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2ちゃんねる発“実況文化”の興隆 「ンゴwwww」「麿」「マモノ」もここから広まった

ねとらぼ 7月6日(金)16時33分配信

2ちゃんねる発“実況文化”の興隆 「ンゴwwww」「麿」「マモノ」もここから広まった
画像:ITmedia

 7月2日、2ちゃんねる(2ch)の「NHK総合を常に実況するスレ」のスレッド数が7万7777を迎えた。縁起が良いラッキー7ということで、記念に書き込む人が多く見られた。このスレッドは、タイトルの通り「NHK総合の実況」を延々と行うところであり、始まりは2001年10月にさかのぼるなど、2chでも屈指の長寿スレとなっている。

 人気アナウンサー登坂淳一氏の愛称である「麿(まろ)」が広まったのも、このスレによるところが大きい。NHKに限らず、実況板では「今、この瞬間の情報」を共有することができるため、常時多くの人が集まっている。そうすると自然と文化が生まれてくるもので、今回はそのような「2chの実況文化」についてまとめてみた。

●実況板ってなんだ!?

 そもそも、2chにおいて実況する行為は、基本的にはNG。実況を認めてしまうと、あまり内容のない書き込みで埋まってしまい、スレが早く落ちてしまうからだ。実況する際には、専用のスレで行うことがマナーであり、そのために「実況ch」が用意されている。

 2001年に芸能chとして新設された実況chは、次第に整備が進み、現在は主にテレビ局やスポーツ別に30種類以上に分類されている。ここでは思う存分実況することができ、皆でわいわい楽しむ感覚が味わえる。映画「コマンドー」などの一見B級に思われる作品も、実況と共に鑑賞すると、途端に面白くなってくるのだから不思議なものである。

 それでは、実況板ならではの文化を見ていこう。いくつか有名なものをピックアップしてみた。

・マモノ

 「甲子園には魔物が棲む」という格言と、ドラゴンクエストの荒くれが合体して生まれたキャラで、波乱を司る存在。大逆転やエラーが起こるのは「マモノの仕業」であり、選手だけが悪いのではない。そんな実況民の優しさも相まってカタカナ表記となっている。このちょっとかわいらしいAAの種類は非常に豊富で、高校野球をはじめとした多くのスポーツ実況のたびに張られている。

・松木タイピングスレ

 熱血的なサッカー解説に定評のある松木安太郎氏の言葉をタイピングしていくもの。居酒屋で一緒に居合わせているような雰囲気のなか、試合を見ながら氏のアツい言葉を打ち込んでいく。2008年頃から定番のスレとして親しまれている。

・ピンつま

 日曜夕方の名物番組「笑点」の大喜利に出演する三遊亭好楽氏への声援を指す。好楽さんがピンクの着物を着ていることに加え、披露するネタが基本的におもしろくないことから、ピンクつまんね、略して「ピンつま」である。ちなみに、好楽さんに限らず実況板では、大喜利の各メンバーを「色」で呼ぶことが常となっており、こういった作法は、髪色でキャラを判断するような昨今のアニメの鑑賞法にも受け継がれている。

・こなああああああゆきいいいいいい

 レミオロメンの代表曲「粉雪」のサビ部分。目一杯声を張り上げて熱唱する様子に、2005年末から共感する人が急増。一体感を感じられる言葉として人気になった。「ニコニコ動画」の初期から愛されている弾幕(画面を同じコメントで覆い尽くすこと)でもあり、一過性のブームを超えて定着している。

・市況1のスレタイ力

 国内株式市場の実況をする「市況1」では、各企業の情勢を圧縮したタイトルがスレッドにつけられることがままある。悪ノリの要素も多いが、洒落たものも時々あり、住民のセンスがうかがえる。

(例)オリンパス

【7733】オリンパス【前社長が爆弾投下】

【7733】オリンパス【阿鼻叫喚!】

【7733】オリンパス【ホルダーの心が折リンパス】

【7733】オリンパス【1000円の攻防】

【7733】オリンパス【FBI調査】

【7733】オリンパス94【ライブドアと何違う?】

【7733】オリンパス117【スージー様はやりたい放題】(実質118)

【7733】オリンパス134【GSイチぬーけたっ】

【7733】オリンパス143【存続をかけた戦い】

【7733】オリンパス153【上場維持決定】

●実況文化の発展

 かつては2chに集中していた「実況」もネット文化の発達によって、様々な場へと広がっている。次にそちらを確認していこう。

・ニコニコ動画

 ご存知の通り、コメント機能が充実している「ニコニコ動画」では、時間差がありながらも場を共有できる「疑似同期」が可能だ。またニコニコ生放送も実況において圧倒的な力を誇っている。2012年1月に配信された「アイドルマスター」の特別番組では、4時間半の間に200万ものコメントを獲得した。

・アニメ実況のまとめサイト

 2008年に放送されたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」では、2カ月に渡ってほぼ同じ話が繰り返される「エンドレスエイト」が展開された。その際、2chまとめブログが実況板の状況をまとめたことで、一部のネットユーザーの関心は、本編そのものより、むしろ視聴者たちへと移っていた。アニメのキャプチャ画面と共に実況民の反応が見えるようになったことで、新たな楽しみが生まれた。「エンドレスエイト」を1つのきっかけに、以降、アニメの実況は各所でまとめられるようになっている。

・Twitter

 Twitterを筆頭とするソーシャルメディアの登場は、実況文化にとって革新的な出来事といえる。リアルタイムに情報をシェアすることは、今や当たり前のことになっていて、かつてとは比べ物にならない量の情報が発信されている。なかでも日本はちょっと不思議な方向に盛り上がっているのが興味深い。「天空の城のラピュタ」が放送された時に記録した、1秒間あたりに2万5000ツイートはTwitterの歴代記録になっている。

●感動を共有するなんJ

 こうした実況の高まりは広告会社をはじめとする各企業の研究対象にもなっている。人々の生の声を収集し、分析する「ソーシャルリスニング」は、マーケティングに欠かせない存在であり、その解析結果からは、生放送のスポーツ番組とソーシャルメディアの相性が特に良いことも分かってきたという。Twitterなどで繋がりながら視聴するスタイルを指す、「ソーシャルビューイング」という言葉も生まれている。

 このことは、2chにおける「なんでも実況J(ジュピター)」の隆盛と無関係ではないだろう。実況chには、なんでも実況するS/V/J/Uの4種類の板があり、一時期のなんJは、なんUに吸収されかけるなど、過疎板もいいところだった。しかし2009年、野球chに厳しい規制がかかったことから、野球実況を生業とする層がなんJに進出し、今や2chでも有数の勢力となっている。2008年に、当時楽天に所属していたドミンゴ投手が、9回裏2点リードから登板するも、ワンアウトもとれないまま逆転サヨナラ弾を浴びたことから生まれた「ンゴwwww」という用語は、未だに多くの場所で使用されている。

 なんJが人気な理由は、野球というコミュニケーションツールが背景にあり、さらに踏み込むと、スポーツを一緒に見ることによって得られる「感動の共有」が根本にあるのだと考えられる。これはもちろん、実況全般に関わることでもあるが、スポーツにおいてより顕著に見受けられるようだ。TwitterのTPS記録の上位にスポーツ関連が多いことも証左であろう。

 さて、2012年といえば、ロンドンオリンピックが開催される年である。ソーシャルメディアの充実により、かつてない規模で実況が行われることは間違いないだろう。その時、2chの実況板でも新たな文化が生まれるのか――要注目の夏になる。

●著者紹介

高橋史彦。1985年生まれ東京育ち。「ねとぽよ」などで活動する駆け出しライター。カジノ解禁の行方をウォッチしながら、喧嘩商売の連載再開を心待ちにする日々を過ごしている。

(http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1207/06/news083.html)

最終更新:7月6日(金)16時33分

ねとらぼ

 

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