東京電力が本店で毎日開いている記者会見について、フリーライターの木野龍逸(りゅういち)さん(46)を出入り禁止にしていたことが5日、分かった。6月27日の株主総会で、東電が音声や映像を流さないよう報道側に求めたのに対し、木野さんがインターネットを通じて音声の生中継を行ったことが「ルール違反になる」と判断したという。
「検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか」の著書がある木野さんは、福島で原発事故が起きた昨年3月以降、東電の記者会見にほぼ連日、出席してきた。株主総会では、会場から総会の音声をスマートフォンを使って配信したという。
東電広報部は朝日新聞の取材に、「株主総会は会社と株主が議論する場。プライバシーに配慮し、録音や録画を、そのまま流さないようお願いしていた。ルールに違反したため、記者会見にも参加しないよう求めた」と説明している。
木野さんは6月27日夕の会見以降、出席が認められていないといい、取材に対し、「原発事故で国民に損害を与え、税金投入で事実上の国有化が進む中、株主総会の映像や音声を公開できないこと自体に問題がある」と話した。(西本秀)