家宅捜索のために事務所に入る捜査関係者ら＝４日午前７時３５分、多治見市笠原町

　北朝鮮に陶磁製タイルなどを不正輸出したとして、京都府警と警視庁、愛知、岐阜両県警の合同捜査本部は４日、外為法違反（無承認輸出）の疑いで、名古屋市の貿易会社「ケージェイ」代表取締役で、朝鮮籍の成光淳容疑者（６２）＝名古屋市北区山田４丁目＝ら男女５人を逮捕した。

　ほかに逮捕されたのは、いずれも多治見市笠原町のタイル製造販売会社「大勝」会長小沢勝容疑者（６８）、タイル輸出業「ミズノタイルシステム」経営水野裕久容疑者（５３）とケージェイの監査役と従業員で、成容疑者の妻と長男の２人。府警などは同日、容疑者の自宅や会社事務所など関係先８カ所を家宅捜索し、パソコンや書類など約２００点を押収した。

　逮捕容疑は、経済産業相の承認を受けず、２００９年１２月１８日に陶磁製タイル（４９０万円相当）を、１０年５月１３日にはコップや皿などの陶磁器製品約５万６０００個（１２０万円相当）を、名古屋港から出荷。中国・大連の仲介業者を通し、北朝鮮に不正輸出した疑い。府警によると小沢、水野両容疑者は容疑を認め、成容疑者と妻と長男の３人は「中国に輸出しただけ」などと否認している。

　日本政府は０９年以降、北朝鮮への輸出を全面的に禁止している。

◆「まさか」タイル産地に衝撃

　「まさか、信じられない思いだ」。北朝鮮にタイルを不正に輸出していたとして、全国有数のタイル産地として知られる多治見市笠原町の業者２人を含む容疑者５人が逮捕された４日、容疑者と取引のあった同業者にも衝撃が走った。

　小沢勝容疑者（６８）が会長を務める「大勝」と取引のあった業者の男性によると、最近は同社が海外と取引していたという話は聞かなかったといい、「不正を行っているという話は聞いたことがない」と話し、「（不正輸出に関わっていたなんて）信じられない」と繰り返した。

　また、水野裕久容疑者（５３）が経営する「ミズノタイルシステム」を知る男性によると、同社はかつてタイルを製造していたが「１０年ほど前からは倉庫業を主に行っていたようだ」という。