Updated: Tokyo  2012/07/06 01:51  |  New York  2012/07/05 12:51  |  London  2012/07/05 17:51
 

45分間で連射、利下げや量的緩和-世界3中銀が同時多発緩和

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  7月5日(ブルームバーグ):世界の中央銀行が5日、ふらつく世界経済を支えるために一斉に攻勢に出た。利下げあるいは量的緩和(QE)による世界的な景気刺激が本格化してきた。

この日はわずか45分の間に3中銀が行動。欧州中央銀行(ECB)と中国人民銀行は利下げ、イングランド銀行(英中銀)は資産購入プログラムの買い取り枠を拡大し量的緩和の再開を決めた。2週間前には米連邦準備制度理事会(FRB)がいわゆる「オペレーション・ツイスト(ツイストオペ)」を延長し保有証券の残存期間を延ばしたほか、バーナンキ議長は必要ならば追加措置を取る可能性を示唆した。

ABNアムロ銀行のマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏は「中銀の行動は世界的な協調緩和キャンペーンの様相だった」とし、「中銀は姿を現し始めた世界同時景気減速の流れを止めようとしている」と話した。

金融危機が中銀に行動に踏み込むことを促してから5年近くがたち、政策当局は新たな取り組みを開始した。欧州では債務危機が長引き、米国では雇用が減速、新興市場も軟調になり始めた。追加金融緩和の薬が効くのか、あるいはさらなる投薬が必要か、評決はまだ下らない。

この日はまず、英中銀が先陣を切った。キング総裁ら金融政策委員会(MPC)メンバーは資産購入枠を500億ポンド(約6兆2000億円)拡大し、2カ月前にいったん打ち切ったQEの再開を決定。ほぼ同時に中国人民銀が、この1カ月で2回目の利下げを発表した。銀行が基準金利よりも低い金利で融資する自由度も拡大した。1年物貸出基準金利と1年物預金金利を6日からそれぞれ0.31ポイントと0.25ポイント引き下げるとともに、市中銀行の融資金利の基準金利に対する割引も最大30%まで認める。

6四半期連続で減速も

中国経済は4-6月(第2四半期)に、6四半期連続で成長が減速した可能性がある。6月には2つの製造業の指数が低下した。中国は13日に第2四半期の国内総生産(GDP)統計を発表する予定。

さらに、英中銀と人民銀の発表から45分後のフランクフルト時間午後1時45分、ECBは主要政策金利を0.25ポイント引き下げ過去最低の0.75%としたほか、中銀預金金利をゼロにした。

ECBのドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、景気見通しへのリスクは依然下向きで、不確実性の高さが信頼感を損ねているとの認識を示した。この日の決定を前に他の中銀との協調があったかとの問いには「通常の意見交換以上の連絡は取り合っていない」と答えた。

FRBは6月19、20両日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、長期金利を押し下げるため短期債を売却し期間が長めの証券を同額購入するツイストオペを年末まで延長することを決めた。今月6日発表の統計は、4-6月の米雇用市場が四半期として2年余りで最も弱かったことを示す見込みだ。

オーストラリアとチェコ、カザフスタン、ベトナム、イスラエルの中銀も6月に利下げした。

来週に金融政策決定会合を控えた日本銀行の白川方明総裁はこの日、日銀は「強力な金融緩和を推進している」と言明。さらに、「引き続き適切な金融政策運営に努める」と表明した。

世界の中銀に行動を迫っているのは、2009年のリセッション(景気後退)の終了以降で最も弱い世界の成長だ。07年8月に信用逼迫(ひっぱく)が始まって以来、金融当局は経済を危機から守る闘いの先頭に立ってきた。08年10月の協調利下げや昨年のドル資金供給のためのスワップ協定など、協調行動も取ってきた。

このところの追加緩和が成長を押し上げることができるかどうかは、まだ不明だ。国際決済銀行(BIS)は先月、中銀は景気を支える能力の限界に直面し、むしろ経済にとって長期的問題を作り出している恐れがあると指摘している。

原題:Central Banks Shoot 45-Minute Stimulus Salvo as GrowthSlows (1)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net

更新日時: 2012/07/06 01:21 JST

 
 
 
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