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ゆず屋 『書体の研究』

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2010年12月22日

●[豆知識] MS明朝、MSゴシックは(今は)商用利用できる

こんばんは。GALAXY Tab を買ったとたんに割り引きキャンペーンが始まってへこんでいる榊です。

予約までして買った客の立場っていったい……


(12/23 0:19追記:以下の記載は印刷物での使用を想定したものです。その他の利用が許諾の範囲内かどうかについては直接リコーに問い合わせされることをおすすめします。)

さて、気を取り直して今日はフォントの小ネタを一つ。

Windows に標準で付いている MS明朝やMSゴシックは商用利用できる という話です。

と書くと、「お前、『書体の研究(商業誌版)』で商用利用できないって書いたじゃないか」と言われそうですが、実は、今は使えるんです

というのも、MS明朝やMSゴシックの権利はリコーが持っているので、以前(2009年4月)に商用利用の可否について問い合わせたんですが、そのときは次のような回答でした。


(以下、(株)リコー TTWインフォメーションセンターよりの回答からの抜粋)

申し訳ございませんが、弊社フォント製品においては出来るだけ多くのお客様にご利用いただけるように、使用許諾範囲を個人レベル使用に限定した価格設定とさせていただいております。
そのため、出版物の価格等にかかわらず販売目的の成果物や不特定多数への配布目的での印刷物としての使用は、製品ご購入とは別に別途「商用使用許諾」をご契約いただく必要がございます。
※お申し込みの際は「商用使用許諾」申込書を送付させていただきますので、お手数ではございますが 再度御連絡いただけます様お願い申し上げます。

(弊社フォント製品の使用範囲に関しまして以下にご案内させていただきます。)
-------フォント製品使用範囲-------------------------------
※MS書体等、OSや他社アプリケーションソフト添付のリコー書体に関しても同等となります。
※製品ご購入後のお申し込み受付となりますのでご注意ください。
※また、契約形態に関しまして今後市場の変化などに伴ない許可無く変更することがございますのでご了承ください。

◆フォントの1次的使用範囲について
(1) 文字デザインイメージを印刷物に印字したり、PC画面や映像作品に表示すること。
(2) 個人WEBページの文字表現用として使用すること。
(3) PDFデータに埋め込んで配布配信すること。
 但しこの場合はお客様が特定できる第三者に配布配信する場合に限られます。
(4) 前三項とも非営業用の個人用、自社用等の自己使用に限られます。
◆商用(二次)使用について
下記(1)より(5)をはじめとする上記以外のフォントの利用は商用(2次)使用にあたります。
(1)より(2)は追加商用使用許諾が必要です。
(3)より(5)は別途ご契約が必要で、使用料金につきましても別途ご相談となります。
(1) フォントを元にして営業を目的とした印刷物やWebページ等を作成すること。
 またはフォントを元にして商品や社名等の営業を目的としたロゴを作成すること。
(2) 不特定の(お客様が配布配信先を特定できない)第三者に配布配信することを目的として、
 フォントまたはその派生フォントを、PDFファイル等のデータに埋め込むこと、
 または商業放送・映像作品等に使用すること 。
(3)営業用の ソフトウェア、ビデオゲーム等のデジタル作品に格納すること。
(4) フォントを複数のPC、印刷装置、表示端末にインストールしたり出力すること。
(5) 上記に記載がない事項
※派生フォント:表示されたイメージをアウトラインデータや画像データとして切り出したもの。

〔追加商用使用許諾料金(税込み)〕(※「商用(二次)使用について-(1)(2)」)
追加料金 ¥17,850/1書体/1台
期間 無期限
タイトル数 無制限
※1書体=1フォントファイル、1台=成果物を製作するPC
(関連URL http://font.ricoh.co.jp/solution/licence.html)

※現状、契約期間、利用数やタイトル数は設けておりませんので、
 仕様許諾範囲内であれば、何度でもご利用いただけます。



頂いた回答をそのまま載せているので読みづらくて申し訳ないのですが、ようするに2009年4月の段階では、追加料金 ¥17,850/1書体/1台 払ってねという回答だったわけです。

『書体の研究(商業誌版)』の記載は、この回答を根拠にしたものでした。

ところが、先日『書体の研究(同人誌版)』Vol.7 でMS明朝とMSゴシックを使いたかったので、2010年6月に改めてリコーに問い合わせたところ、やっぱり追加料金なしでいいよという回答でした。


(以下、(株)リコー TTWインフォメーションセンターよりの回答からの抜粋)

WindowsVista以降のOSのライセンス条項
「3.追加のライセンス条件および追加の使用権 b.」に本ソフトウェアに付属のフォントを使用してコンテンツを表示および印刷することを許諾する旨明記されております。

Microsoft社の意向の明確化に伴い、弊社と致しましてもWindowsOSに提供させていただいているMS書体を使用した成果物を制作されるパソコン環境がWindows(サーバ含む)であれば、商用でご利用いただく場合でも弊社とご契約いただく必要はないと判断致しました。
但し、フォントデータをWindowsからコピーし、Windows以外のOSで使用する事は許諾しておりませんので、ご注意下さいます様宜しくお願い致します。
http://download.microsoft.com/Documents/UseTerms/Windows%207_Ultimate_Japanese_0435eb00-810e-46e4-bb07-0dea67f5ec02.pdf

よって、商用使用許諾をご契約いただく必要はございません。

ようするに、Microsoft が OS付属のフォントの使用権を明確にしたので、リコーはそれにあわせて商用利用OKとします、ということでした。

というわけで、MS明朝やMSゴシックは追加の契約なしで商用利用できるというお話しでした(*印刷物の話です)。

商業誌でこれらのフォントを使うことはないと思いますが、同人誌では見かけることが多いので、その辺の権利関係がクリアになったのは良いことだと思います。


ちなみに、ご存じの方も多いと思いますがメイリオも商業利用可能です


(以下、マイクロソフト カスタマーインフォメーションセンターよりの回答からの抜粋)

Windows に付属するフォントを、(著作権が保護される前提で )Windows およびWindows アプリケーションを使って印刷するということであれば、印刷物の目的に限らず使用許諾範囲であり、ご利用いただくことは可能です。
 
「メイリオフォントを書籍に利用したい。(商用目的でその印刷物を配布したい)」ということであれば、通常の利用であれば問題ございません。



というわけで、今日はライセンス関係の小ネタでした。

(本当はこの話、Vol.7 にコラムとして書くつもりだったんですがすっかり忘れてました……)





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コメント

へぇ、そんな経緯があったんですか。

書体のライセンス料金って、異様に高いから下手に手を出せないんですよね……。

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