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かなりのご都合主義になりました…。
6 予習
 翌日、酷い筋肉痛に悩まされながらも起床。
昨日何も整理せずに寝たから部屋は荷物に溢れている。
面倒だけど放置も出来ないから仕方なく荷物の整理をしとく。
先ずは包装紙を剥ぎ、中身を出す。
そして昨日教材と一緒に買ったトランクの中に詰める。
スーツケースの倍ぐらいデカイトランクで、携行性は考えていないようだ。
一応キャリー(車輪)が付いてるから持ち運びが出来ない訳では無いが、スーツケースのような使い勝手は無い。
しかし堅い木で出来ているから頑丈で非常に壊れにくい。

こんなデカいトランクでも着替えや私物、教科書、教材など様々な物を詰めるから普通ならパンパンになるらしいが、俺はコピーで着替えとかは出せるから制服や教科書、教材のみを入れるので結構余裕がある。
後々はトランクからスーツケースに変えよう。
海外旅行用のスーツケースなら大きくて結構入り、頑丈だし、持ち運びしても不自然じゃない。



 荷物の整理が終わり、トランクに荷物を全て詰めて何時でも行ける準備を整えた。
そして身一つで駅に向かい、電車に乗ってロンドンに行き、漏れ鍋に向かった。
昨日行ったから道は覚えている。
そして漏れ鍋に入りホグワーツ特急が出る前日まで宿を取った。
記帳の際には流石の魔法界でも11歳の子供が宿を取る事を渋ったが、「マグルの孤児院は居場所が無くて辛い」と泣き落としandハリーポッターの名前を使って何とか口説き落とした。
まぁ宿泊代として余分に金を渡したのも大きかっただろうが。

何故こんなことをするのかと言うと、魔法の練習をするからだ。
孤児院の自室でも出来なくは無いが、危険性が高いし、秘匿する必要があるから面倒だ。
だからギリ魔法界の漏れ鍋やダイアゴン横丁で練習する。
本来未成年魔法使いは学校外で魔法を使ってはいけないが、結構制限は緩い。
だって原作でハーマイオニーが学校が始まる前に魔法を練習してたし、他の家庭でも絶対魔法を使ってる。
11のガキが杖なんか手に入れたら使わずにはいられない。
多分マグル界出身者は魔法に触れるためにある程度は見逃されるのだろうし、魔法界出身者の場合は親の監督下にあるからそこまで厳しくは言わないのだろう。
コピーした本の知識によれば、未成年魔法使いには「匂い」が着いていて学校外で魔法を使えば魔法省が探知するらしいが、その探知精度はかなりアバウト。
マグル界で使ったなら誰か分かるが、魔法界ではあんまり分からない。
何故ならマグル界では魔法はほとんど無いから誰が使ったか簡単に区別出来るが、魔法界では魔法は溢れているから未成年魔法使いの魔法かは分かりにくい。
「秘密の部屋」の時に屋敷しもべ妖精のドビーの魔法をハリーの魔法と勘違いして警告文が来た程だ。
だから魔法界なら比較的誤魔化せる。
それに今なら魔法省もまだそんなに俺に注目してないから監視体制が薄い。
「不死鳥の騎士団」の時に吸魂鬼に対して守護霊の呪文を使ったら即座に退学命令が来たのは前巻でヴォルデモートが復活したと言ってしまったために監視されていたからだ。
あの時は悪いイメージを持たれていたからダメだったが、今はまだ良いイメージを持たれているから見つかっても見逃してくれるかも知れないしな。



 案内された部屋はあんまり広くは無いが、孤児院の自室よりは全然広い。
学校が始まるまで1ヶ月以上ある。
この期間を無駄にする理由は無い。
知識は既に入っているから後は実践あるのみ。
幸いにも両親は首席を取った事がある程の才能があった。
ならその息子である俺に引き継がれていても不思議は無い。
原作でもハリーの成績は悪く無かった筈。
あんまり真面目に勉強をしなかったから微妙な成績だったが、ちゃんとやればそこそこはいけた。
それに両親からの才能の他にもハリーの中にはヴォルデモートの一部も入っている。
なら更に才能はある筈。
分霊箱だから何れは破壊するが、それまでは目一杯利用させて貰おう。



 早速先ずは簡単なのから。
浮遊呪文だ。
発音が難しく失敗すると酷いが、1年生で習う呪文だからそんなに難しく無い筈。
テキストや映画版の動きを真似て杖を振り、羽根に向かって
「ウィンガーディアム・レビオーサ」
と唱えた。
すると羽根はフワリと浮かび、俺の指示通りに上昇したり下降した。
よし、成功だ。
まさか一発で成功するとは思わなかったが、集中してやれば出来るらしい。
それと魔法を使った瞬間、自分の魔力の動きを感じる事が出来た。
これならもしかしてと思い、もしも監視されていても良いように一応杖は握るが、魔力は一切込めずに羽根に向かって浮遊呪文をコピーした。
すると羽根はフワリと浮かび、俺の指示通りに浮く。
コピーも出来るようだな。
今までの経験から目に見えない物はコピー出来なかったから、てっきり光線とかが出ない魔法はコピー出来ないと思っていた。
しかし魔力の動きを感じる事が出来るならコピーが可能らしい。
でもこれだと多分、自分の魔力は感じられても他人のは無理だろうな。
魔力は見える物じゃ無いし、他人の魔力を感じる事は出来ないからコピー出来ない。
光線が出れば別だろうが、浮遊呪文みたいに何も見えない魔法のコピーは不可能だ。
残念ながら自分で覚えるしか無いようだ。
まぁ赤の他人に「○○の魔法見せて」なんて言った所で見せてくれる訳無いがな。
服従の呪文を覚えれば出来そうだけどあれはレベルが高いからまだ当分は無理だ。
魔法は失敗すると何が起きるか分からないから慎重に練習する。
銃みたいに暴発でもされたら叶わない。



 他にも練習して解錠や修復、武装解除など1年生用の呪文は粗方覚えたしコピーもした。
通常ならぶっ倒れるぐらい毎日魔力を使ったが、魔力もいくらでもコピー出来るから疲れる事は無い。

ちなみにクィレルに会わないように誕生日は部屋に引きこもった。
まだヴォルデモートはクィレルにとりついてないから触っても死なない。
だったら会う意味が無いから無視だ。


練習の合間にダイアゴン横丁に行き、前回コピーしてなかった物をコピーして回る。
出来るならノクターン横丁にも行きたかったが、まだロクな呪文も覚えてないから行くには早い。
少なくとも攻撃呪文と防御呪文を覚えなきゃな。
まだ武装解除しか使えないし。



 1年生用の呪文を覚えるのに一月もかかった。
てっきり基本ばかりだから簡単に覚えられると思ったが、やはりそう簡単にはいかないようだ。
でもまぁ本来なら1年かけて習得するのを1ヶ月で習得出来たんだからやはり才能があるらしい。
それに漏れ鍋では使える呪文は制限されるから丁度良かった。
幾ら魔法界でも大きな音をたてると追い出されかねない。
後の練習はホグワーツに行ってからだな。
ホグワーツなら魔法使いたい放題だし。



 8月下旬になり、ホグワーツ入学が近付いてきたせいか、最近ダイアゴン横丁に新入生らしきガキを連れた家族が増えてきた。
そろそろ俺も準備するかと思い、電車で孤児院に帰った。
そして夜になったらトランクと鳥籠を持って孤児院を出て、人通りが少ない地域に来たら杖を掲げた。
するとバーン! という音とともに3階立ての派手なバスが出てきた。
フロントガラスの上に金文字で「ナイトバス」と書いてある。
すると紫色の制服を着た車掌がバスから飛び降り
「『ナイト・バス』がお迎えに来ました。
迷子の魔法使い、魔女たちの緊急お助けバスです。杖腕を差し出せば参じます。ご乗車ください。
そうすればどこなりとお望みの場所までお連れします。
わたしはクリス・パーカー、車掌として今夜勤めます」
職業口調で男が話す。
原作と違って中年男性だ。
こいつが引退してスタン・シャンパイクが就いたのか?
「ロンドンの漏れ鍋まで幾らですか?」
「十一シックルです。
十三出せば暖かいココアが、十五なら湯たんぽと好きな色の歯ブラシが付きます」
ここは原作と同じらしいな。
俺はポケットから11シックルを出して支払った。
ココアなんかいらないし、湯たんぽや歯ブラシも必要無い。
車掌は金を受け取ると俺の荷物と鳥籠を持ち、バスに運んだ。
バスの中はベッドが6台並んでいて、一番奥のベッドには老人の魔法使いが寝てた。
車掌は奥から2番目のベッドの下にトランクを押し込み、鳥籠をベッドの脇に置いた。
「ここが貴方の席です」
それだけ言って運転席の方に向かった。
スタンと違って会話はしないらしい。
まぁそっちの方が有難いがな。

またバーン!という音がしてバスが発車した。
反動でよろけたがなんとか踏ん張り、倒れそうだった鳥籠を掴んで止める。
リシュリューが少し騒いだが、なだめると直ぐに落ち着く。
本当、魔法界のふくろうって頭良すぎ。
完璧にこっちの言葉を理解しているから躾が楽だ。


バスは間もなく目的地の漏れ鍋に着き、車掌の手伝いでトランクをバスから下ろすとバスは直ぐに行った。
それから俺はトランクと鳥籠を持って漏れ鍋の部屋に入り、とりあえず鳥籠からリシュリューを出してやった。
するとリシュリューは窓から外に飛び立っていった。
多分ネズミや小動物を取りに行ったんだろう。
ちなみに夏休みの最中は基本的にリシュリューは放し飼いだった。
流石にずっと鳥籠に入れて孤児院に置いとく事は出来ないし。
だから初日に放しといた。
すると俺が漏れ鍋に移ってもちゃんと帰って来た。
たまに小動物の死骸を持ってきて邪魔だったが、とりあえず信頼関係を築くためにふくろうの飼育本に書いてあった通りに接した。


これで入学準備は整った。
後はキングス・クロス駅のホグワーツ特急に乗るだけだ。
念のため早目に行こう。
好きな座席に座りたいし、原作みたいに慌てたくないからな。


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