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最終更新:2012年7月5日(木) 19時23分

原発事故は「人災」、国会事故調が報告書

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 東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、国会が設置した調査委員会は「今回の事故は『自然災害』ではなく、明らかに『人災』である」と結論づけた報告書をまとめました。

 5日午後、国会事故調の黒川委員長らが衆参両院の議長に対し、東京電力福島原発事故の経過と原因についてまとめた報告書を手渡しました。

 事故調は設置から6か月あまりの間に当時の菅前総理ら38人から聴取を行ったほか、延べ1167人にヒアリングを実施。東電などへの資料請求は2000件以上に上りました。そして、今回の事故について次のように結論づけました。

 「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は『自然災害』ではなく、明らかに『人災』である」(国会事故調の報告書)

 事故調は、「事故の根本的原因」について、「歴代の規制当局及び、東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって安全対策が取られないまま、3月11日を迎えたことで発生した」と断定。つまり、東電と原子力安全委員会など規制当局が、津波や地震対策が必要であると分かっていたのに、対応を先延ばししたと指摘。対策を取っていれば、「今回の事故は防げた可能性があり、想定外ではなかった」と厳しく批判しました。

 東電が安全対策を怠った理由として、原子炉の稼働率が下がることや、訴訟で不利になることを恐れていたと分析。事業者を規制すべき当局は、東電からの働きかけを受けて、規制する側とされる側の立場が逆転し、監督機能が崩壊していたとしています。

 また、「緊急時対応の問題」として、「官邸が東電の本店及び現場に直接的な指示を出し、現場の指揮命令系統が混乱した」と、当時の菅前総理ら政府中枢の問題点を指摘したほか、東電本店に対しても「官邸の顔色をうかがいながら官邸の意向を現場に伝えるだけの状態に陥った」と批判しています。また、菅前総理の指示により、事故直後に現場からの東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできないとしています。

 事故調としては、今回の報告について、「今後の政府による履行状況を監視し、定期的に報告を求める」と強調しています。(05日17:22)

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