東電和解の遅れ 賠償額に加算7月6日 18時34分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の損害賠償を巡り、国の紛争解決機関は、東京電力が和解案の受け入れを不当に遅らせているとみられるケースが増えていると批判し、今後、解決の遅れを損害として賠償額に加算するという異例の対応を取ることを決めました。
原発事故の被害者と東京電力との和解を仲介する国の「原子力損害賠償紛争解決センター」は、これまでに3000件を超える申し立てを受け付けていますが、和解が成立したのはおよそ300件にとどまっています。
センターによりますと、東京電力が和解の成立を不当に遅らせているとみられるケースが増えているということで、原発近くに住む自営業者のケースでは、ことし3月に和解案を示したにもかかわらず、東京電力は理由も示さないまま回答期限を守らず、3か月たった先月、当初の案で和解が成立したということです。
センターは東京電力に改善を求めるとともに、対応が明らかに不当だと判断した場合は解決の遅れを損害として賠償額に加算する新たな基準を作りました。
和解の仲介で、解決の遅れを損害と見なすのは異例で、センターの野山宏室長は「引き延ばしは、ことし春ごろから目立ってきており、会社全体の姿勢に問題があると感じている」と批判しました。
これについて、東京電力は「放置していたわけではなく、1件1件の対応に時間がかかり、結果として遅れてしまった」としたうえで、「被害者の方々に大変なご迷惑をおかけし、重ねて深くおわび申し上げます。今回の件を担当した関係者については、厳重に注意するとともに、今回の指摘を真摯(しんし)に受け止め、和解案の尊重について社内で徹底します。ほかの和解案の進捗状況の管理を徹底し、再発防止を図っていきます」というコメントを出しました。
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