら、ちびらいおんの方も敵意が薄れてきたのかこちらに懐いてきました。具体的には顔を舐めてくれたりお手してくれたりです。………なんだか、記憶の中にある“セイバー"さんとイメージが被りました。
すると、
「レグルスー? 何処行ったのかな………出ておいでー」
少し遠く、しかし走ればすぐに着きそうな距離から少女の声が聞こえてきました。その声を聞いた途端にちびらいおんが私の腕から抜け出してその方向へと走って行きました。飼い主でしょうか? あんなに可愛い生物ですから誰かが飼っていても不思議ではないですしね。そう思ってとりあえず私もそちらへと向かいます。
「あっ、レグルス! もう、何処行ってたの? 心配したんだよ?」
「ガゥッガウッ!」
………微笑ましいですね~。可愛らしい少女と可愛いちびらいおんの戯れる姿というのは。とても絵になります。私だったら財を尽くして買わせていただきますね、その絵。
「…………ん?」
「おや」
これが、私と彼女ーーーラナ・クリスティン・フォースターとの初邂逅でした。
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