イラン:反米? 偽ケンタッキーが大人気
毎日新聞 2012年07月06日 10時42分(最終更新 07月06日 11時01分)
【テヘラン鵜塚健】米国主導の対イラン制裁が強まり、両国関係が悪化する中、イランで、米国のファストフード店「ケンタッキー・フライドチキン(KFC)」とそっくりの店が次々に開業し、市民に大人気だ。イランの運営会社側は「本物」と主張するが、米国の本社は全面否定。それでも市民の強い米国志向が、人気につながっている。
今年2月以降、テヘラン周辺や東部マシャドなどに約30店が開店または準備中。店内の内装も本物そっくりだ。シンボルマークである男性の顔のデザインも一見本物と同じだが、ネクタイだけがない。政府から「ネクタイは西洋の象徴だ」と警告を受け、店側が消したという。
運営会社のアフマディさん(35)によると、鶏肉を揚げる粉はアラブ首長国連邦を経由して米国から輸入し「(KFCと)正規の契約を結んだ」と話す。
イスラム革命(79年)以降、イランは米資本を拒絶しており、大手ハンバーガーチェーンやコーヒーショップも進出していない。そのため、「革命後初の米資本進出か」と話題になったが、米ケンタッキー州の本社は「イランには一切出店していない」と否定し、権利侵害で法的措置を取ったという。