◇最新記事◇
【7月6日】
【7月5日】
【7月4日】

西川和久の不定期コラム

EPSON「Endeavor S TY1100S」
〜IvyBridgeを搭載した直販専用Endeavor Sシリーズ



 エプソンダイレクトは4月24日、前回紹介した「Endeavor MR4300E」と共に、「Endeavor Sシリーズ」も発表。もう1つのIvyBridge搭載PCだ。BTOなどの組合せを限定して安価なのが特徴となる。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。

●Ivy Bridgeを搭載機したオーソドックスなPC

 2011年もSシリーズの説明を該当機種で説明したが、復習すると、初期コストを抑えるため、「限定されたBTO」、「サポート範囲の限定」、「国際エネルギースタープログラムは取得しない」など、フルBTOモデルと比較して価格を安価に出来るモデルだ。従って小規模な企業でも購入し易い。

 ただ限定されたBTOとは言え、プロセッサはCore i3-2120/i5-3450/i7-3770、グラフィックスはプロセッサ内蔵/NVIDIA GeForce GT 430 1GB、メモリは4/8GB、HDDは1TB/128GB(SSD)、2基目のHDD 1TB、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ/Blu-ray Discドライブなど、それなりの組合せが可能だ。企業から見ると、これらの構成より、サポート範囲や国際エネルギースタープログラムの有無の方が重要かも知れない。今回送られてきたマシンのスペックは以下の通りだ。

【EPSON「Endeavor S TY1100S」の仕様】
CPU Intel Core i5-3450(4コア/4スレッド、クロック3.1GHz/Turbo Boost 3.5GHz、キャッシュ 6MB、TDP 77W)
チップセット Intel H77 Express
メモリ 4GB/PC3-12800(4スロット/空き2)
HDD 1TB(7,200rpm、SATA 6Gbps)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
OS Windows 7 Home Premium SP1(64bit)
グラフィックス 内蔵Intel HD Graphics 2500、DVI-D、ミニD-Sub15ピン
ネットワーク Gigabit Ethernet
その他 USB 2.0 前面×1/背面×4、USB 3.0 前面×2/背面×2、IEEE 1394、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、PS/2×2、音声入出力
拡張スロット PCI Express x16/x4各1、x1×2
電源 300W(80PLUS Bronze)
サイズ・重量 98×417×368mm(幅×奥行き×高さ)/約7.5kg(基本構成時)
直販価格 62,160円

 プロセッサは第3世代Core i5-3450。4コア4スレッド、クロックは3.1GHz。Turbo Boost時3.5GHzまで上昇する。Hyper-Threadingには対応していない。ただし、Intel VT-x(VT-dは非対応)やIntel 64は対応しているので、仮想PCや64bit OSは問題無く扱える。

 チップセットIntel H77 Expressを搭載し、メモリは4スロット。BTOでは4GB(2GB×2) PC3-12800 DDR3 SDRAMもしくは、8GB(4GB×2) PC3-12800 DDR3 SDRAMの選択が可能になっている。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 2500。BTOで組合せ可能なCore i7はIntel HD Graphics 4000、Core i3はIntel HD Graphics 2000となる。DirectX 11対応以外で2000と2500でどの程度違うかは後半のベンチマークテストで検証したい。出力はDVI-D、ミニD-Sub15ピンの2系統だ。

 ストレージはプライマリに1TBのHDD、今回はセカンダリは無く、Endeavor MR4300Eで対応していたISRTやRAIDの構成は無い。

 インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 2.0 前面×1/背面×4、USB 3.0 前面×2/背面×2、IEEE 1394、SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、PS/2×2、音声入出力。拡張スロットはPCI Express x16/x4が各1、x1が2。この点は前回レビューした「Endeavor MR4300E」と同様だ。

 サイズは98×417×368mm(幅×奥行き×高さ)。重量約7.5kg(基本構成時)となる。直販のみの取り扱いで、最小構成(Core i3-2120、メモリ4GB、HDD 1TB、DVDスーパーマルチドライブ、Windows 7 Home Premium)の価格は54,810円。今回の組合せでは62,160円となる。

前面。筐体はMR4300Eと同じだがフロントパネルが異なる。USB 3.0×2、音声入出力、USB 2.0×1 左側面。丁度CPUクーラーの上にメッシュがある。右側は同社のロゴのみ 背面。下に電源ユニット、パネル×4、上にいろいろなコネクタ
背面(アップ)。PS2、USB 2.0×4、IEEE 1394、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、Ethernet、音声入出力 パネルを開いたところ。SDカード/メモリースティック対応カードリーダ 内部。拡張スロットはPCI Express x16/x4が各1、x1が2
内部(CPU周辺)。CPUの右側にメモリスロットが4本 電源ユニット。300W(80PLUS Bronze)の電源 付属品。USB インターフェイスのキーボードとマウス。縦置き用のスタンド、横置き用のゴム足、CD-ROMなど

 実は編集部からEndeavor MR4300」と同時に届いたのだが、パッケージの中身は瓜二つ。間違って同じものが届いたのかと思ったほどだ。それもそのはずで、筐体は同じ物が使われ、フロントパネルのみが違う構成になっている。Endeavor MR4300Eがフラットなデザインに対して、このEndeavor S TY1100Sは中央が少し尖がった感じだ。縦置き用のスタンド、横置き用のゴム足が付属するのも同様。

 インターフェイスのレイアウトなどは同じで、USB 3.0×2、音声入出力、USB 2.0×1。そしてパネルを開けるとSDカード/メモリースティック対応カードリーダが現れる。

 リアパネルも全く同じ。上部に各種コネクタ、下部に電源ユニット。上部のコネクタは、PS/2、USB 2.0×4、IEEE 1394、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、Ethernet、音声入出力と、並びも変わらない。

 内部へのアクセスは、2本のネジを外し、パネルを後ろに引っ張るタイプだ。立て付けも良く、スッと外れる。内部の構造も筐体が同じなので、レイアウトなども変化無し。CPUの右側にメモリスロットが4本、縦に設置するマウンタ、下に300Wの電源ユニットなどがある。

 ノイズや振動、発熱などに関しては、起動時若干ノイズが出るものの、直ぐに落ち着き通常使用では問題無いレベルに収まっている。

 このように、MR4300EとTY1100Sは、まるで双子の兄弟。見かけ上はフロントパネルのみが異なる。ただし、前者はフルBTOでサポートや国際エネルギースタープログラムに対応、後者は、限定BTO/サポートで国際エネルギースタープログラムは非対応と言った内面的な違いがある。

●OGLのパフォーマンスが向上

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。BTOで他のエディションは選べない。搭載メモリは4GB。グラフィックスがメインメモリ共有型のIntel HD Graphics 2500なので、用途にもよるが、できれば8GBにしたいところだ。

 HDDは、SATA 6Gbpsに対応した「ST1000DM003」。1TB/7,200rpm/キャッシュ64MBのタイプだ。C:ドライブのみの1パーティションで約931GBが割当てられている。初期起動時の空きは908GBだった。光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7290H」を搭載。

 その他のインターフェイスは、VIA製IEEE 1394、Gigabit EthernetはIntel 82579V、そしてデバイスマネージャの画面キャプチャには表示していないが、「Intel USB 3.0 eXtensibleホストコントローラ」。これはIvy Bridge固有のチップセット内蔵のネイティブなUSB 3.0となる。

起動時のデスクトップ。同社お馴染みのショートカットに加え、Corel WinDVDやNero Kwik Mediaなども見える デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは1TB/7,200rpm/SATA 6Gbps/キャッシュ64MBの「ST1000DM003」、光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7290H」 HDDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティション。約931GBが割当てられている

 プリインストールのソフトウェアとしては、同社御馴染み「エプソンダイレクト初期設定ツール」、「PCお役立ちナビ」、「ホットキー設定ユーティリティ」などに加え、「Corel WinDVD」、「Nero Kwik Media」、「マカフィー セキュリティーセンター」と、この辺りも「Endeavor MR4300E」と同様だ。

 また、BTOで地上デジタルチューナ、Microsoft Office、各種セキュリティー対策ソフトウェアなども選択可能となっている。

ホットキー設定ユーティリティ エプソンダイレクト初期設定ツール PCお役立ちナビ

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.9。プロセッサ 7.5(7.7)、メモリ 5.9(7.8)、グラフィックス 4.9(6.5)、ゲーム用グラフィックス 6.3(6.5)、プライマリハードディスク 5.9(5.9)。カッコ内は「Endeavor MR4300E」(Intel Core i7-3770K/Intel HD Graphics 4500)の値を参考までに併記した。全ての面でCore i7-3770Kとかなり違いがあることが分かる。

 CrystalMarkは、ALU 75299(83198)、FPU 61674(68912)、MEM 55784(65933)、HDD 19685(15692)、GDI 18697(21050)、D2D 2781(2989)、OGL 8086(9113)。Windows エクスペリエンス インデックスのグラフィックスも同様だが、例えば第2世代Core i5-2310(2コア/4スレッド、2.9GHz/TB 3.2GHz、キャッシュ 6MB)プロセッサだと、グラフィックス 5.2/ゲーム用グラフィックス 4.7、GDI 17173/D2D 2124/OGL 2947という結果。特にOGLのスコアがかなり上昇しているのが分かる。Intel HD Graphics 2000と2500、型番上では500の違いだが、この差は結構大きい。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.9。プロセッサ 7.5、メモリ 5.9、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.3、プライマリハードディスク 5.9
CrystalMark。ALU 75299、FPU 61674、MEM 55784、HDD 19685、GDI 18697、D2D 2781、OGL 8086


 以上のようにEndeavor S TY1100Sは、MR4300Eと外観上は瓜二つ。ただし、限定されたBTOでの組合せや、サポート範囲の限定、国際エネルギースタープログラムは取得しないなど、目には見えない部分でコストダウンは計り、結果、価格が安くなるモデルだ。個人はもちろん、小規模な企業にピッタリなPCと言えるだろう。