最終更新: 2012/07/06 07:16

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国会の原発事故調査委員会・野村修也委員に話を聞きました。

福島第1原発事故をめぐり、国会の原発事故調査委員会が5日、600ページにわたる最終報告書を衆参両院の議長に提出し公表しました。
事故調査委員会の野村修也委員に話を聞きました。

(事故をめぐっては、東電の全面撤退、官邸の過剰介入などに注目が集まっていましたが、今回の最終報告書では根本的な原因は事故の前にあったと結論づけています。事故は自然災害ではなく、明らかに人災と明確に結論づけている、これが大きな特徴ですね?)
その通りですね。やはり3.11よりも前に、たとえば津波が来るかもしれないとか、あるいは津波が来たら、電源が全部喪失するかもしれないといったようなことは、保安院でもあるいは東電でも、情報が共有されていたわけですね。ところがそれに対して、きちっとした対策を講ずるという意味での、そういう責任感のある対応ということが行われてこなかったわけです。そのときに考えていたのは、津波は来ないんだというふうに考えようというふうに、そこに思考を停止させてしまったということがあるわけなんです。そういうことによって、対策が先送りされてしまったということが言えるわけですね。じゃあ、その根本的な原因は何だったのかということを考えてみますと、本来ならば東京電力に対して、規制しなければいけないほうの保安院などの当局のほうが、どちらかというと東京電力の言いなりになって、逆転してしまった現象が起こっていたんじゃないかと。つまり事故が起こらないようにしたいと、そう考えたいと思っている東京電力の考え方に従ってしまって、厳しい規制というものを先送りしてしまったんじゃないかなと、そういったことを全て総合的に考えてみますと、確かに今回の事故は、地震や津波がきっかけではありますけども、その大本になったところの原因は、やはり人災だったというふうに言うべきではないかというふうにまとめたということなんですね。

(そうしますと、かなり組織的な問題という部分が大きいかと思いますが、そういう中で大飯原発は再稼働しています。今のままでは、同じような事故が起こり得ることになりますね?)
そうですね。やはり地震の対策っていうことが、必ずしも十分講じられていないということが問題だと思うんです。やはり津波が原因だったというふうに限定的に考えて、それに対する対策を講じて、それに対策ができているから、大飯原発は再稼働するんだという、そういう政府の説明になっていますけれども、地震が原因ではなかったとは言い切れないというふうに私たちは見ているわけで、そういう意味では津波対策だけを講じられたので安全だという、そういう考え方はやはり危険だというふうに思っています。

(事故の直接的原因について、東電の報告書は「想定した高さを上回る津波」、今回の報告書は「津波のみに限定すべきでない」とし、安全上重要な設備について、東電の報告書は「地震による損傷は確認されていない」、今回の報告書は「地震による損傷がなかったとは言えない」としています。もしそうだとすると、今日本全国にあるほかの原発施設についても、安全基準の見直しということもあり得ますか?)
そうですね。もともと土木学会の考え方が2006年以降、変わりましてね。そこで、しっかりとした地震対策をしなければいけないっていうことが、もうルールとして決まっていたわけですね。それをすでに存在している原子炉に対して、チェックをするということを急いでやらなければいけなかったわけですが、それをずっと先送りしてきたわけです。この福島原子力発電所については、本来やるべき地震の対策というものを先送りし続けて、事故の時には全く手つかずだったということが言えるわけです。
同じような原子炉は全国にもまだあるわけですから、そういう意味では地震対策をしっかり講じなければいけないんじゃないかなというふうには思います。

(一方で、今回の事故調査委員会では扱わなかった項目もあります。「今後のエネルギー政策」、「使用済み核燃料処理・処分」、「東電の支払い能力を超える場合」、「福島第1原発の廃炉プロセス」と、いずれも今後も十分な議論が必要な項目と思うのですが?)
今回は国会のもとに日本の歴史の中で初めて、こういう民間人での調査委員会というのを作ったわけです。こういう委員会を実施するということの中で、あれもこれもとできるわけではないわけですよね。したがって、今回は事故の原因をしっかりと解明しようというところに力を注ぎましたので、当然十分対応できなかった問題というのもあるわけです。そこで今回は提言の中で、こういった委員会をさらに継続していって、そして残った問題についてもしっかりと調べてほしいということはお願いしているということなんですね。

(今後これらの項目については、新たな委員会などを設置するなりして、また話し合う、しっかり議論していくという方向?)
そうですね。それは国会が考えることではありますけども、今回の私たちの仕事に一定の意味があったというふうにお考えいただけるのであれば、やはり政府とは独立した国会の場所で、しっかりと調査をしていくということが必要なんじゃないかなと、私は個人的には思います。

(検証を通じて、あらためて重要視する必要があると思った点は?)
これはやっぱり、住民の安全ということを第一に考えていく。それから事故は起こらないというふうには思考停止をせずに、常に事故は起こるかもしれないといった対策していくということが大事だと思います。

(07/06 01:06)


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