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 さて、少しこの世界の仕様とかについて少し話そう。
 俺のことはユグドラシルじゃ長いだろうから気軽にユーグと呼んでくれ。
 まず最初に、わかっているだろうがこの世界はRPGのようにレベル制で強くなることが出来る。レベルが上がれば能力、スキルを手に入れることが出来る。
 レベルを上げるには経験値を得ることの一択だ。ポ○モンの青いアメちゃんみたいな道具はありません!
 俺の経験値を得る方法は五つ。戦闘、ダンジョン構築作業、魔物召喚、魔物の戦闘と知的行動だ。
 戦闘で経験値を得る場合、勝っても勝たなくても経験値は得られる。もちろん勝ったほうが寄り多くの経験値を得られるが。
 スキルはレベルアップ以外に所持スキルの多用や自身の行動パターンによって新たに開花することもある。称号も同じだ。持っている称号によっては特殊な効果があるものも存在するらしい。
 これはまあいいだろう。
 次に魔物についてだ。
 俺の兵力として数えられている魔物(以降魔物兵)はすべて例外なく俺に従う。忠誠を持っているかは別としてだ。
 そして魔物兵の手に入れた経験値の五割は俺のところに流れ込んでくる。
 魔物にもステータスがあって、称号を手に入れることだってある。
 進化する魔物も存在するらしい。逆に進化どころか成長すらしない魔物も存在するんだが。
 ちなみに成長限界とは最大レベルのことだ、この種族はここまでしかレベルが上がらないよ、と言う目印みたいなものだ。普通、ステータスでは知ることは出来ないが。
 魔物も生物、食事が必要だ。食べなければ餓死してしまう。極限状態まで行けば共食いだってする。
 あとは、召喚した魔物より繁殖で産まれた魔物のほうが強いってところだ。
 そしてダンジョン。細かく言えば<静寂なる地下樹海>。
 このダンジョンが広くなったり、生息する魔物兵が増えたり、設備が出来たりすればわずかながら経験値が入る。
 さらにこの<静寂なる地下樹海>にはいくつか特別な特性がある。
 まずは水だ。ついさっき<環境>の項目に<生命の水源>が追加された。
 これは言ってしまえば長寿と妙薬の水だ。”人”が飲めば百五十歳までは生きれるようになり、万病を癒すらしい。
 次に植生。外の世界とは隔絶されていることは言うまでもないが、その要因もあって外には存在しない植物が存在する。植物系の魔物の一部がそうだ。
 ダンジョンのことはまたなにかあったら追加で話そう。
 一番重要なのはこの世界ついてだ。
 まず、この世界は中世ヨーロッパ風の文化が栄えている。剣と魔法が発展した世界だ。
 そして、エルフやドワーフなどの亜人が存在する。
 面白いことにエルフは老化が止まる種族、として認識されている。つまり、人間と寿命は大して変わらないと言うことだ。
 エルフとドワーフ以外に他に主な亜人を上げていくと、ワーキャット、ワーウルフ、マーメイド、ダークエルフ、リザードマン、セレスティア、ディアボロスの計九種類だ。
 人の形をした魔物ならいるが、これらは知能が低く言葉を話せない。
 その点、民草は知能が高いため進化したら亜人に分類できるようになるかもしれないな。
 亜人も人に分類されている、種族間対立はあっても差別とかは存在しないようだ。
 そして、信仰されている神に付いて。
 この世界で信仰されている神話は唯一つ。神話体系的にはギリシャ神話のようなものに近い。
 火の神イリュガー、水の神オルディラス、風の神アルバロス、土の神ヴォルガード、光の神セルファエル、闇の神テトファニアル、戦の神ウォルヴァイス、死の神ヘルゼルラウゼル、音の神エルファニアン、そして無の神ゼロロ。
 この十柱の神がそれぞれの神殿で信仰されているらしい。
 そしてそれに仕える神殿の神官職の星騎士。聖じゃなく星だ。誤字じゃないぞ?
 もう一つの神官職は星術師。正直こっちのほうが神官って感じだ。魔術師だし。
 まあ用は神官職は騎士(ナイト)魔術師(ウィザード)でなければならないということだ。

 『ご主人様、お茶です』

 手話で意思表示してくるリーナ。あ、最初に生み出した<民草>につけた名前ね。名前があったほうが識別しやすいだろう?
 ちなみになんでお茶があるかというと、<環境>の項目に<地下草>なるものが追加されたから色々試行錯誤してみたらいい草茶になった。緑茶に近い味がする。

 「ごくろう」

 俺がお礼を言うとはリーナは嬉しそうに微笑んで下がっていった。中々可愛いところがあるものだ。
 ふぅ・・・・・・茶葉でも探してみるか。紅茶が恋しい。





















 『その森、地中深くにあり』

 『苔や(きのこ)蔓延(はびこ)り、光届かぬ場所で草木が茂る』

 『その森の染まりし水、人の万病を治し、生命(いのち)を伸ばす』

 『森の中、蠢く草木と蟲が潜み、獲物が現れる日を待つ』

 『その森の奥深く、大いなる存在が腰を据えている』

 『大いなる存在、蟲と草木を従えて静寂の中で暇を持て余していることだろう』

 『その暇、無くなることがなければいずれ災厄を招かん』

 『災厄を嫌わば、大いなる存在の暇を取り除かねばならん』

 『森の入り口現る時、集い、森を進むがいい』

 『森の脅威を退け、大いなる存在と出くわした時』

 『暇を取り除いてやれ』

 『<静寂(せいじゃく)なる地下樹海(ちかじゅかい)>の奥底で<樹海(じゅかい)()べる群蟲王(ぐんちゅうおう)>は暇を持て余していることだろう』


















 星歴918年。世界中の国々の神殿にてお告げがあった。
 およそ五百年ぶりのお告げに世界中が沸くも、内容の不可解さに皆、首を傾げるのであった。

 地中深くの森とは一体なんなのか?

 多くの国の指導者たちはこれを大規模な迷宮(ダンジョン)発生の前兆なのではないかと結論付けた。
 <静寂なる地下樹海>の入り口がどこから現れるのかは各神殿の星騎士団が調査中とのこと。













 私の名はミランダ・ストリンガー。代々星騎士を輩出してきた家系の出だ。種族は白翼のセレスティア。
 ちなみにセレスティアには白翼、黒翼、紅翼、金翼、銀翼の五種類がいる。まあ今は関係のないことだったな。
 世界中の神殿であったお告げのことを聞いたとき、私は歓喜に震えた。
 何故か?それは不治の病と言われ医者が匙を投げた妹の病気を治す活路を見出せたからだ。

 『その森の染まりし水、人の万病を治し、生命(いのち)を伸ばす』

 この言葉が本当ならば妹の病は間違いなく治る!
 私はより一層鍛錬に励んだ。自ら<静寂なる地下樹海>に赴いてお告げにあった水を手に入れるためだ。
 どれだけの量が存在するのかもわからない。ほんのわずかか、それとも大量にか。
 染まりし水、つまり何色かはわからないが色付いた水であることは間違いないと思う。

 「少しは休憩を挟むのだぞ?体を壊すなよ?」

 「わかっております、父上」

 私が何のために鍛錬に力を込めているのか薄々気付いているのだろう。
 剣の師でもある父上。父上はこの町の音の神エルファニアンを祀る神殿の星騎士団副団長をやっておられる。

 「私は任務が入っているのでな。神殿に赴く」

 ストリンガー家の次期当主である私も倒れるつもりはない。倒れてしまったら病に伏せっている妹にも要らぬ心配をかけてしまうかもしれない。

 「今日はここまでにしよう」

 私は模擬剣をしまい、屋敷へと戻る。




















 「・・・・・・邪神の癖になにやってるんだよ」

 俺は邪神からのメッセージを読み終えてから呟いた。
 なんで邪神が世界中の神殿にお告げを回してるんだよ!

 「まあ都合がいいもんな」

 『なんの都合がいいんですか?』

 「お前は気にしなくていい」

 リーナの手話にも慣れたな。見ていないと何を言っているかわからないからな。

 「さて、早速(はじ)めますか」

 俺は<迷宮創造>を行使する。
 ダンジョンを広げ、<環境>のパーツを置いていく。
 さて、次は魔物だ。兵力だ。一応ステータスを見ながら召喚しよう。

 ***

 名前:ユグドラシル
 種族:樹海統べる群蟲王
 LV:3
 迷宮:静寂なる地下樹海

 称号:
 樹海統べる郡蟲王
 樹海の暇人…一日中暇つぶしをしていた者に送られる称号

 能力:
 無限成長
 魔物創造
 迷宮創造
 郡蟲の体
 麻痺毒精製

 召喚可能兵:
 鬼蟻
 傭兵蟻
 兵隊蟻…傭兵蟻の上位蟻系魔物
 人斬り飛蝗
 大蚯蚓
 堕天道…奇襲特化天道虫系魔物
 民草
 触蔓
 噛付き瓜
 魔棘花…射撃特化花系魔物

 環境:
 光苔
 灯台茸
 発光花
 地下草
 食用苔
 食用茸
 果実樹
 普通の水源
 生命の水源
 妖蛍

 ***

 「・・・・・・」

 『暇人?』

 おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!<樹海の暇人>ってなんだよ!?俺のことか!?もしかして草茶を試作してみたりリーナを可愛がってみたりしたのがいけなかったのか!?つーかそれにそれほどの時間がかかってたのかよ!

 『暇人ってどういう意味ですか?』

 「気にするな。忘れろ」

 リーナ、お前が無垢でよかったと思う・・・・・・。
 とりあえず当初の目的である魔物兵の召喚だ。<民草>以外の魔物兵を多数召喚する。

 うねうね

 キィ

 カサカサ

 ・・・・・・なんと言うか、圧巻だな。<大蚯蚓>なんて出すんじゃなかった。気色悪すぎる。と言うか蚯蚓の癖に牙の並んだ口があるし、もしかしてド○クエの<大蚯蚓>?形状が似過ぎだと思うんだが。
 ついでに追加された<環境>パーツも配置しておく。<普通の水源>は樹海の各所に、<生命の水源>は最深部であるこの部屋にだ。
 <生命の水源>から涌き出る水は緑色だった・・・・・・。
 ちなみに言っておくが、ここは最初に作った大部屋ではなく最深部を想定して作った玉座みたいな部屋だぞ?どうやら地下数百メートルはあるみたいだからな。千・・・・・・はない、よね?
 それにしても妖蛍はおもしろいな。モ○ハンの雷光虫みたいな雰囲気で光ってる。一箇所の置くとその辺りで十数匹ほど観測できる。

 『幻想的で綺麗ですね』

 「リーナはロマンチストだったかな?」

 『はい』

 さてと、地上到達に向けて頑張りますか。
 幸い孤独にやるわけじゃないからな。可愛い下僕がいるから寂しくない。うん、・・・・・・やっぱりまともな会話が出来る日が待ち遠しいや。









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