沙保里、ド派手壮行会で「旗手・吉田」初披露…レスリング

ロンドン五輪で旗手を務める吉田（中）は、壮行会で日の丸を手に入場（右は栄監督）

　ロンドン五輪の日本選手団旗手で、五輪３連覇を狙うレスリング女子５５キロ級の吉田沙保里（２９）＝ＡＬＳＯＫ＝が６日、活動拠点の名古屋で“ド派手”な壮行会を敢行した。東海地区最大級のウェスティン・ナゴヤキャッスルホテルで、選手単独としては史上最大規模の約１８００人を集めて五輪Ｖ３を宣言。黄金カラーのランボルギーニに先導されホテル入りし、日の丸の旗を掲げて入場行進。２１日の日本選手団結団式より一足先に、旗手・吉田を披露する“予行演習”をした。

　真っ赤なジャケットに真っ白なパンツ。日の丸スーツに身を包んだ吉田が、国旗を持って堂々と“入場行進”した。この日の朝、手元に届いたばかりの日本選手団の公式スーツを初披露し「いよいよだなって感じ。身が引き締まる思いだし、ビシッと決まるんで気持ちがいい」。参加者の拍手を全身に浴び、２１日の結団式、２７日の五輪開会式へのイメージをふくらませた。

　愛知県レスリング協会が主催し、地元の企業などと一緒になり粋な演出。総額５０００万円を超える２台の高級外車をレンタルしてホテル入り。ボンネットに「ロンドンオリンピック　目指せ三連覇！！」と書き込んだ黄金ボディーのランボルギーニ・ムルシエラゴに先導され、ピンク色の米クライスラー社製リムジンで乗り付けた。

　世界選手権で９、五輪で２と世界大会で１０年無敗の１１個の制覇。母校・至学館大の谷岡郁子学長は「１０年前に初めて世界選手権で金を取ったときは校庭で祝勝会をしました」と激動の１０年を振り返った。会費１万円の壮行会には会場の定員１５００人を超えて、０４年アテネ、０８年北京の４～５倍以上となる約１８００人が大挙した。一致団結グッズとして、参加者には、首からひもで下げられる直径２０センチほどの金メダル形ティッシュが渡された。

　吉田は「私のためにこんなにもたくさんの人が来てくれた。元気と勇気を与えられるよう大暴れしてくる」とあいさつした。必要以上に注目され、重圧倍増も必至の壮行会を決行。他の候補選手が断った旗手の役目も引き受けた吉田は「いい刺激になる。開会式では最高の笑顔で胸を張って歩きたい。しっかり自分の責任を果たす」と話した。

　５月の五輪前哨戦・Ｗ杯では負けて連勝が５８でストップ。２月から取り組んできた新技の密着型タックルを封印し、ロンドンでは１０年間磨き続けた代名詞の高速タックルで勝負をかける。「ロンドンが一番厳しい戦いになると思う。五輪はこれが最後になるかもしれない。絶対、金メダルを取るんだって強い気持ちで戦う」と吉田。もらった元気を五輪のマットで倍にして返す。