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無印編
第十七話 抑止降臨
月村すずかは自他共に認める大人しい子である。
体育以外は基本的に目立たない、なのはを中心にリーダーシップをとるアリサの対極みたいな女の子だ。

「はあ・・・はあ・・・」

そんなすずかが珍しくも焦っている。
彼女が走っているのは、巨大戦艦という漫画やアニメにしか登場しないような場所、誰もが目を剥くだろう。
しかし、今の彼女にはそんなもの目に入らない。目につこうがどうでもいいとばかりにただひたすらに目的の場所を目指している。

「なのはちゃん・・・」

やがて、聞いていた部屋の扉を見つけ、自動で扉が開くのももどかしく中に飛び込む。

「・・・すずかちゃん?」

探し人はすぐに見つかった。
隠れる理由もない彼女は、開いた扉の先にちゃんといてくれたのだ。
呼びかけの返事が返って来たことにほっとするが、そんな安堵はなのはの姿を見た瞬間に霧散して、再び焦りに取って代わられる。

「なのは・・・ちゃん?」

なのはは泣いていた。
彼女が泣く所など、すずかも初めて見る。
アリサと喧嘩をした時だって、なのはは泣かなかったのに・・・。

「なのはちゃん!!」
「ぶきゅ!!」

思わず駆け寄る途中で、クリーム色というかそんな感じの何かを吸血鬼の身体能力で轢いてしまったような気がする。
しかも悲鳴まで聞いた気がするがそんなものは後でいいだろう(断定)
今のなのはの状態は良くない、危ない。
すずかは本能的な危機感に従って、なのはを抱きしめた。

「すずかちゃん・・・ルビーちゃんがいなくなっちゃったの・・・」
「っつ!?」

微妙になのはの焦点が合っていない。
目の前にいるすずかを見ているようで見ていないようなそんな目をしている。

・・・事情は呼び出された時に聞いている。
ルビーが誘拐・・・と言っていいのかどうか迷うが、連れ去られたのだという。
そのため、なのはが不安定になってしまい。
少しでもなのはに近しい者をと、月村の家に連絡を取り、すずかがここに来たというわけだ。
しかし・・・なのはの状態はすずかの想像を超えていた。

「なのは、大丈夫か!?」
「怪我とかない!?」

恭也と美由希が遅れて到着する。
全員がなのはの事を心配して駆けつけて来て・・・すずかと同じように、なのはを見てショックを受ける。
魂が抜けたような・・・そう評するのが正しいだろう妹の姿に・・・友達とはいえ他人のすずかがこれだけショックを受けているのだ。
家族の心痛など、どれだけ想像しても足りないに違いない。

「高町士郎さんですね?」

背後からかかった声に、全員が振りかえる。
そこにいたのはライトグリーンの長髪の女性と、全身黒ずくめの少年だった。

「この艦の艦長、リンディ・ハラオウンです」
「執務官のクロノ・ハラオウンです」

名前に聞き覚えがある。
ルビーから聞いた時空管理局の現場責任者と、実動の魔導師・・・話には聞いていたがやはり若い。

「高町士郎です」
「桃子です」

士郎と桃子が名のり返して頭を下げる。
リンディとクロノもそれに習った。

「申し訳ありません。事情をご説明したいのですが?艦長室までご足労いただけますか?」
「わかりました。恭也、美由希?なのはを頼むぞ?」
「わかっている」
「大丈夫だよ」

子供たちの返事に頷き、リンディに促された士郎と桃子が部屋を出て行く。
なのはの事も心配だろうに・・・二人の背中を子供達が見送った。

「ところで、なんでボロ雑巾になっているんだユーノ?」
「そんな所にいたら踏んじゃうよ?」
「うう、僕は要らない子なんだ・・・」

最初にすずかに轢かれ、そのまま放置されて誰にも気付かれなかったユーノは目の幅涙を流していた。

―――――――――――――

「そうですか・・・」

リンディの例の部屋で、ルビーが奪われた事情を聞いた士郎は溜息とともに頷いた。

「そしてジュエルシードも?」
「ええ・・・残念ながら・・・」

あの時、なのはとクロノは奪われてゆくルビーに気を取られていた。
しかも、ルビーのいた場所とジュエルシードの場所には距離があった事・・・ルビーが目の前でさらわれたことに茫然とするなのはは勿論、それに気を取られたクロノの隙をついてアルフが六個のジュエルシードを回収、逃亡を許してしまった。
ジュエルシードは、現在半数以上がフェイト達に奪われたことになる。

「お預かりしていたお子さんを・・・申し訳ありません」
「艦長!!」

畳に深く頭を押し付けて謝るリンディにクロノが声を上げる。

「今回の事は明らかに彼等の失敗です。艦長が謝る理由はありません!」
「静かになさいクロノ、そう言う問題ではありません。貴方にはまだわからないでしょうけど・・・」

リンディはクロノの言葉を無視して頭を下げ続ける。
ここでそんな理屈を持ち出せば、少なくとも親などとは名乗れない。

「僕達は止めたのに、それを無視したのは彼らです!!」

それを理解するのは、まだクロノには無理のようだ。
彼がもう少し人生の経験を積むか、人の親になれば理解できるかもしれないが・・・どちらにしろ早すぎる。

「クロノ君といったね?」

尚も言い募ろうとするクロノに、士郎が声をかけた。
それに反応して、士郎を見るクロノの視線が多少きつくなる。

「・・・はい」
「君にひとつ聞きたい事があるんだが・・・」

軽く興奮しているクロノを落ち着けるため、士郎は努めて穏やかに話しかける。
それが功をそうしたのだろう。
クロノに多少の冷静さが戻ってきた。
不機嫌を隠せていないが、話に耳を傾けてはいる。

「君はフェイトちゃんを殺す気で命令を出したのかい?」
「な!?」

これは流石に予想外だったらしい。
クロノがあわてている。
隣のリンディも顔を上げて目を丸くしていた。

「いや、話を聞く限りにおいて、フェイトちゃんはそのままならよくて大怪我、かなりの可能性で死んでいたかもしれないと思うのだが?」
「それは・・・」

確かにあの状況では、命の危険もあっただろう。
暴走したジュエルシード六個のど真ん中にいたのだ。
魔導師でなかったら、間違いなく死んでいた状況だ。

「なのは達から話を聞いたのならわかるだろう?あの子は利用されている側の人間だよ?」
「し、しかし!あの子を助けにいくことで、僕達にも少なからない危険があった!!僕は執務官として、あの時の判断には自信を持っています!!」
「君の中で、時空管理局や執務官という肩書は人を傷つける理由になるのかい?」
「な、侮辱するんですか!?」

クロノが立ち上がり、士郎を睨みつけてくる。
だが、睨まれている士郎はただじっとクロノを見返したままだ。

「・・・人の上に立つ以上、そう言う判断が必要になる場面もあるだろう。・・・しかしだ」

士郎はじっとクロノを見ている。
見られているクロノは金縛りにあっていた。
母親である二人の女性は、男同士の語りあいに介入する事なく見守っている。

「それでも君は、人殺しになりかけたんだ。それは自覚しなければならない」
「っつ!?」

クロノから反論は来なかった。
と言うより出来なかったようだ。
口はあいているものの、声が出てこないらしい。

「だから、僕の正義は借り物だと言いたいんですか・・・?」

やっと、苦しげな声が漏れ出た。

「借り物?」
あいつルビーが言ったんです。僕の信念は借り物だって・・・」
「なるほど・・・ルビーちゃんらしいな」

士郎がふっと笑った事で、クロノの金縛りが解ける。

「あの子は、君が自覚もなく人を殺してしまったら、いずれその矛盾に行き当たった時、自分の手にこびりついた血を見て君が壊れるかもしれないと心配したんだろう」
「っつ!?」
「ルビーちゃんはああ見えて、私達より子煩悩だよ?」

それは、長い間を戦いの中に生きてきた男の言葉だった。
たとえ彼の半生を知らなくても、言葉ににじみ出るものはクロノに伝わる。
桃子もクスリと微笑んでいた。
フェイトは勿論、もし彼女を救えなかったら、なのはの心には確実に傷が残る。
ルビーはさらにクロノの事までも考えていたという事か?

「君が全て間違っていたわけじゃないと思う。ただ、それが正しいからと言って、それが犯罪者だからと言って、簡単にあきらめていいほど命ってものは軽いものかな?」
「・・・すいません、失礼します」

それだけ言うと、立ち上がったクロノは振り返らず部屋を出て行った。
扉が閉まり、彼の背中が見えなくなった事でやっと三人は息を吐く。

「すいません、部外者が生意気な事を言いました」

今度は、士郎がリンディに頭を下げる番だった。

「頭を上げてください。高町さん」
「はい」

リンディの言葉に、士郎は素直に従う。

「クロノの事、ありがとうございます」
「いえ・・・いずれは彼自身が自力で気付く事になっていたでしょう。私は余計な事をしただけです」
「ダメですね、女親はこういうとき何と言ってやればいいのか分かりません。どう教えたら良かったのかも分からないんです」
「彼の父親は・・・」
「はい、同じ局員で執務官でしたが・・・殉職して。ルビーちゃんがクロノに誰の遺志を継いだつもりなのかと聞いたとき、真っ先に夫の事を思い出しました」

リンディの目が遠くを見ている。
おそらく、今は亡き夫を見ているのだろう。

「リンディさん?」

そんなリンディに桃子が声をかけた。

「良い人でしょう?」
「ええ、本当にいい旦那さんですね?」
「ぶっ!!」

いきなり自分ネタで惚気られた士郎が吹いた。
年甲斐もなく赤くなってしまう。

「あげませんよ?」
「あらあら、それは残念」

桃子とリンディの間で、一瞬ではあったが確かに空間がゆがむほど重い重力の塊が発生したのを、士郎は見て震えあがる。
寿命ががりがり削られて行っている気がするが、ナメック星の神龍なら縮んだ寿命をサービスしてくれるだろうか?

―――――――――――――――――

『ムムっ!?きゅぴーんときましたよ!!』
「どうしたのかしら?」
『今・・・今何かとっても弄りがいの有りそうな状況が発生したような気がしたのですよ!!くっ、がっでーむ!!ルビーちゃんとあろう者が何にもできなかったなんて!!』
「何か良く分からないけど、自分をほめたい気分よ。すごくいい事をしたような気がするわ」
『しかも続けてひどい事を言われた気がします!!』
「それはなぜか自業自得な気がするわね」

プルプル震えるルビーを、冷めた目が見ている。
紫の長髪に、扇情的な紫のドレス・・・プレシアだ。

「そろそろ本題に入りたいんだけどいいかしら?初めまして、私の名前はプレシア・テスタロッサ」
『これはご丁寧に~ルビーちゃんの事はルビーちゃんとお呼びください。フェイトちゃんのお母さん?』

フェイトの母親という言葉が出たとき、プレシアの表情が一瞬ではあるが確かに変わった。
それにルビーが気付かなかったとも思えないが、追求する気はないようだ。

「ごめんなさいね、乱暴なご招待をしてしまって」
『いえいえ、お気になさらずに~ルビーちゃんも、フェイトちゃんのお宅訪問に突撃する手間が省けましたから~あはぁ~』

豪奢な椅子に座っているプレシアが妖艶に微笑みながら、ルビーを気遣う言葉を“鳥籠”の中にいるルビーに掛けた。
ルビーの現状は、絵に描いたような囚われの身という奴だ。

・・・少なくとも、主が客人をもてなすといった風ではない。
当然、鳥かごには魔力を封じる機能が付いている。
そうでなければルビーが大人しくしているわけがない。

『いえいえ、逃げるつもりなんかありませんよ?王子さまに助け出されなきゃ何のためのお姫様ポジションですか?ピーチ姫とか、それとピーチ姫とか、後はそうですね~ピーチ姫とか?』
「そ、そうね・・・」

お姫様の存在意義に悪者にさらわれて助け出されるシチュエーションが含まれるかどうかは疑問だとプレシアは思う。
後、ピーチ姫ばかりだな・・・桃姫って誰?とかも思っていた。

『それにプレシアさん?とはお願いしたい事がありましたから』
「そう?奇遇ね、私もあなたとお願いしたい事があったのよ」

プレシアがにやりと笑った。
どうやらここからが本番らしい。
場の緊張が高まる。

「その前に、貴女はどういう存在なのかしら?デバイスでは無いのでしょう?別の世界から来たマジックアイテムさん?」
『・・・初めてですね~魔導師の人でルビーちゃんをデバイスと呼ばない人は』
「管理局のボンクラどもと一緒にしないでもらいたいわね?」

プレシアがルビーを見る目に熱がこもっている。
恋のそれより熱い視線・・・例えるなら、砂漠に迷った旅人がオアシスを見つけた瞬間のような、そんな心から求めていた物をついに手に入れた人間の目だ。

その感情の名を・・・渇望という。

「貴女の力を私に貸してほしいの」

冗談やごまかしを入れる余地など微塵もなかった。
それは有無を言わせない圧力を内包していながら・・・どこか懇い願う言葉にも聞こえる。

『・・・ごめんなさい。ルビーちゃんのマスターはなのはちゃんだけです』

ルビーは正直に否と答えた。
油断させるという手もあるし、ルビーがその程度の事を思いつかないわけがない。
しかし、一人の人間の真摯な願いに対して、ふざけた答えを返すほど、ルビーは腐っていない。
これはルビーなりの真摯な態度だった。

「そう・・・道具の性かしら?主に操を立てているの?」

プレシアの瞳が一瞬で凍った。
すでに、ルビーをただの物としか見ていない。
交渉は決裂したようだ。

「考え直す気はないかしら?・・・これでも、私は最高クラスの魔導師なのよ?あんなひよっ子の魔導師なんかより、余程貴女を上手く使ってあげられると思うのだけど?」
『プレシアさんでは不可能です。ルビーちゃんを使う事が出来るのは、この世界でなのはちゃんだけです』

プレシアの顔が怒りで赤くなる。
ここまで決定的に拒絶されるとは思っていなかったのか?
それとも、魔導師としてのプライドに傷がついたからか?

・・・おそらく両方だろうという気はする。

「・・・マスターの設定を、あの子から私に切り替えてくれればいいのよ?」
『そんな事をしても、プレシアさんにルビーちゃんは使えません』
「言うわね・・・貴女を分解して言うなりになるように組みなおす事だって・・・」

今度は脅迫できた。
プレシアはどうあってもルビーの力を手に入れたいらしい。

『出来ないんでしょう?』

だが、ルビーの返事は冷静だった。
くっとプレシアの声が詰まる。
それは、ルビーの言葉の肯定に繋がる。

『もしそんな事が出来るんなら、最初からルビーちゃんとお話しようなんて思わないはずですよね?』

もし、プレシアに言葉通りの事が出来るのなら、こんな回りくどい話などせずにさっさとやっているだろう。
プレシアからは、そのくらいの事では躊躇わない本気を感じた。
それをしないのは、ルビーがデバイスではなく礼装だからだろう。
流石のプレシアにも、礼装を扱った経験はあるまい。
下手に弄って、ルビーの持つ本来の能力に不具合を起こすことを恐れたのだ。
だから、ルビーの自主的な協力を求めていると考えれば、ルビーに交渉を持ちかけてきたことの話は通る。

『ルビーちゃんに何をさせたいんですか?』
「・・・協力を約束してくれないのなら話すわけにはいかないわね?今度は貴女の番よ?貴女のお願いとは何かしら?」

プレシアが、話の方向を変えてきた。
このままでは平行線のままだと気がついたのだろう。
ルビーのお願いからアプローチをかけるつもりのようだ。

『プレシアさん、ジュエルシードを使わないでください』
「・・・何故?」
『何に使うつもりか知りませんが、危険です』

プレシアの目が細くなる。

「ストレートな物言いね、確かに貴女のマスターのいるあの世界も、場合によっては危険になるのだから仕方・・・」
『いえ、危険なのはプレシアさん?貴女ですよ』
「え?」
『もし、貴女が行う事で次元震が起こるとしたら・・・そしてもし、本当にそれが世界が滅ぶような代物だったら・・・』

ルビーが言葉を切ると、今までにない重い空気がのしかかってくる。
我知らずプレシアも唾を飲んだ。

『貴女は死にます。逃れ得ない形をとった死が、貴女の前に現れるでしょう』
「・・・何だ、その程度の事?」

拍子抜けしたと、プレシアから力が抜けた。

『プレシアさん・・・今回のルビーちゃんはマジです。冗談でも嘘でもありませんよ?』
「そんな事は、“私”にとっての脅しにはならないわよ?・・・気づいているんでしょう?」
『・・・・・・』

ルビーが、おそらくは初めて言葉を失った。
今度はその沈黙が、ルビーがプレシアの状態を理解していることを肯定してしまう。
それに満足したのか、プレシアが玉座から立ち上がった。

「死ぬ事が決まっているのなら、後はどうやって死ぬかでしょう?・・・私はあきらめないわ、貴女に自主的に協力させる方法はいくらでもあるのよ?」
『なんと!?王の力は貴女を孤独にしますよ!?』
「・・・・・・・・・・・・・・・王の力?何それ?」
『いえ、何でもありません。聞き流して下さい』

滑ったギャグの説明ほど気まずい物もなかろう。
自信があったりしたら泣きたくなる。
ともあれ、どうやらこれで話は終わりらしい。
ルビーに背を向けて、プレシアが部屋を出て行く。

『プレシアさん?フェイトちゃんの母親として、それでいいんですか?』
「・・・・・・あの子は、お人形よ。娘ではないわ」

扉が閉じて、プレシアの姿が見えなくなる。
重い音は拒絶そのものにも思えた。

『やれやれ、プレシアさんは魔導師より、どっちかと言うと魔術師わたしたちに近い気がしますよ~ギャグが通じません~』

・・・そう言う問題なのか?
つーか今のは確実にルビーの一人自爆だろう。

『ってあああ!!』

そしていきなり絶叫。

『「時代が彼女を求めているのよ」って台詞を言ってもらうのを忘れてましたー!!』

それはずっと忘れていた方がいい事じゃないだろうか?
何所まで行っても、ルビーの本質が変わる事はないのだろう。

―――――――――――――――

「犯人の目星がついた」

アースラの艦橋に全員を集め、開口一番クロノが口火を切った。
今回は高町家の全員が参加している。
なのはも・・・まだ青い顔をしているが気丈にも参加していた。
左右のユーノとすずかが、心配そうになのはを見ている。

「プレシア・テスタロッサ・・・名前だけは昨日ぐらいに出てきたんだが、フェイト自身の戸籍がないことから今回の件の大元か判断ができなかったんだ。だがさっきの攻撃の魔力波動が登録データと一致したことからようやく確証を得られたというわけだ」

なのはとフェイトにはなたれた、次元を超えて打ち込まれてきた魔力砲は、同時にアースラにも放たれていた。
その直撃を受けたアースラは、現在エンジンその他の機関に障害が出て動けないでいる。
これだけでも、彼女が卓越した魔導師であることを察するのはた易いだろう。

「専門は次元航行エネルギーの開発、偉大な魔導師でありながら、違法研究と事故によって放逐された人物です」
「違法研究・・・まさか・・・ルビーちゃんも違法研究に?」
「「「「「う~ん」」」」」

なのはの疑問に、この場にいる全員が首をかしげた。

「ルビーって何もしなくても違法っぽいんだけど、今更?」
「アイツ、妙な能力を持っているからそれを狙って?」
「でも、ルビーちゃんが本気を出したのはついさっきの事なんだよ?行動が早すぎない?」

ジュエルシードだけなら話はわかりやすい。
しかし、そこにルビーまでが加わるとなると、とたんに相手の意図が読めなくなる。
長い時間共にいる高町家のメンツにも理解できない部分の有るルビーだ。
考えられる可能性が多すぎて絞りきれない。
何もかもできそうな気がするだけに・・・そう言う意味では性質が悪かった。

「艦長!!」

思考に行き詰まった場を、エイミィの緊張した声が砕く。

「どうしたの!?」
「レーダーに転移魔法の反応が来ました。魔力の波長から、フェイト・テスタロッサのものと確認!」
「フェイトちゃんが!?」
「場所は・・・海鳴市の海上、ジュエルシードが発動していた場所です!!」

それを聞いた瞬間、なのはは転送ポットへ向かって駆け出していた。

―――――――――――――――――

アースラのセンサーが感知した通りの場所に、二人分の人影があった。
数時間前の嵐が嘘のように静まった海上に浮かんでいるのは、フェイトとアルフだ。

「うう・・・ったく、プレシアの奴!どう言うつもりだい!?」

どうやら、ここにいるのは彼女達の意思ではないようだ。
アルフの悪態からして、プレシアの仕業のようだ。

「アルフ、大丈夫?」
「すまないね、フェイト」

アルフはフェイトに支えられていた。
良く見れば彼女は、魔力によるものだろう火傷のような傷を負っている。

「母さん、なんで・・・」

フェイトもまた、アルフと同じ疑問を何度も反芻していた。
何が起こったのか理解できない。
フェイトとアルフは、プレシアに確保したジュエルシードを渡した後、ジュエルシードの嵐の中で負った傷を癒していた。
そこにいきなりプレシアが現れたのだ。
プレシアはいきなり安静にしていたフェイトの腕を掴み、文句を言うアルフを力尽くで黙らせた。
アルフのダメージはその時のものだ。
そしてそのまま目を丸くしているフェイトとアルフをまとめて転送ポットに放り込み、この場所に転送してのだ。
何を考えてこんな事をしたのか、本当に理解できない。

「と、とにかくこの場を離れよう。時空管理局の連中が来る」
「う、うん」
「フェイトちゃん!!」

アルフの言葉に頷くフェイトだが、行動に出るより早く声が来た。
しかも、今一番会いたくない人物の声だ。

「なのは・・・」

―――――――――――

見下ろすなのはの視線の先に、アルフを支えながら宙に浮かんでいるフェイトがいる。
彼女の視線が、なのはを見て揺れているが、今のなのはにその思いを察してやる精神的余裕はなかった。

「フェイトちゃん!何でなの!?ルビーちゃんはフェイトちゃんも助けてくれたんだよ!?それなのに、卑怯だよ!!」
「そ、それは・・・」
「あ、あれはあたしがやったんだ!フェイトには関係ない!!」

答えられないフェイトに代わって、アルフが弁明してきた。
こっちも、まともになのはを見ようとはしていない。
いや、実行犯である彼女は罪悪感から見れないのか。

「何のために!?」
「それはあたしも・・・」

本当にすまなさそうに、言葉が尻すぼみになる。
本気で知らないのか?

『それはね、お嬢ちゃん?私が彼女に会いたかったからよ?』
「「「っつ!?」」」

いきなり、空間にモニターのような映像が現れた。

「誰?」

見覚えはない。
紫色の長い髪に妙齢、あるいは熟女と言うべき女性だ。

「母さん」
「え?」

反応したのはフェイトだ。
モニターの女性を見て、母さんとつぶやいたという事は・・・。

「フェイトちゃんのお母さん?」
『いいえ、違うわ』

帰ってきたのは否定の言葉だった。
困惑しているフェイトの事を見もしない。
・・・本当に母親では無いのか?

それでいて、なのはを見て妖艶に、でもどこか危うい笑みを浮かべている。
そんな二人の様子に、なのははついて行けずにおろおろと視線を彷徨わせた。

『人形の事なんて気にしなくていいのよ。なのはさん?』
「に、人形?」
『フェイト、貴女の事よ?』
「え?」

フェイトの口から疑問詞が漏れた。

「プレシア・テスタロッサ、時空管理法違反、及び管理局艦船への攻撃の容疑で貴女を逮捕します」

なのはの傍に、クロノとユーノが遅れて転移してきた。
それに対して、プレシアが分かりやすい不快の表情になる。

『これからがいい所だったって言うのに、無粋ね?話の腰を折るなんて礼儀を教わらなかったのかしら?』
「ロストロギアだけでなく、他人のデバイスを誘拐した人間がどの口でふざけた事を言う?」
『反論できないのが悔しいわね』

罵倒されてもプレシアは余裕だ。
微笑むことができる程度には。

「観念しろ、彼女フェイトの転移と通信の魔力をたどってその場所の特定はできた。逃げられないぞ!?」
『逃げるなんて、私は旅立つのよ。そんな後ろ向きな言い方をしないでほしいわ』
「何を言って・・・」
『フェイト、最後に貴方にはいいものを見せてあげる』

プレシアが、クロノを無視してフェイトに話しかけた。
訳が分からず、不思議そうな顔をしているフェイトを見て、ニヤリと笑ったプレシアが横に避ける。

「「「「「っつ!?」」」」」

全員が息をのんだ。
プレシアの影になって見えなかった物・・・それはガラス製のポッドだった。

『もう良いの、終わりにするわ、この子を亡くしてからの暗鬱な時間も、この子の身代わりの人形を娘扱いするのも』

ポッドの中には人間が入っていた。
なのは達よりも幼い少女だ。
全裸で水に浮かんでいる姿は眠っているようにも見えるが・・・おそらくあれは死んでいる。
そして何より、少女の顔は・・・。

「わ、私?」
『いいえ、違うわフェイト。この子があなたなんじゃない。貴方がこの子に似せて作られた人形なのよ。間違えるなんて本当にダメな子ね』

プレシアは愉快そうだ。
何所が笑うべき所だったのか、クスクスと笑っている。
どうしようもなく寒気のする笑い方だった。

『折角、アリシアの記憶をあげたのに・・・そっくりなのは見た目だけの、役立たずでちっとも使えない・・・・私のお人形』
『クロノ君?』

エイミィからの通信が入って、あっけにとられていた子供達に少しの冷静さが戻ってくる。

『最初の事故の時にね、プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの』
「つまり・・・あの子がアリシア・テスタロッサなのか?娘の遺体を保存していたのか?」
『多分そう・・・そしてね、彼女が最後に行なっていた研究は、使い魔とは異なる・・・・・・使い魔を超える人造生命の生成』
「ホムンクルス?」

なのはが茫然とつぶやいた。

『そして、死者蘇生の秘術・・・≪フェイト≫って名前は、当時彼女の研究に付けられた時のコードネームなの』
『よく調べたわね』

黙ってエイミィの説明を聞いていたプレシアが、愉快そうに言った。

『そうよその通り。でも、駄目ね。全く上手くいかなかった』

スクリーンの中のプレシアの目は、物を見るそれだった。

『作り物の命は所詮作り物、失ったものの代わりにはならないわ』
「フェイト!?」

ふらりと墜落しそうになったフェイトの体を、アルフが受け止める。
プレシアに視線を向けられたフェイトが、アルフの腕の中でガタガタ震え出した。

『アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。アリシアは時々我侭も言ったけど、私のいう事をとてもよく聞いてくれた』
「やめて・・・・」

思わずなのはの口から声が漏れた。
今すぐに、プレシアの口を閉じたい。

『アリシアは、いつでも私に優しかった。フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽者よ。せっかくあげたアリシアの記憶も、あなたじゃダメだった』
「やめて・・・やめてよ!!」
『アリシアを蘇らせるまでの間の、私が慰みに使うだけのお人形、もう必要はないけれど、でも最後に私の役に立って頂戴』
『そこまでです!!』

なのは達が脱力している間に、もう一つのスクリーンが展開された。

『また邪魔するの?本当に時空管理局は話の腰を折るのが上手いわね?』
『子供がいじめられているのを見れば、当然の行動と思いますが?時空管理局所属艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです』

映っているのはリンディだ。
これ以上は見ていられないと、出張ってきたのだろう。
確かにここから先は大人の仕事だ。

『初めまして、プレシア・テスタロッサよ』

リンディの名乗りにプレシアが答えた。
プレシアも、話の相手をリンディに切り替えたようだ。

『貴女のいる場所にはすでに突入隊が向かっています』
『御苦労さま、でも捕まらないと思うわよ?』
『・・・ルビーちゃん?』

全員がはっとする。
結局、ルビーをなぜ必要とするかの理由はまだ明かされていないのだ。

『察しがいいわね、彼女には道を開いてもらいたくてご招待したのよ』
『道?』
『伝説のアルハザードへの道を』
『「「な!?」」』

皆が驚愕の表情になる。
反応出来なかったのはなのはだけだ。

「ユーノ君、アルハザードって何?」
「忘れられた都とも呼ばれている、ずっと昔に滅んだって言われている御伽話の世界だよ」
『アルハザードは存在しているわよ。ぼーや?』

返事を返されるとは思っていなかったユーノがびくっとなる。

「な、なんでそんな断言ができるんだ?」
『証拠があるもの』
「証拠!?そんなまさか!!」

ユーノが信じられないという顔になっている。
今の心境を例えるならば、トロイア戦争の実在を証明された時の考古学者たちの心境だろうか?

「え?ルビーちゃん!?」

スクリーンの中に現れた見覚えのある姿に、思わずなのはが叫ぶ。

『あ、なのはちゃ~ん』

いつもと変わらないルビーの調子に、空中だというのになのはをはじめ、一同ずっこけた。
心配ないとは思ってはいたが、ここまで気楽に返されると来るものがある。

『私は彼女を見た瞬間に確信したわ、アルハザードは存在するんだって』

プレシアは陶酔しているかのような顔になる。

『貴方達は何故気付かなかったの?魔法陣を展開させることなく、自力で魔法を使えるこの子の力はミッド式でもベルカ式でもない』
『それがアルハザードの魔法だと?』

リンディの問いにプレシアが頷く。
確かに、ルビーの使うそれは魔導師達の知らないものだ。
アルハザードのそれと違うかどうかは誰にも分からない。

『アルハザードってなんですか?』

話の中心にいるというのに、ルビーが一番話について来れていない。

『そうね、貴女達は自分の世界をアルハザードなんて呼んでいないのかもしれない。なら一つだけ教えてくれないかしら?貴女の世界には死んだ人間を生き返らせる技術は存在しているのかしら?』
「ばかばかしい」

プレシアの言葉を、吐き捨てるように否定したのはクロノだ。

「そんな事、出来るわけがないだろう!?そんなのは奇跡の領域だ」
「え?魔法にはできないの?」
「・・・何?」

思わず聞き返したクロノが見たのは、キョトンとした顔をしているなのはだった。
魔法と魔術・・・二つを比べたとき、破壊力という面では、一部の常識はずれを除いて圧倒的に魔法の方に軍配が上がる。
しかし、バリエーションという意味では魔術の方が上なのだ。
それは魔術師達が、根源に至る為に様々な方法を模索してきたからに他ならない。

その中には、当然生命に関する魔術も含まれている。
むしろ、黎明期から率先して行われ、現在も尚研究され続けている分野だ。
理由は実に簡単で、人間の一生は根源に至る為には短すぎる。

実際問題として、魔術での死者蘇生は不可能ではない。
勿論ピンきりではあるが、彼の聖杯戦争における英霊の召喚などは、まさに死者蘇生その物だし、意思を交わすだけなら時計塔の中に降霊学科というものが存在しているくらいだ。
いよいよとなれば、死徒に噛ませるという手も在りはする。
その後、ちゃんと死徒になれるかどうかは別問題ではあるが、ちゃんと死んだ人間が生き返っているという意味で死者蘇生は成立しているのだ。

さて・・・なのはは元々魔術師である。

基本的に魔術師としての知識が存在する。
それに対して魔法を知ってまだ一カ月もたっていない。
魔導師の魔法と魔術の差異を完全に把握していなくとも、ある意味で仕方がないと言える。

『あら、貴女は知っているようね?』

だが、両者の差異を知るタイミングが最悪だった。
プレシアの唇が裂けるかと思うほどに吊りあがり、それを見たなのはが恐怖で真っ青になる。
今のプレシアの顔はそれほどに危険で恐ろしかった。

『プレシアさん、貴女の目的は黄泉返りだったんですか?』

スクリーンの中のルビーが話しかけると、反応してプレシアが振りかえる。
子供たちがそれにほっとしたのはやむを得ない。

『その通りよ。貴女の世界の魔法で、私はアリシアを取り戻すの、誰にも邪魔させない』
『・・・ルビーちゃんにはそんなことできませんよ?』
『そうでしょうね』

娘の蘇生は不可能と言われても、プレシアに落胆の様子はない。

『それでもあなたはここにいる。この世界で過去、次元震が起こった事はなかった。それはつまり次元震を起こすことなく、貴女はこの世界に移動してきたという事を意味する。貴女は世界を越える力を持つ道具なのでしょう?』

頭の良い奴はこれだから・・・察しというか洞察力というか・・・頭が切れすぎる。

『無理です』
『あの世界にいる全員が人質になっても?』
「「「「「何―――!?」」」」」

いつの間にか、プレシアはこの世界の全員を人質に取っていたようだ。
多分ルビーに対しての・・・はったりとは思えず、そしてそれは直後に証明される事になった。
プレシア・テスタロッサは、世界を人質にしてルビーを脅迫するという前代未聞の犯罪をやってのけたのだ。

――――――――――――――

『何を考えているんですかプレシアさん?まあ大体の所は予想できますけど~?』
「そう、それは話が早いわね?」

プレシアを中心に、十五個のジュエルシードが円状に配置される。
全ての青の石が同時に魔力を放出し始めた。

「さあ、次元震が起こるわよ!?あの世界にいる全員が死ぬわ!!」
『やめてください。こんな事、無意味です!!しかもあなたの寿命が!!』
「そんな言葉が聞きたいんじゃないわ!!」

プレシアの様子は鬼気迫っていた。
その口元に、血の筋が顎の形に沿って流れおちる。
二回の次元跳躍魔法、そして今ジュエルシードを発動させたことが無関係ではあるまい。

「私が聞きたいのはYESという答えと実践よ!!何故!?世界を滅ぼすほどの魔力がここにある!!何が足りないの!?私とあの小娘の何が違うっていうの!?」
『そう言う問題ではありません』

ルビーがため息とともに語り出す。
プレシアに協力できないその理由を・・・。

『プレシアさん?なのはちゃんは魔術師です。魔術師というものはまず魔術回路・・・貴方がたの言うリンカーコアを、魔力を使って魔術を使う事に特化した形に作り直すところから始まるんです』
「な!?」

プレシアがうろたえた。
リンカーコアを弄るなど、思ってもみなかったのだろう。

「そんな・・・アルハザードではリンカーコアの人為的な改造まで可能なの?」
『つまり、私の能力を完全な形で発動する為には、魔術師でなければならないのです』
「なら、私を魔術師にしなさい!今すぐ!!」
『無理です。そんな事をすれば、魔術回路を作り出す前に、プレシアさんは死にます』

普通の状態でさえ、万全の注意を払っていながらも失敗して命を落とす魔術師見習はいる。
二度の大魔法とジュエルシードの発動で命を削ったプレシアでは、残り少ない命の火を一気に吹き消してしまうだろう。
魔術回路の構築には耐えられない。

ルビーの見ている前で、力を失ったプレシアが膝をつく。

『だから、もう止めてくださいプレシアさん・・・そうじゃないと最悪の結果に・・・』
「ふふふ・・・」
『プレシアさん?』

プレシアの方が小刻みに震えている。

「・・・どうって事ないわ、最初の予定に戻っただけじゃない」
『プレシアさん!?』
「このまま次元震を起こして、アルハザードへの道を・・・」
『そんな力技で平行世界への道が開くわけがないです!!』

第二魔法の結集であるルビーだから断言できる。
次元世界の理屈も大体理解した上での結論だ。
次元世界の行き来を、近所の家に遊びに行くのだと仮定すれば、平行世界の移動は昨日の我が家に行くに等しい。
根本的な部分が違うのだ。
力技でどうこうなるものではない。
過去の魔導師達がアルハザード・・・っと言っていいのか分からないが、ルビー達の世界にたどりつけなかった事も、この辺りの勘違いが関係しているのだろう。
大規模な次元震で道が開くのなら、過去に一度も開かなかったというのはおかしい。

『プレシアさん、このままでは本当に取り返しのつかない事になっちゃいます!!』

プレシアが忘我しようが、目的を軌道修正しようが、ジュエルシードは今も段階的に魔力を高めている。
放出される魔力はすでに、隣接する次元世界にまで影響を与え始めていた。

『っつ!?』

何かが変わった。
言葉に出来ない何かだ。
あえて言うのなら、周囲のすべて、あるいは世界全てに害意を向けられているような寒気、戦慄・・・世界が殺気で満たされた。
この空気に気づけないのは、生き物として終わっている。

「な、何?」

プレシアも同じように何かを感じて、あわててモニターの映像を空間に表示する。

「これは・・・魔力が集まっている?」

表示されたデータは、周囲の魔力が一点に向けて集まって行っていることを示している。
しかもその場所は、次元空間内の何もない場所だ。
何か、あるいは誰かが存在しているとは思えない場所である。

『・・・遅かった』

ルビーの言葉に、初めて聞く苦渋がにじむ。
彼女はこの状況の意味を知っていて、そしてこうならないことを望んでいたのだから。

「あれは・・・人?」

モニターを見ながら、プレシアが茫然とつぶやく。
移動する魔力の終着点に変化があった。
魔力が凝縮し、物質としての形を取り始めたのだ。
それは無の空間に有を生み出す、まさに魔法と呼ぶべき光景・・・そして魔力が変じたそれは・・・。

『・・・シロウさん』

そこにいたのは、赤い外套を翻し、銀の短い髪の下に鷹のような鋭い眼差しを持つ紅の弓兵の姿だった。


本当は休むつもりでしたが、思いのほか早く仕上がったので投稿しておきます。
でも来週は本当に休み、ラストバトルに突入するので練りこみが必要なのです。
さあ、上げて行こうか!!


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