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山田厚史の「世界かわら版」
【第13回】 2012年7月5日
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山田厚史 [ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員]

勝栄二郎次官は異例の在任3年目に突入
財務省も懸念する消費税増税“完勝”の結末

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完勝がもたらす結末

 財務省が次に連立を組むのはどこの政党になるのだろう。その連立が実際には、消費税増税を実施する。

 前回の増税は、社会党党首だった村山政権で増税が決まり、自民党の橋本政権が実施した。不人気政策を社会党にやらせ、そのあと権力に就いた橋本首相は、増税後の経済悪化に直面した。財務省に騙された、と悔やんだという。

 財務省内でささやかれる「勝ち過ぎ論」の底流には、細川政権での教訓がある。

 「10年に一人の豪腕次官」と言われた斎藤次郎次官が細川政権を動かし「国民福祉税」を画策した。政権瓦解で財務省は政治的報復を受け、金融部門を分離させられたうえ、「大蔵省」という名前も剥奪された。政治への介入は慎むべし、という教訓が生まれたが、再び起こった政権交代で、財務省は政治のど真ん中に立ってしまった。

 「ポスト勝」の財務官僚たちが心配するのは、今回の完勝がもたらす結末である。

 財務省が担ぐ野田政権という神輿は壊れかけている。自民党の谷垣体制も危うい。自在にできたこのコンビが退場し、反野田、反谷垣の勢力が天下を取れば、財務省への風当たりは厳しくなる。

 政局の風向きによっては、「財政再建に向けた第二歩」どころか「一歩目」を踏み出すことさえ危なくなるかもしれない。

 誰の目にも財務省主導の増税である。しかし事務次官は政策に責任を持てない。野田首相以上に「命がけ」で取り組んでいる勝英二郎次官の採る道は一つ。そこまで信念を持って政治に関わっているなら、「財政再建党」を作って政界に打って出ることをお勧めする。

(文中敬称略)

世論調査

質問1 消費税増税を実現させたのは財務省だと思う?





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山田厚史 [ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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