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『茜空の軌跡』
第四十九話 茜空の軌跡 ~再会と別れ~
<グランセル城 女王宮 アリシア女王の部屋>

エステル達が地下遺跡へと向かった後、城に残ったアリシア女王は事態の鎮静化に心を砕いていた。
リシャール大佐達が王国軍に流した女王親衛隊がテロリストだと操作された情報はウワサとなってグランセル市民達の間でささやかれてしまっている。
さらにアリシア女王が心配しているのは帝国と共和国の動きだった。
このまま騒ぎが続けば両国の関係者に察知されてしまうのも時間の問題だ。
リーダーであるリシャール大佐が投降すれば抵抗を続けている戦略自衛隊の隊員達も鎮静化するはずだと、遺跡に向かったクローゼ達を信じてアリシア女王は待っていた。
しかしエステル達が夕方に遺跡に潜ってから約半日、夜が明けて朝になっても戻っては来なかった。

「もはや隠し通せるのも時間の問題ですね」

深いため息を吐き出したアリシア女王は、ついに両国の大使を呼び出す決意をした。
せめて露見する前に自ら告白した方が、大使達の心証が和らぐとアリシア女王は考えたのだ。
しかし大使達は外交官に過ぎず帝国・共和国の政府が下した判断を覆す事は出来ない、よって上手く大使達を説得したとしても可能なのは報告を遅らせるぐらいだ。
呼び出された大使達は女王宮のアリシア女王の部屋へと通されると、今まで両国の人間が女王宮の中へ足を踏み入れた前例が無かった事もあり驚いて目を見張った。
アリシア女王の話を聞いた大使達は、困った表情で本国への報告は怠るわけにはいかない答えた。

「あなた方の立場は解りますが、どうかもう少しだけ待っては頂けないでしょうか」

アリシア女王は大使達に、現在クローディア姫が親衛隊と共に反乱軍のリーダーであるリシャール大佐を追いかけていると説明して懇願した。
大使達はお互いに顔を見合わせ、渋い顔をしながら待つ事が出来るのは数時間程度だと告げる。

「ご理解頂きまして、誠に感謝致します」

猶予を得る事が出来たアリシア女王は、譲歩してくれた大使達を紅茶を振る舞ってもてなした。
タイムリミットを引きのばしたとは言え、今日の夕方までが限界だ。
それ以上長引くのならば、今度はクローゼ達の安否が気にかかる。
内政干渉を受ける事になってもクローゼ達の命には代えられない、手遅れにならないうちに帝国や共和国の力を借りる事も考えていた。
女神(エイドス)に祈りながら過ごしていたアリシア女王の所にクローゼ達が戻って来たのは、それからしばらくしてからの事だった。

「ああ、クローゼ!」

部屋に入って来たクローゼの無事な姿を見て、アリシア女王は思わずクローゼを抱きしめた。

「お祖母様、ご心配をおかけしてすいません」

その場に居た大使達も2人の様子を温かく見守った。

「あの……」
「私がお招きしたお客様です」

大使達が女王の部屋に居る事に驚いたクローゼだったが、アリシア女王が平然と振る舞うとそのまま報告を続ける。
クローゼ達がリシャール大佐達を投降させた事を聞いたアリシア女王とその場に居た大使達は、ホッとした表情を見せた。
やはり大使達も国交状態が緊張してしまうのは望んではいなかったようだ。
そしてユリア隊長に連れられたリシャール大佐は部屋に入ると、アリシア女王の前でひざまづいて謝った。
だがすでにそれだけで解決する問題では無くなっていた。
2年ほど前ヴァレリア湖に不時着した『エヴァンゲリオン』と呼称される巨大な人型兵器が不時着した時、アリシア女王は動かす事の出来ないので脅威にならないと両国の大使を説得したのだった。
だがリシャール大佐達がどこからともなく不思議な技術を手にしてレイストン要塞に持ち込んでしまった事で、状況は変わってしまった。
エヴァンゲリオンが動かせると知られてしまった今、改めて両国の政府が納得する方法について話し合わなければならなかった。



<グランセル城 右翼棟客室>

クローゼ達がリシャール大佐を連れて女王宮へ行った頃、エステル達はラウンジでヒルダ達メイドが作った料理で腹ごしらえをしていた。
まだこれで全てが終わったわけではない事はエステル達にも分かっていたが、美味しい食事を囲んでエステル達は明るく話が弾んだ。
しかしアスカが食欲の無い様子で暗くうつむいているのに気が付いたシンジが、アスカに声を掛ける。

「アスカ、さっきから顔色が悪いけど大丈夫?」
「べ、別に平気よ!」

シンジに尋ねられたアスカは首を横に振って慌てて笑顔を作るが、やはりシンジにはアスカが落ち込んでいるように思えた。

「でもさっきから全然食べて無いよ?」

エステルも減っていないアスカの料理を見て、心配そうな顔をした。

「うん、ちょっと疲れたかもしれないわね」
「それなら部屋を借りて休むと良いわ」

そうシェラザードに言われたアスカは、客室で休ませてもらう事になった。
エステルが姉として付き添いを申し出たが、アスカはシンジについて来るように頼んだ。

「あらあら、“おいた”はダメよ」
「違うってば!」

からかうような口調で言ったシェラザードに、アスカはそう言い返した。
言い返す元気はあるようだと、エステル達は少し安心した。
用意された部屋に入ると、城のメイド達によって掃除とベッドメイクがされていた。

「さすが本物のメイドさんは違うね」
「弟子入りすればシンジも立派なメイドさんになれるんじゃない?」
「ミサトさんとアスカが家事をしないからだよ」

シンジがすねた表情をすると、アスカは笑いながらソファに座り、隣に座るようにシンジに合図した。
そしてシンジがアスカの隣に腰を下ろすと、アスカは自分の左肩をシンジの右肩に持たれ掛け、腕をからませてシンジの右手を自分の左手で握る。

「あの頃アタシは自分のシンクロ率が高いからってシンジを見下してた、だから家事もシンジがやるのが当然だと思ってたわ。ごう慢だったわね、アタシって」

アスカがそう言って自分を馬鹿にして笑うと、シンジはアスカの手を握り返して穏やかな口調でアスカに話し掛ける。

「僕だって自分に自信が無かったから、他の人に命令されるままに動くのが処世術だったんだ。卑屈だったんだよ、僕は」

シンジも自分の価値をおとしめる事を言うと、アスカはシンジの目を見つめて話す。

「そんな事無いわ、シンジは優しいからアタシは安心して甘えられたのよ」
「僕だってアスカが励ましてくれたから、前向きになれたんだよ」

シンジの言葉を聞いたアスカは嬉しそうな笑顔になり目を閉じた。

「……アタシ達、またエヴァに乗らなくちゃいけないのかしら」
「どうして?」

しばらく黙っていたアスカがそうつぶやくと、シンジは驚いて尋ねた。
するとアスカは深刻な様子でシンジに話し始める。

「もしエヴァを取り戻しても、このままじゃ帝国や共和国が黙っちゃいないわよ。だからアタシ達でエヴァをどこかへやってしまいたいと思うのよ」
「そんな、ネルフの人達が居ないんだからエヴァに乗れるわけ無いよ」
「今までずっと疑問に思っていたのよ、どうやってリシャール大佐達がレイストン要塞の地下にエヴァを運び込んだのかって」
「きっと大きな船にエヴァを載せたんじゃないかな?」

シンジがアスカと出会ったのは、ドイツを出港して日本へとエヴァ弐号機を輸送する艦隊の船の上だった。

「アタシとシンジの他に、チルドレンみたいな存在が居るかもしれないと思うのよ」
「えっ?」

アスカの発言を聞いたシンジは驚きの声を上げた。

「この世界にはオーブメントも普及しているし、ネルフの技術を解き明かす事も不可能じゃないわ」
「じゃあ僕達もチルドレンだってばれているのかな?」
「それは解らないわ。……でもアタシ達がエヴァに乗って来たせいでこの世界に影響を与えてしまったなら、アタシ達の手でエヴァを何とかしなくちゃ!」

力強くそう言い放ったアスカだったが、シンジはアスカの肩が不安そうに震えている事を感じ取り、自分の右手と握り合ったアスカの手に左手を重ねる。

「分かったよ、僕もアスカと一緒にエヴァに乗るよ」

シンジがそう誓うと、アスカは安心して息をついた。
そしてアスカはエリカ博士に協力を頼み警備の目を盗んでエヴァを起動し南下、帝国と共和国の方角の反対側にある大陸南側の海にエヴァを沈める作戦を提案する。

「これなら他のチルドレンが居たとしてもエヴァを簡単には動かせないはずよ」
「さすがアスカだね」

シンジに褒められたアスカは満更でも無い笑みを浮かべた。
自分だけはシンクロ率が足らずエヴァを動かせるか不安だったアスカは、いざと言う時はシンジとの2人乗りシンクロも考えていたのだと話した。

「うん、きっと僕達が心を重ねればエヴァを動かせるよ」

シンジが真剣な表情でアスカに告げた時、アスカのお腹の虫が盛大に鳴り響いた。
その絶妙なタイミングに、アスカとシンジは声を上げて笑った。

「安心したら、お腹が空いちゃったみたい」
「じゃあラウンジに行こうか」

シンジの提案にアスカは少し顔を赤くしてうなずき、エステル達の居るラウンジへと戻った。
元気に料理を食べるアスカの姿を見て、アスカの事を心配していたエステル達もホッと胸をなで下ろしたのだった。



<レイストン要塞 飛行船発着場>

アリシア女王達の話し合いが終わると、リシャール大佐は導力通信で投降を呼びかけた。
すると王国各地で潜伏していた戦略自衛隊は次々と王国軍や遊撃士協会に出頭して来たのだった。
しかし女王宮から姿を消したロランス少尉達がレイストン要塞に現れたとシード少佐から連絡が入ると、グランセル城は再び緊張に包まれる。
降伏した戦略自衛隊員が乗っていた女王親衛隊の旗艦アルセイユが王都へと戻ってくると、ユリア達は急いでアルセイユに乗り込みエヴァンゲリオンのあるレイストン要塞へと向かった。
もちろんエステル達もエヴァンゲリオン奪還作戦に名乗りを上げ、親衛隊と遊撃士達を乗せたアルセイユはレイストン要塞の発着場へ降り立った。

「クローディア姫殿下、お待ちしておりました」

司令部のある中庭の方から、シード少佐が王国軍の兵士達を伴いクローゼ達を出迎えた。
シード少佐の話によると、突然ロランス達が研究棟を占拠し、立て籠もりを続けているらしい。
研究棟の中に居た戦略自衛隊の兵士達も追い出され、エリカ博士が人質になり、シード少佐は手を出せずに遠巻きに包囲する事しかできなかった。

「……彼らからの要求は?」
「それが研究棟を占拠したと宣言してから、沈黙を守ったままなのです」

クローゼに尋ねられたシード少佐は困った顔をして答えた。

「どう言う事でしょう……?」
「要求が何も無いと言うのは妙な話ですね」

シード少佐の言葉を聞いたクローゼとユリアは難しい表情で顔を見合わせた。
その場に居たアスカ達も腕を組んで考え込む。

「エヴァのパイロットが来るまでの時間稼ぎじゃないかしら」
「もしそうなら、このまま待っているわけにはいかないよ」

アスカとシンジは顔を見合わせてうなずくとクローゼの側に歩み寄り、自分達の作戦を話した。
2人がエヴァンゲリオンに乗る事を聞いたクローゼ達の表情が険しくなる。

「そのような危険な役目をシンジさんとアスカさんにお願いするわけにはいきません」
「ええ、クローゼの言う通りだわ」

クローゼとエステルはアスカ達の提案に難色を示したが、アスカ達も語気を強めてクローゼ達を説得しようと試みる。

「でもエヴァをここに置いたままじゃ、帝国や共和国に侵攻する口実を与えてしまうかもしれないわ」
「エヴァが悪用されるのは僕達の望む所ではありません」

アスカとシンジが訴えかけても、クローゼは首を縦に振る事をためらっていた。
そんなクローゼに、アスカとシンジはさらに詰め寄る。

「お願いクローゼ、アタシ達は新しい故郷になったこの国を守りたいの」
「これは僕達にしか出来ない事なんだ」
「……帰って来て下さいますよね?」
「もちろんエヴァを捨てに行くだけなんだから、すぐに戻ってくるよ」

クローゼが問い掛けると、シンジはクローゼの目を見つめ笑顔でそう答えた。
そしてクローゼがアスカ達の提案を了承すると、エステル達はアスカとシンジをエヴァンゲリオンに乗せるための作戦を話し合い始める。

「私達が研究棟に突入しても、お母さんの身は安全なんですね?」
「ええ、ロランス少尉達がパイロットを待つための時間稼ぎをしているのなら、エヴァの整備ができるエリカさんに危害は加えないはずよ」

ティータの質問に、アスカは自信たっぷりにそう答えた。
エリカ博士はアスカにとっても母親の様な存在である。
だから早くエリカ博士をエヴァから解放してあげたいとアスカは思っていた。
この作戦が成功すれば、その願いもかなうのだ。

「よし、俺達がロランス少尉達を食い止めてやる」
「その間にあなた達はエヴァンゲリオンの所へ行くのよ」

アガットとシェラザードの言葉に、エステル達はうなずいた。
混乱を避けるため突入は遊撃士を中心としたメンバーで行い、ユリア達親衛隊はアルセイユで待機、シード少佐達もレイストン要塞の警備をする事で話はまとまった。
女王宮の戦いではロランス少尉達に完敗してしまったが、彼らの動きを止めるくらいならばなんとかしなければとエステル達は気合を入れた。



<レイストン要塞 研究棟>

作戦を確認し終えたエステル達は発着場から中庭を横切り、研究棟へとやって来た。

「ふうん、大した自信じゃないの」

入口のドアに鍵が掛かっていない事に気が付いたシェラザードは、そう言ってため息をついた。

「ロランス少尉達は半端じゃない強さだったわ」
「その通り、彼らが本気を出したら僕らには勝ち目はないだろうね」

エステルの意見にオリビエも同意すると、シェラザードはオリビエの方を見て険しい表情でうなずく。

「あんたがそう言うんだから、相当なんでしょうね」

そのシェラザードの反応に、エステルは少しむくれた顔になった。
研究棟の中は機械の駆動音だけが響き、人の気配は感じられない。
しかしエステル達には嵐の前の静けさのように思えるのだった。
そしてエヴァンゲリオンの収容されているケージに通じるエレベーターの前に、ロランス少尉とツカサ少尉が立ってエステル達を待ち受けていた。

「そこを通してもらうわよ!」

エステルが宣言すると、ロランス少尉とツカサ少尉は黙って武器を構えた。

「どうやら、最初から全力で相手をしてくれるようだね」

ツカサ少尉が二丁拳銃を構えるのを見て、オリビエはそうつぶやいた。

「面白れえ、そうこなくちゃ張り合いが無いぜ」
「ああ、その通りだな」

アガットとジンは強い相手と戦える事に興奮を覚えているようだった。

「アスカ、シンジ、ティータ」

シェラザードはそうつぶやいて目で合図を送ると、アスカとシンジとティータも見つめ返してうなずいた。
ロランス少尉とツカサ少尉がアガット達に集中したタイミングでアスカとシンジとティータはエレベーターに乗り込むのだ。
エレベーターにセキュリティロックが掛けられていた場合、ティータが解除し、エヴァンゲリオンの前に到着したら導力通信機でエリカ博士に連絡する段取りとなっている。
アスカとシンジとティータも、ロランス少尉達に目的を悟られないために戦いに参加する振りをした。
戦いはアガット達ベテランの遊撃士達の存在もあり、エステル達も相手の必殺技を見切っていたため、女王宮の時のように一方的な物にはならなかった。

「食らえ、フレイムスマッシュ!」

火炎を巻き起こしたアガットの重剣を受け止めたロランス少尉の身体は大きく吹き飛び、エレベーターから離れた。

「ふふっ、これならどうかしら?」

シェラザードも導力魔法のエアリアルを詠唱し空気の乱れを発生させ、ツカサ少尉の精密射撃を妨害した。

「えいっ!」

そして攻撃を封じた所で、さらにティータがスモークカノンを放ち、ロランス少尉とツカサ少尉の視界を塞いだ。

「今よ!」

シェラザードが合図をすると、アスカとシンジとティータはエレベーターのドアへと駆け寄った。
セキュリティロックは掛かっておらず、アスカ達は簡単にエレベーターへと乗り込む事が出来た。
アスカが急いでボタンを押すとドアが閉まり、エレベーターは動き出した。

「……やってくれたな」

エレベーターが下降して行くのを知ったロランス少尉はそうつぶやいた。

「これでお前らの企みも終わったな」
「降りるエレベーターはもう1基あるのよ?」

アガットが言い放つと、ツカサ少尉はこの状況を楽しんでいるかのような口調でそう答えた。

「アスカ達を追いかけるつもりだろうけど、そうはさせないわよ!」

エステルはロッドを握り締めて、ロランス少尉とツカサ少尉をにらみつけた。
エレベーターはアスカ達を乗せて行った物を含めて2基存在するので、エステル達は分散して迎え撃たなければならなかった。

「今度はこちらが攻める番だな」

ロランス少尉はそう言うと、アガットに向けて突進した。
凄まじい勢いで繰り出されるロランス少尉の剣をアガットは必死に受け止める。

「こ、こいつ……!」

アガットはロランス少尉の剣の動きが速いだけでなく、自分が重さで圧されている事に気が付いて驚いた。
自分のパワーには自信を持っていたアガットだけに動揺は大きかった。
ロランス少尉の持つ黒い剣はアガットの重剣より一回り細いにもかかわらず、その硬度と質量は劣らないと剣を交えたアガットは実感したのだ。
シェラザードの方もツカサ少尉の射撃を阻止しようとエアリアルの導力魔法を詠唱しようとするが、逆にツカサ少尉の妨害を受けてしまい中々詠唱が出来ない。
苦戦するアガットにエステルとジンも加勢をするが、3人を相手にロランス少尉は寄せ付けないほどの動きを見せた。

「ちいっ、素早いやつだな」
「それは思い違いだ、お前達の攻撃には迷いがあるから鈍いのだ」
「俺が迷っているだと?」

ロランス少尉がそう言うと、アガットは怒った顔で聞き返した。

「敵も己も人である事を捨てねば、甘さが生じると言う事だ」
「修羅の道か、だが間違った力を手に入れて何の意味がある?」
「間違っていようがいまいが、強大な力は破壊と蹂躙(じゅうりん)をもたらす。その無慈悲な現実に、無力な人間はどう立ち向かえば良いと言うのだ」

ジンの問い掛けに答えるロランス少尉の声は、感情がこもっているようにエステル達には聞こえた。

「まさか、あなたは……」

驚いた表情でロランス少尉に尋ねようとしたヨシュアの腕を、シェラザードが思い切り引っ張り怒鳴る。

「ヨシュア、何を気を抜いているの! もう少しで撃たれる所だったのよ!」
「す、すいません」

ツカサ少尉の攻撃を危機一髪で交わせたヨシュアはシェラザードに謝った。
シェラザードとオリビエに導力魔法を詠唱させるチャンスを作るため、ツカサ少尉と向き合ったヨシュアだが、頭の中ではロランス少尉の事が気になっていた。
グランセル城の地下遺跡で、降り注ぐミサイルからエステルを守るために使ったあの力を発揮できれば、ツカサ少尉に接近できるかもしれない。
しかしあの戦いの後でのアガット達のヨシュアに向けた表情を思い出すと、身がすくんでしまった。
ヨシュアが迷っているうちに、研究棟全体が大きく揺れ出した。
何か大きな物が動く様な音もする事から、アスカとシンジの乗ったエヴァンゲリオンが発進したのだろう。
エステル達の目的は達せられたのだ。

「もうここに居る意味が無くなっちゃったみたいね」
「そのようだな」

ツカサ少尉の言葉にロレンス少尉はそう答えると、エレベーターを守るエステル達とは反対方向の入口へと走り去った。

「待って!」

慌ててヨシュアが呼び掛けるが、ロランス少尉達は振り向きもせずに姿を消してしまった。

「ロランス少尉が気になるのは解るけど、アスカ達の様子を確かめるのが先決よ」
「分かってます」

シェラザードの指摘にヨシュアは従い、エステル達と共にエヴァンゲリオンのあるケージへのエレベーターに乗り込むのだった。



<レイストン要塞 研究棟地下 エヴァンゲリオンケージ>

アスカとシンジとティータの乗ったエレベーターは、そのままスムーズにレイストン要塞の地下にあるエヴァンゲリオンのケージのある地下ホールへと到着した。
地下ホールはヴァレリア湖の水を引き入れた、巨大な洞くつの様な空間になっている。
エレベーターのドアが開きアスカ達は周囲の気配を探ったが、辺りが静まり返っているのを知り、ホッとため息をもらした。
地下のホールに足を踏み入れたアスカとシンジの目に、ケージの中に収められたエヴァ弐号機と初号機の姿が飛び込んで来た。
ヴァレリア湖に漂着してから2年ぶりに対面する事になったエヴァにシンジとアスカは懐かしさを感じた。

「浸ってる暇は無いわ、早くエヴァに乗らなくちゃ!」
「そうだね」

アスカが自分にも言い聞かせるようにつぶやくと、シンジはそうつぶやいた。

「お母さんは無事なんですね?」
「ええ、アタシ達から知らせれば、きっと安心してくれるはずよ」

ティータが尋ねると、アスカは自信たっぷりに答えた。

「もしもし、お母さん?」
「ティータ、無事なの!?」

アスカの言葉に笑顔になったティータが無線導力通信機で語りかけると、エリカ博士は驚いてそう答えた。

「うん、黒い服を着た傭兵の人達はエレベーターホールでエステルお姉ちゃん達が足止めしてくれているよ」
「ティータ達を捕まえたなんて言って、あたしをだますなんていい度胸ね、このおかっぱ男!」

ティータがエリカ博士の言葉にそう答えると、通信機の向こうでエリカ博士の怒鳴り声とデュナン公爵の悲鳴が聞こえた。

「エリカさん、デュナン公爵に構ってないで頼みたい事があるんだけど」
「ふん、もう叩きのめしてやったわ」

アスカが暴走を止めようとすると、エリカ博士は即答した。
その言葉を聞いたアスカ達の脳裏に泡を吹いて気絶しているデュナン公爵の姿が浮かぶ。
シンジは自分達が今ケージに居る事を伝え、エヴァンゲリオンに乗せて欲しいと頼むと、エリカ博士は了解する。

「ええ、私もロランス少尉達にパイロットが来るからエヴァンゲリオンの起動準備をしておくように命令されたのよ」
「やっぱり、僕達の他にチルドレンが居たんだね」

エリカ博士の返答を聞いたシンジは険しい表情でそうつぶやいた。

「でもアタシ達の他に誰も居ないんだから、アタシ達の作戦は成功よね!」

アスカは満面の笑みでシンジと見つめ合い、エリカ博士にエヴァンゲリオンの発射用カタパルトの準備をするように伝えた。
するとエリカ博士はエヴァンゲリオンの出力の問題が解決し、カタパルトを用いなくても自力で浮上が可能になったのだと答えた。
エリカ博士の話を聞いたアスカとシンジは胸騒ぎがしたが、エステル達がロランス少尉達を食い止めてくれているのだ、迷っている時間はない。

「アスカ、行こう!」

シンジが呼び掛けると、アスカは強くうなずいた。

「アスカお姉ちゃん、シンジお兄ちゃん、またすぐに会えるよね?」
「もちろんよ、アタシ達の帰ってくる場所は、みんなの居る所だもの」

アスカがそう言って頭をなでると、ティータは安心した表情になった。

「エントリープラグは挿入してあるから、すぐにでも乗れるわよ」
「ありがとうございます、エリカさん」

エリカ博士にお礼を行ったシンジは、初号機のエントリープラグの方へ走って行った。

「おっと、アタシがここで足を引っ張るわけにはいかないわね」

アスカもシンジに遅れないように弐号機へと向かった。
エリカ博士の操作によりケージの天井部分が動き、夕焼けに染まった空が顔を出し、エヴァンゲリオンの発進を妨げるものは無くなった。
しかし弐号機のエントリープラグが近づいて来ると、アスカは自分がエヴァとシンクロ出来るのかと不安に襲われる。
アスカは身勝手なプライド共にエヴァを捨ててしまい、エステル達に囲まれて暮らしているうちにアスカはエヴァに依存する気持ちも失せてしまった。

「もしアタシだけで動かせなかったら、またシンジと2人乗りでシンクロするしかないわよね」

そう言ってアスカは自分を励ますが、14歳の少年と13歳の少女であったあの時とは違って、シンジも男性らしくアスカも女性らしくなっていた。
以前コンテナに押し込められてレイストン要塞に突入した時に体が密着した時の事を思い出し、アスカは顔が真っ赤になる。

「ま、まあその時はその時よ」

少しくすぐったいような甘い妄想に浸りながら弐号機のエントリープラグに乗り込もうとしたアスカは、突然出現した光の壁にぶつかって弾かれ、目を覚ました。

「残念だけど、エヴァに乗るのはこの僕さ」
「あ、アンタは!?」

弐号機のエントリープラグから顔を出したのは、アスカ達に黒いオーブメントを渡し、さらにダルモア市長邸にてATフィールドで銃弾を跳ね返した銀髪の少年だった。

「僕は渚カヲル、フィフス・チルドレンさ」
「チルドレンですって!?」

銀髪の少年が名乗ると、アスカは驚きの声を上げた。

「そう、だから君はもうエヴァに乗る必要は無いのさ」
「いきなり出て来て、何を言ってんのよ!」

カヲルにかみつきそうな勢いでアスカは怒鳴った。

「それがシンジ君の望みだからだよ」

カヲルの言葉を聞いて驚いたアスカが初号機の方を見ると、シンジもエントリープラグの入口で水色の髪の少女と話している。
そしてアスカの目の前で、シンジは話していた水色の髪の少女と一緒に初号機へと乗り込んでしまった。

「ファースト!?」

アスカが叫ぶと、弐号機のエントリープラグから初号機に乗ったシンジによる通信の声が漏れ聞こえて来る。

「アスカにはエステル達が居るから、僕が居なくても大丈夫だよね」
「な、何を言っているのよ!」

衝撃を受けて怒鳴り返したアスカは、カヲルの発生させたATフィールドに弾かれてしりもちをついてしまった。
アスカの見ている前で初号機と弐号機は浮かび上がり、天井に開いた穴から茜空へ軌跡を描き消えて行ってしまったのだった……。



<レイストン要塞 研究棟地下 発令所>

エレベーターで降りて来たエステル達が目にしたのは、肩を寄せ合って泣き叫ぶアスカとティータの姿だった。
驚いたエステル達が尋ねても、アスカとティータは取り乱してしまいまともな答えが帰って来ない。
アガットとジンはティータとアスカを背負い、エリカ博士の居る発令所へと移動した。
エリカ博士の姿を見て安心したのか、アスカは銀髪の少年が姿を現し、弐号機に乗って行ってしまった事を話した。
しかしシンジの事とになると、アスカは言葉を濁らせ再び悲しみがぶり返す。

「シンジ……どうしてアタシを置いてファーストと行っちゃったのよ……!」

見ていたティータの話によると、シンジは水色の髪の少女と一緒に紫色のエヴァに乗り飛び去ってしまったらしい。
その話を聞いたエステル達は大きなショックを受ける。

「シンジのやつ、アスカにこんなひどい事をするなんて、捕まえたらただじゃおかないんだからね!」

頭に血がのぼったエステルは、興奮して持っていたロッドをむちゃくちゃに振り回した。
ヨシュアが慌てて後ろから抱きついてエステルを取りおさえる。

「エステル、落ち着きなよ」
「これがじっとしていられますかっての、シンジを追いかけるわよ!」

エステルは拳を握り締めそう宣言をした。

「だがどうやって空中を浮遊するデカブツを取りおさえるんだ?」
「あれだけの質量だから、アルセイユでも難しいでしょうね」

アガットの疑問に、シェラザードは考え込む表情をして答えた。

「後から追いかけて、燃料切れで着陸するのを待つしかないだろうな」
「それは無理よ、あの2機のエヴァンゲリオンには『スーパーソレノイド機関』が搭載されているから」
「何だそりゃ?」

ジンの意見にエリカ博士が反対すると、アガットは不思議そうな表情で質問を投げかけた。
するとエリカ博士はエステル達が見た謎の黒いオーブメントと同じような物がエヴァンゲリオンの動力機関に取りつけられ、そのオーブメントから無限に導力エネルギーが湧き出て来るらしいと話した。

「私も話を聞いた時は信じられなかったのよ、だけど少し前からあの黒いオーブメントが活発に動き出して強いエネルギーを放出し始めたの」
「そ、そんな事がありえるの?」

驚いたティータが尋ねると、エリカ博士は首を縦に振った。

「それが封印から解き放たれた『福音(ゴスペル』の力なのだよ」

そう言って発令所の入口から姿を現したのはアルバ教授だった。

「どうしてあなたがここに……」
「それは君が教えてくれたからだよ、ヨシュア君」

ヨシュアの質問にアルバ教授はそう答えた。
意味が分からず、エステル達はあっけにとられる。

「言っている意味がわからないんですけど?」
「リシャール大佐達を利用して地下遺跡の封印を解くのに、最大の障害となるのはカシウスだったからね。だからヨシュア君をスパイとして送り込み動向を探らせていたのさ」

そう言ってアルバ教授の顔が冷たい雰囲気を放つ笑顔に豹変するのを見て、エステル達は警戒感を強めた。

「何者だ、てめえ!」
「そうだな……“結社”の一員とでも言っておこう。有体に言えば特定の目的のために集まった秘密組織だ」

アガットの質問に、アルバ教授はたんたんとした口調で答えた。

「ヨシュアは、あんた達の秘密組織の仲間だって言うの!?」
「そう、カシウスがリベール王国を離れるタイミングでリシャール大佐達にクーデター事件を起こさせたかったからね」
「嘘だ……」

エステルの問い掛けにアルバ教授が答えると、ヨシュアは真っ青な顔をしてつぶやいた。

「まあ、君の表面的な記憶を消して置いたから、気が付かないのも当然だ。だけど最近、君は人の皮がはがれかけているようだね」
「な、何を言ってるのよ!」
「エステル君だって、ヨシュア君が化け物じみた動きをするのを見る様になっただろう? 彼が本来の力を覚醒させた時、特殊な波動が結社で感知されるのだよ」
「ヨシュアが化け物ですって!? そんな事無い!」

エステルがそう言ってヨシュアの手を握るが、ヨシュアはそれを振り払う。

「僕に触らないで!」
「よ、ヨシュア……!?」

ヨシュアに拒絶されたエステルはショックを受けた表情になった。

「僕に触れたら、君まで汚れてしまう……」
「ば、バカな事言わないでよ!」

冷たい目になってしまったヨシュアを前に戸惑ってしまったエステルは、助けを求める様にアスカの方に視線を送るが、アスカもシンジが居なくなったショックから立ち直って居ないようだった。
いつものアスカなら、一緒になってヨシュアを励ましてくれるのにと、エステルは悔しさをにじませた。

「人の絆と言うのは(もろ)いものだね」

アルバ教授は懐から大きなカブトムシの剥製を取り出した。
それは以前にエステルが鑑定を頼んでアルバ教授に預けた、ヨシュアとの思い出の品でエステルの小さい頃からの宝物だった。
しかしアルバ教授はためらうことなくファイアーボールの導力魔法で燃やし、一瞬にしてカブトムシの剥製は灰になった。
その様子を見たエステルは大きな悲鳴を上げる。

「ああっ!」
「このように大切だと言っておきながら、容易く壊す事が出来る。それも人の手によってね」

アルバ教授は楽しそうに笑ってエステル達にそう言い放った。

「でもあたしは、ヨシュアの事を……」
「もういいんだよ、エステル。君は僕にとってまぶしすぎる存在だったんだ」

エステルはヨシュアに手を差し伸べようとするが、ヨシュアは首を横に振った。
するとアルバ教授は愉快そうに喉を鳴らしてつぶやく。

「おやおや、私はヨシュア君を結社から解放して自由にしてあげるためにここに来たと言うのに、残念だね」
「こんな事を明かされて、ヨシュアが喜ぶはずが無いじゃない!」
「ならば、これからはエステル君がヨシュア君の面倒を見てあげるとよいでしょう」

エステルの叫びにアルバ教授が答えると、ついに怒りを抑えきれなくなったエステルは、ロッドを握り締めて構えた。
そしてエステルに触発された様にその場に居たアガット達も武器を構えてアルバ教授をにらみつける。
だが誰よりも早く動いたのはアスカだった。

「アンタのせいで、シンジは!」

アスカはアルバ教授に向かって導力銃を乱射するが、アルバ教授は服の表面に穴が開いただけで平然としていた。

「本当はアスカ君も一緒に誘拐してあげる計画だったんだけどね、シンジ君は拒否したのだよ。要するにシンジ君は独りでも平気って事さ」
「そんな……」

アルバ教授の言葉を聞いたアスカは糸の切れた操り人形のように脱力した。

「それでは私もこれから忙しいのでね、この辺で失礼するよ」

そう言って微笑みを浮かべたアルバ教授は、悠然と入口のドアから立ち去った。
弾かれたようにヨシュアが部屋から飛び出し、アルバ教授を追いかける。
エステル達も慌ててヨシュアとアルバ教授の後に追いすがった。



<レイストン要塞 中庭>

エステル達が研究棟を出た時、レイストン要塞を警備していた兵士達が倒れているのが目に入った。
急いでエステル達が駆け寄って兵士を助け起こすと、外傷は無いが兵士達の意識は戻らない。
どうやら何かの力で眠らされているようだ。
そして激しく武器がぶつかり合う音が中庭に響き渡り、エステル達が音のする方向に視線を向けると、そこにはアルバ教授と戦うヨシュアの姿があった。
ヨシュアの瞳は冷たい光を放ち、その動きも人間離れした速さだったが、アルバ教授は杖の様な武器でヨシュアの双剣を受け止めている。
高いレベルの戦いに、エステル達も近づくのを戸惑ったが、ヨシュアを助けないわけにはいかない。
エステル達の姿に気が付いたアルバ教授は、杖から衝撃波を発生させ、ヨシュアを突き飛ばした。
ヨシュアは空中で回転し、何とか着地に成功した。
するとそのタイミングで赤い飛行艇が飛来し、アルバ教授のすぐ側に降り立った。

「教授、迎えに来たわよ」
「わざわざご苦労だったね、レン」

飛行艇の中から姿を現した紫の髪の少女がアルバ教授に声を掛けると、アルバ教授はそう答えて飛行艇に乗り込んだ。

「待てっ!」
「ふふっ、久しぶりに鬼ごっこで遊んでくれるの、ヨシュアお兄ちゃん?」

呼び掛けたヨシュアに対して、レンがそう答えると飛行艇の扉は閉じ、飛行準備へと入った。
飛行艇に駆け寄ったヨシュアは、飛行艇の甲板に飛び乗る。
そしてそのまま赤い飛行艇はヨシュアを甲板に乗せたまま飛び上がってしまった。
ヨシュアの荷物からハーモニカがこぼれ落ち、エステルの目の前の地面に落ちた。

「ヨシュア!」

そしてエステル達がぼう然としている間に赤い飛行艇は茜空へ軌跡を描き消えて行ってしまった。
飛行艇を見失ったエステルの瞳から涙があふれ出し、エステルの持っていたロッドは両手から離れた。

「エステル、しっかりしなさい!」

シェラザードがエステルの肩をつかんで呼び掛けるが、エステルはただ泣きじゃくるだけだった。
ティータに付き添われているアスカも感情の無い顔をしていた。
ブライト家の双子の太陽の娘は、今や輝きを完全に失ってしまったのだった。

「くっ、一足遅かったか」
「先生!?」
「おっさん!?」

赤い飛行艇が飛び去るのと入れ替わりに要塞の正門の方から姿を現したカシウスの姿を見て、シェラサードとアガットは驚きの声を上げた。
カシウスの話によると、結社の動きを追いかけて帝国から帰って来たらしい。
そしてカシウスは暗い表情のアスカとエステルの姿を見て、シェラザードにその理由を尋ねた。

「俺が未熟だったからだ、すまん……!」
「父さん……!」
「パパ……!」

カシウスは謝りながら、泣きじゃくる2人の娘の頭を胸に抱きしめるのだった……。



アスカ・ブライト! ~茜空の軌跡~ FC -完-



<お知らせ>
読後の雰囲気をぶち壊しにして申し訳ありませんが、にじファン終了なので次回「第五十話 アスカ・ブライト! ~乙女達の決意~」以降はホームページで連載を続ける予定です。
http://haruhizora.web.fc2.com/
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