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震災がれき 山田町に残っているのは…
(2012年07月05日 17時49分)
県内で受け入れが検討されている岩手県の震災がれき。
このうち、山田町の仮置き場に置かれているがれきの多くが広域処理のめどがたち、残りは800トンに減っていることは4日、この時間でもお伝えしました。
しかし、さらに取材を進めると、残ったがれきの種類や量についていくつかの食い違いや疑問が浮かび上がってきました。
岩手県で発生した震災がれきをめぐり、県内では、富山地区広域圏と新川広域圏、それに高岡市で、受け入れに向けた準備が進められています。
岩手県によりますと、山田町の仮置き場に置かれているがれきのうち、広域処理を要望していたのは、木質系チップおよそ4万9000トンで、このうち2万2000トンを富山県が処理する方向で調整がおこなわれてきました。
ところがチューリップテレビが岩手県に確認したところ、木質系チップについては先月末の段階で富山県以外の自治体による広域処理でめどがついていて、残っているのは木質系チップ以外の可燃物、つまり紙やプラスチックなどおよそ800トンだけだというのです。
これは、今年5月21日に岩手県の達増(たっそ)知事が細野(ほその)環境大臣に宛てた文書です。
そこには、山田町が広域処理を希望するがれきの量について、木質系チップ以外の可燃物800トンとはっきり記されていました。
この800トンという量は、岩手県の一日あたりの処理能力である936トンを下回っています。
こうした状況に、小さな子どもを持つ県内の主婦たちが動き出しました。
5日、県庁には、ツイッターやフェイスブックでの呼びかけで主婦などおよそ40人が集まり、がれきの受け入れをやめるよう石井知事に宛てた手紙を環境政策課の担当者に手渡しました。
実は、富山県内に受け入れるがれきが木質系チップではなく、紙やプラスチックなどの可燃物となった場合、ひとつの問題が浮上するのです。
岩手県が今年5月に山田町でおこなったがれきの種類別の放射能濃度の測定結果では、可燃物のうち『繊維』で1キログラム当たりセシウム134が280ベクレル、セシウム137が490ベクレル検出されています。
この数字はいずれも富山県の受け入れ基準である1キログラムあたり100ベクレルを超えています。
そもそも、県や県内の自治体がこれまでにおこなった山田町のがれきに対する放射能濃度の検査は、いずれも木質系チップを対象にしたもの。
受け入れる対象が木質系チップから可燃物に変わるとなれば、あらためて検査をおこなわなければなりません。
こうした疑問について、県環境政策課は、「岩手県が広域処理を希望するがれきの量が800トンになったということは聞いていない。あくまでも受け入れを検討しているのは、90パーセント以上が木くずの可燃物であり、それ以外のものを受け入れる前提の質問には答えようがない」としています。
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