完勝がもたらす結末
財務省が次に連立を組むのはどこの政党になるのだろう。その連立が実際には、消費税増税を実施する。
前回の増税は、社会党党首だった村山政権で増税が決まり、自民党の橋本政権が実施した。不人気政策を社会党にやらせ、そのあと権力に就いた橋本首相は、増税後の経済悪化に直面した。財務省に騙された、と悔やんだという。
財務省内でささやかれる「勝ち過ぎ論」の底流には、細川政権での教訓がある。
「10年に一人の豪腕次官」と言われた斎藤次郎次官が細川政権を動かし「国民福祉税」を画策した。政権瓦解で財務省は政治的報復を受け、金融部門を分離させられたうえ、「大蔵省」という名前も剥奪された。政治への介入は慎むべし、という教訓が生まれたが、再び起こった政権交代で、財務省は政治のど真ん中に立ってしまった。
「ポスト勝」の財務官僚たちが心配するのは、今回の完勝がもたらす結末である。
財務省が担ぐ野田政権という神輿は壊れかけている。自民党の谷垣体制も危うい。自在にできたこのコンビが退場し、反野田、反谷垣の勢力が天下を取れば、財務省への風当たりは厳しくなる。
政局の風向きによっては、「財政再建に向けた第二歩」どころか「一歩目」を踏み出すことさえ危なくなるかもしれない。
誰の目にも財務省主導の増税である。しかし事務次官は政策に責任を持てない。野田首相以上に「命がけ」で取り組んでいる勝英二郎次官の採る道は一つ。そこまで信念を持って政治に関わっているなら、「財政再建党」を作って政界に打って出ることをお勧めする。
(文中敬称略)