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事件
【原発事故】「明らかに人災」 国会事故調の報告書要旨
2012.7.6 00:16
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放射線被曝による健康問題、家族、生活基盤の崩壊、そして広大な土地の環境汚染問題は深刻だ。
【問題解決に向けて】
関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されぬ無知と慢心で、世界の潮流を無視し国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)だった。規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である組織的、制度的問題が「人災」を引き起こしたと考える。人を入れ替え、組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能だ。
【事業者】
東電はエネルギー政策や原子力規制に強い影響力を行使しながらも自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する経営を続けてきた。
東電は官僚的だったが、一方で原子力技術に関する情報の格差を武器に、電気事業連合会などを介して規制を骨抜きにする試みを続けた。東電は官邸の過剰介入や全面撤退との誤解を責めることが許される立場になく、混乱を招いた張本人だった。常により高い安全を目指す姿勢に欠け、現場軽視の東電の経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか。
【規制当局】
規制当局は原子力の安全に対する監視・監督機能を果たせなかった。規制当局の、推進官庁、事業者からの独立性は形骸化しており、その能力においても専門性においても、安全への徹底的なこだわりという点でも、国民の安全を守るには程遠いレベルだった。
日本の原子力法規制は、その改定で、実際に発生した事故のみを踏まえた対症療法的対応が重ねられ、諸外国の事故や安全への取り組みなどを真摯(しんし)に受け止めて見直す姿勢にも欠けた。その結果、常に想定外のリスクにさらされることとなった。原子力法規制は抜本的に見直す必要がある。
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