東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

ヒッグス粒子 ほぼ確認 万物に質量与えた「神の粒子」

2012年7月5日 07時04分

 万物に質量を与える「ヒッグス粒子」とみられる新しい素粒子を発見したと、欧州合同原子核研究所(CERN、セルン)の実験チームが四日、発表した。ヒッグス粒子の特徴を示しており、「発見」はほぼ確実になった。「神の粒子」とも呼ばれるヒッグス粒子の発見で、物理学の標準理論で予言されていた素粒子が出そろう。宇宙の成り立ちの解明にもつながる画期的成果だ。

 実験チームは、東京大など日本の十六機関も参加する「アトラス」チームと、欧米中心の「CMS」チーム。

 両チームは、ほぼ光速まで加速した陽子同士を一千兆回以上衝突させ、衝突で生まれる粒子や光を観測し、ヒッグス粒子の痕跡を探した。その結果、質量が水素原子百三十個ほどの、新たな素粒子があることを観測した。

 データの確からしさは、アトラスチームは99・99998%、CMSチームは99・99993%で、物理学上の「発見」と認められる99・9999%をともに上回った。さらにデータを集め、年内にも最終結論を下す。

 実験に使っているセルンの大型加速器「LHC」はJR山手線とほぼ同じ一周二十七キロの加速器で、宇宙誕生時のビッグバンを再現した。実験で生まれたヒッグス粒子は非常に不安定で、できてもすぐになくなるとされ、直接観測することはできない。

 実験に参加している浅井祥仁(しょうじ)東京大准教授は「別の素粒子に壊れていく様子などは、理論から予想されたヒッグス粒子の特徴とよく合うが、断定をするにはさらに解析を進める必要がある」と話す。七月以降の追加実験では、六月までの三倍のデータが得られる予定だ。

 両チームは、昨年十二月、ヒッグス粒子の存在が示された可能性は約99%の確率だと発表していた。今年はLHCのエネルギーを上げて実験しており、昨年の一・五倍のデータが集まった。新しい素粒子の発見は二〇〇〇年のタウニュートリノ以来となる。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo