国会の原発事故調査委、最終報告書公表 「明らかに人災だった」
福島第1原発の事故について、国会の事故調査委員会が最終報告で「明らかに人災だった」と厳しく指摘した。
5日午後、衆参両院の議長に提出された、国会の原発事故調査委員会の最終報告書。
そこに記されていたのは、「福島第1原発の事故は自然災害ではなく、明らかに人災だった」という調査結果だった。
福島の被災者は、「最初からそう思っていました」、「天災も含めて、全て対応できなかったら、人災だと思う、原子力に関しては」などと語った。
報告書は、「福島第1原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱(ぜいじゃく)な状態で、何度も対策を打てたにもかかわらず、歴代の規制当局や東電経営陣が、意図的な先送りを行ってきた」と指摘している。
そして、当時の菅首相ら、官邸メンバーによる原発事故対応への過剰な介入についても言及している。
周囲の反対を押し切って、東日本大震災翌日に視察を行ったことについて、菅前首相は5月28日、「皆さんの顔と名前が一致したことは、極めて大きかった」と、弁明していたが、こうした直接的な介入が、現場対応の重要な時間を無駄にするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となったと厳しく批判している。
また、東電のあいまいな態度が、こうした混乱を招いたとも断じている。
当時官房長官だった枝野経産相は午後5時すぎ、報告書について、「これからしっかりと読ませていただいて、真摯(しんし)に受け止めてまいりたいと思います」と述べた。
当時の経済産業副大臣・池田衆院議員は午後5時ごろ、「トップリーダー(首相)は、中央にとどまって、指揮にあたるべきというのが、わたしの当初からの考え」と述べた。
また、当時経産相だった海江田衆院議員は「私自身のことも含めて、もちろんいけない点はあったと思っている。ただ、全体が人災ということで、片づけられる問題かなという思いはございます」と述べた。
事故調査委員会の黒川委員長は、「報告書の提言を着実に実行し、改革の努力を尽くすことが、国会や国民1人ひとりの使命である」と述べた。