国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書をまとめ衆参両院議長に提出した。事故は「自然災害ではなく明らかに人災だ」と明記。東電と、経済産業省原子力安全・保安院など規制当局の「不作為」による安全対策の先送りが深刻な事態を招いたと指摘した。津波だけでなく地震の揺れで原発が損傷した可能性にも触れた。
事故の根源的な原因が「2011年3月11日の地震発生以前に求められる」との見方を示した。福島第1原発は「地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態だったと推定される」としたうえで「何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣が安全対策を取らないまま」だったと判断した。
東電については「常により高い安全を目指す姿勢に欠け、原子力を扱う事業者としての資格があるのか」と厳しく批判した。
緊急時の対応に関して「首相官邸、規制当局、東電経営陣には準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことはできなかった」と強調。「官邸と規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかった」「事業者(東電)と政府の責任の境界があいまいだった」を理由に挙げた。
事故の直接的な原因が津波とする東電の主張には疑問を投げかけた。「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」とし、特に1号機では地震による損傷の可能性が否定できないと分析した。
調査を踏まえ、7つの提言を国会に示した。原子力規制組織を監視できるよう国会に常設の委員会を設置することや、政府の危機管理体制の見直しを求めた。未解明の事故原因や廃炉に向けた道筋、使用済み核燃料問題などを調査する民間中心の第三者機関「原子力臨時調査委員会(仮称)」の設置を促した。
国会事故調は昨年12月に発足した。設置法は報告書を衆参両院議長に提出した後、活動を終えるとしている。両議長は報告書を内閣に送付するが、扱いに関する法律の規定はなく、国会や政府の判断に委ねている。
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