• コラボ回保存2

  • ——————————————静寂。


    ただただ、静かに時が流れる荒野を黄昏が染め上げていく。


    最早命の営みも起こらないこの場所にふさわしくない人影が一つ。腰に2本の刀を、否、所謂銃剣(ガンブレード)を携え、刀を手にしたこの男は、


    「ここ何処だ?」


    絶賛迷子の真っ最中だった。


    ーICHIKA SIDEー


    「転移反応?」


    『うん、どうやらここの所バックヤードが妙に不安定らしくて、ここの人が別世界に飛んだりとか』


    「その逆も起こりうるって事っすか」


    『そういうこと、で、元の世界に帰したりするのに1番手っ取り早いのが』


    「力と力がぶつかり合うことで世界そのものを揺らし、エネルギーを発生させる」


    『That's rightだよ、いっくん。と言うわけで座標を渡しておくから行って来て』


    「オヤジはダメっすか」


    『相手が死んじゃうよ?』



    ——————————てなわけで薄明の訓練の名目でアメリカのだだっ広い荒野に転移させられた訳だ。本当にここにいるんだよな?因みに束さん直々の命令ということもあり、学園側もしぶしぶ了解。実際はIS全部停止させたろか?的な脅しをしただけなのだが。


    「ん?生体反応?」


    ハイパーセンサーが生体反応を捉えた。近くに人間がいればおそらくそいつが異邦人ってわけだ。しっかし何で態々こんなとこに飛ばされんだ?


    「...あいつだな」


    ぶっ倒れてる男を発見。ご苦労なこった...。


    「起きろ」


    「う...」


    「おい」


    「......は、」


    「は?」


    「腹...減った...」


    「......」


    「3日も食ってねえんだ...なんか食いもん...」


    はいはいベタベタ。




    ———————ROMANTIC———————



    「満足か?」


    「いや~すまねえな!」


    食いながら話を聞く限りでは、どうもこいつはおれの平行世界の同僚で、【片倉恭介】と言うらしい。詳しいことはコラボ先のスイートラバー、インフィニット・ストラトス~アナザーコード~を読め。確かエブリスタだったか?


    「で、お前を帰す方法なんだが...ガチンコでバトると言うシンプルな方法でエネルギーをぶつけあわせることで境界を歪ませる」


    「いきなり物騒事かよおい」


    「そうしねえと転移ができねえんだよ。特に世界を超えるとなるとすさまじい量のエネルギーがいる」


    「...痛いのは勘弁だぜ?」


    「アホ、痛くなきゃあ喧嘩じゃねえ。向こうの俺とどっちが強いのか興味があるからな」


    「こんなバトルジャンキーじゃなかったはずなんだが...」


    「んだあ?ビビってんのか?」


    「そうじゃねえけど、まあ、しょうがないのか?」


    そう言って腰の銃剣(デザインとしてはダージュオブケルベロスのヴァイスが使用した、日本刀型ガンブレード)を2本とも抜く恭介。結構やる気じゃねえか。


    「生憎ISを置いて来ちまってな、こいつで勘弁してくれ」


    切っ先をこっちに向けながら苦笑いする恭介。銃口向けながら何言ってやがる。


    「じゃあ、なんでそんなもん持ってんだよ?」


    陽炎を顕現させ、肩に担いで聞く。


    「知らん、こっちに来た時に持ってた。でも使いやすいから向こうでリクエストするかな」


    軽々と振り回し、1本を肩に担ぎ、もう1本を俺に向ける。


    「それにこっち来てから無茶苦茶体が軽いんだよ」


    「そいつは何よりだ。こっちも都合がいい」


    ギア細胞を少々活性化させ、戦闘状態に入る。足元から僅かに火柱が上がり髪が跳ねる。


    それを見て薄く微笑む恭介。


    「…違うイチカ、か。…楽しませろよ。」

    (BGM 桃源郷エイリアン)

    ————————HEAVEN OR HELL————————————


    ————————DUEL 1——————————



    ————————LET'S  ROCK!!———————


    先ず動いたのは俺だった。どんなもんか知らねえが、なんもしねえよりは分かりやすい。と言うよりはこいつの強さ自体が一般人のそれくらいにしか感じられないからだ。


    「おらあ!!」


    袈裟斬りを左手のガンブレードの刃で滑らせるように受け流し、振り切る前に右のガンブレードの刃が首を刎ねようと迫る。屈むように首を下げながら左足を軸に時計回り、右の肘をちょうど右から薙ぎ払おうとしてた左の二の腕にヒット。


    「「——————————!!?」」


    まず俺が感じたのは、ただの人間(・・・・・)の筈である恭介の驚異的な頑強さであった。常人とはいえ、それこそ世間一般からは達人と呼ばれる奴ですら再起不能になる威力の一撃を受けてなお、恭介のうでは折れなかった。


    「(嘘だろ!?アレ喰らっといてほぼ無傷だと!?)」


    「(え!?俺こんなにカッチカチだったっけ!?)」


    背中に蹴りを入れられ転がる。そのまま起き上がりつつ走ると、次々と弾丸が俺のいた位置を穿っていく。何だか知らねえが本気で遠慮が要らねえっつーんなら、


    「殺す気でいくぜ!恭介!」


    「ちょ!死んだら帰れねえから!」


    ギア細胞解放率90%だ!


    「コロナインストォォォォォォォォォォォォォォルッ!!」


    翼と角と尻尾が顕現され、腕と足も龍のそれに近くなる。第2ラウンドと逝こうじゃねえか!


    「チッ!なんでこんな目に...」


    言いながら連射して俺を縫い付けようとする恭介。銃弾を腕の鱗で防ぎながら突進する俺。ギア舐めんな、俺の鱗を抜きたかったら超電磁連射砲(ガトリングレールガン)でも持って来い。


    「おいおい、銃が効かねえとか何の冗談だよ」


    「残念ながら現実(リアル)だ」


    刃の間合いに踏み込んで、銃撃から剣戟に切り替える恭介。こっちの攻撃を的確にいなし、反撃してくる。さらに厄介なのはカウンターの上手さだ。攻めあぐねいていてはこっちがやられる。


    「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!」


    斬りつけ、殴りつけ、蹴りつけ、時折法力の炎を纏わせ一撃一撃の威力を必殺と言うレベルまで上げていく。ガードなんて関係なしに力づくで突破を狙う。


    「ふっ!!はっ!!何の!!そこぉ!!」


    対する恭介は、徐々に上がるスピードに食らいついて、弾き、いなし、受け流し、決して受け止めず反撃の糸口を狙い続ける。


    そしてついに————————————恭介のガンブレードの刃が砕けた。


    「なっ...!!」


    「いただきいいいいぃぃぃ!!」


    一瞬硬直した恭介を打ち上げる。


    「ちぃっ!」


    すぐさま、ガンブレードの鞘を捨て、持っていた刀を抜刀し迎撃に入る恭介。そうこなくちゃ面白くねえよなぁ!!


    「ヴォルカニック・ヴァイパー!!」


    「ぐっ...!」


    やっぱ慣れてねえな恭介。幾分か威力を殺しても空中じゃ碌に殺しきれねえぜ?大体今は生身だろ?


    「まだまだぁ!!」


    技を放った硬直を狙い斬りつけてくる恭介。そこに踵落としをぶち込んで刀ごと叩き落とす。流星の如く落下する恭介に、ついでに追い打ちにガンフレイムも撃っとく。


    「うおあっ!?」


    「どうしたどうしたぁ!!」


    さらに追撃をかけようと、陽炎を叩きつけるように振り下ろす。


    「あんま調子乗んじゃねえ!!」


    「ぐおっ!」


    まさにカウンター。ギリギリのタイミングで胴を切り払われ吹っ飛ぶ。すぐさま受け身を取り体制を整え迎撃準備。傷口から血が流れるが致命傷ではないので放置。


    「はあっ!!」


    「でりゃあ!!」


    お互いの拳がカチ合う。その瞬間、一瞬だが空間が揺らいだ。


    『いっくーん?十分に境界に揺らぎが生じたよ。いつでも帰せるから満足したら言ってねー♪』


    時間か...。


    「恭介、どうも準備が整ったっぽい」


    「マジで?」


    「次が最後になるな。悔いのねえよう全力で行こうぜ?」


    「望むところ」


    その言葉を合図に法力を練り上げる俺。恭介も集中力を高めているようだ。


    「いくぜ」


    「来い」


    踏み込んだ瞬間地面が抉れる。


    まず最初にぶつかったのはお互いの右の拳。最早1本の槍と化した俺たちの拳は折れることなく相手を穿たんとさらにせめぎ合う。そして拳が互いに弾かれる。


    そっからは本気で壮絶だった。攻撃と防御が目まぐるしく入れ替わる中、俺が殴れば恭介が蹴り、恭介が蹴ればおれが斬りつけ、そこに恭介が拳を放ったり、刀で斬りつければ俺が刀ごと蹴っ飛ばしたり、一発一発ごとに空間がはじけ、異世界が顔を覗かせる。やがて陽炎を振るう度に空間に切れ目が生じ始めるようになった。恭介も刀を振るう度に剣圧が質量を帯び、空間ごと俺を斬りつけてくる。


    やがて辺りの空間に罅が入り、時空間やら次元の狭間と呼ばれる場所までもが視界にちらほら映る。常人には立つどころかいること自体が強大な負荷となる中で全力で殺し合う俺たち。


    恭介の刀が俺の頬を切り裂く。俺の拳が恭介の腹を捉え、恭介が血を吐く。構わず放った蹴りを片手で受け止められ、顔面に拳が飛んでくる。


    既に疲労により満身創痍の恭介。俺もかなり傷を負うがギア細胞の活性化により次々と癒されていく為、まだまだいける。


    「こいつでラストだな」


    「ゲホッ!...プッ!ああ、楽しかったぜ。...修業が...足らんかったってレベルじゃねえな」


    「その気になりゃあ壁なんていくらでも壊せる。頑張んな」


    「人間やめる気はねえんだがな」


    ゆっくりと歩み寄る俺ら。そしてちょうどお互いの間合いで足を止め、振りかぶる。


    「「あばよダチ公、いずれ辺獄(リンボ)で」」


    互いの拳が顔面を打ち抜いた。






    ——————————SLASH———————————






    「帰ったか...」


    ついさっきまで殴り合ってた奴が最後に立っていたところを見る。


    『イヌ...じゃなくて、お疲れーいっくん。彼は無事帰れたみたいだから心配は無いよ』


    「うっす」


    薄明を展開し、そこから飛び立つ。


    恭介が立っていた場所には、ただ1振りの刀が突き刺さっていた。振り返りはしない。あいつもまた、自分の物語(生き様)を生きていくんだろう。


    不意に、自分が笑っているのに気が付いた。悪い気分じゃない。むしろ、


    「さいっこーにスカッとしたぜ」







    ーSIDE OUTー
  • 2012年 07月07日 (土) 12時57分
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