今日はヒッグス粒子発見のおめでたい日ですけど、 それとは全く関係のない話です。 ネットでおもしろい記事を見つけました。 Yahoo!ニュースからリンクを張られていた 朝日新聞の地方版のニュースです。 「「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森」 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/water_pollution/?1341310043 http://www.asahi.com/national/update/0703/TKY201207030458.html http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000001207030003 県が支給している「EM菌」を中学校の生徒たちが『培養』して、川がきれいになるからと言った環境教育の一環で川に流していたというもの。 EMの話はとっくの昔に消えていたと思っていました。 まだ生き残っていたとは。 そっちの方で驚いた。 ちなみに、EMといっても、モバイル関連会社とは関係ありません。 ここを訪れる人にEM技術を知らない人はいないでしょうけど、 EMは何でも解決してくれる万能選手として有名です。 詳しく知りたい人は、この辺の本をどうぞ。 最近だと「放射能」を除去してくれるというもの。 なんで放射「能」なんかというツッコミはともかくとして、 その肯定派、批判派、両方とも笑わしてくれます。 先の朝日新聞の記事によると、青森県では『県教委によると、昨年度、環境教育の一環としてEM菌を使用した小中学校は県内に7校』とのこと。他の都道府県でもありそう。 具体的には、冒頭で述べたように、県が無償で支給した(ってことは税金?)「EM菌」を家庭から回収した米のとぎ汁などを利用して培養し、川がきれいになるからという教育まで施して、生徒たちに地域の川に放流させていたという。 「川がきれいになる」という効果がホントなら、教育効果も抜群でしょうけど、実際には、県が水質調査してもたいした効果がなかったというもの。 まぁ当たり前ですけど。 むしろ、悪くならなかったのか心配なくらいですけどねぇ。 そもそも、下水を通さず、とぎ汁やヘンな菌の培養液など直に川に流すって、大丈夫なの? 効果がないとわかっていても無償提供を続けている県の言い分がおもしろい。 『学校が水質浄化に関心を持ち、活動してくれること自体が有り難いことだから』 いやいや、そんな問題やないやろと思いますけど、 これなら、なんでもありやな。 水伝(水に「ありがとう」書いた紙を見せるときれいな結晶を作り、「ばかやろう」と書いた紙を見せると汚い結晶を作る。なので、水でも気持つが伝わるんだから、みなさんも。といった道徳教育。「水からの伝言」)から何の教訓も得なかったのか? 記事には「EM菌」に対する双方の意見を載せています。 まず、推進派。 言い出しっぺの先生の主張。 『重力波と想定される波動によるもの』 「波動」なんて出てきたら、これだけで普通アウトでしょう。 でも、極端すぎる記述だけを抜き取って不当にEMをおとしめようとしている風に見えなくもない。 本をよく読めば、中には真面目にEM技術について調べているところもあります。 提唱者の理論をこの一言だけで評価するのはもったいないし、 卑怯じゃないかなぁ? 多分、記者は本を読んでないね。 ネットで見た一部の評判だけを切り取って書いているとみた。 ご本人やその団体に取材して欲しかったなぁ。 青森から沖縄まで遠いか? ちなみに、新聞記事で多用されている「EM菌」という言葉を開発者たちは使っていません(上記写真の本など。私の見た限りの話ですけど)。 なので、このエントリーでも引用以外は「EM菌」と「 」付で書いています。 EMはEffective Micro-organismsの略ですから、「EM菌」はおかしい。 いくらなんでも農学博士が「微生物菌」なんて言葉を使いません。 朝日新聞の記事に登場する「EM研究機構」も同様に「EM菌」と言う言葉を使っていません。 http://www.emro.co.jp/em/ 「放射能」対策に取り組んでいる「NPO地球環境・共生ネットワーク」も同様。 http://www.unet.or.jp/ (「掲示板」に「EM菌」が出てきますが、他団体の人が使っている) さらに、上記サイト内にある「リンク集」にリンクされている団体も参考になります。 ちなみに、あやしい商品を売っているところは「EM菌」使っています。 http://empower-plus.jp/ ウィキペディアは「通称EM菌」と書いています。これがまずいのか? 「通称」ってなんだよぉ。誰が言い出しっぺ? って思いますね。 次は疑問派。 「疑似科学問題に詳しい科学者ら」の意見はともかくとして、実際に水質浄化に効果があるか試してみた団体などの結果を報じています。岡山県、広島県、三重県の例です。まぁ妥当でしょう。 次に、実践していた中学校の言い分。 ちなみに、この中学校の実績。 「流したEM菌の液は昨年度、1千リットル超。教師は「川がきれいになる」と教えてきた」 培養液は米のとぎ汁です。そんなモン流すなよ。 ヘンなこと教える教師が悪いな。 『県の支給なので、まさか効果に疑問があるものとは思わなかった』 見事な思考停止。教育に使うのなら、ちょっとは調べましょう。 いや、思考停止どころか、確信犯的かも。 『文化祭では毎年、生徒がEM菌の効果をインターネットなどで調べて発表。効果を否定する情報を見付けた生徒もいたが、「様々な意見はあるけど信じよう」と指導したという』 これは、一番やばいっしょ。「信じよう」って宗教か? きちんと調べた生徒は偉い! 県の言い分。 『配るのは学校側の要請だから』と責任を否定。 見事な循環。 まぁ、県ならもっともな見解かも。しかたがないかも。 で、ちょこっと検索してみると、出るは出るは。 とりあえず、同じ朝日新聞、2012年05月19日付、京筑地方版を。 この記事では「EM菌」が好意的、肯定的に書かれています。 福岡県の小学校では地元ロータリークラブが培養した「EM菌」630Lを小学校のプールへ小学生に投下させています。 『保護者が見守る中』だって。 1人くらい疑問視する保護者はいなかったのか? 校長の言葉。 『毎年感謝しています。これでプール掃除が楽になります』 ってことで、校長は信じ切っています。 薄茶色に染まったプールの水を見て、児童たちはどう思ったんだろう? こんなとこで泳ぎたくない! っていうヤツいそうだけどな。 同じ団体が川に「EM菌」を投下しています。 こちらがメインの活動らしい。 毎日新聞 井尻川:EM菌で、きれいな川に 会員30人、3000リットルを投入 −−行橋 /福岡 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20120607ddlk40040439000c.html (冒頭のYahoo!ニュースの記事の下にもリンクが張られている) 冒頭のYahoo!ニュースの記事の下にある次のサイトも有用。 EMを批判する意見 - livedoor Wiki(ウィキ)「有用微生物群(EM)まとめ」 http://brd.dailynews.yahoo.co.jp/SIG=1307h3nag/EXP=1341462663/*http%3A//w.livedoor.jp/em_matome/d/EM%A4%F2%C8%E3%C8%BD%A4%B9%A4%EB%B0%D5%B8%AB 楽しい記事がヒッとします。 もしかして、これ見て青森の記事書いたんじゃないだろうな? |
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