「―――んちゅ―――はむ―――高順。どうだ? 気持いいか?」
「あぁ」
部屋の中で銀髪の女性が包帯で全身を隠す男の股間に顔をうずめている。銀髪の女性は顔を上げると男に向かい情欲に染まった瞳を見せた。
「その……次は……私も」
「あぁ。華雄……来い」
高順と呼ばれた包帯男は銀髪の女性―――華雄を抱き寄せる。そのまま二人は繋がった。
彼らは同じ村に育った『幼馴染』だった。共に体を鍛え、共に毎日を過ごし、村でも何時結婚するかなど噂になるほどだった。だが、ある時そんな毎日は崩れ去った。
「高順―! どこだ!?」
華雄は燃え盛る村の中を走っていた。突如、村を襲った野盗は村から食糧を奪うと火を放って村を出て行った。華雄は、隠れていた小屋から抜けだして高順を探し始めた。自分の両親は、自分を小屋の隠し部屋の中に放りこんで離れていった。多分、生きてはいない。それがわかるからこそ、高順を探す。
「高順……どこにいるんだ……」
華雄は高順の家に向かったが、そこには誰もいなかった。だから、必死に高順が行きそうな場所を探す。
「……っ! 高順!」
そして、ようやく見つけた。野盗の一人らしき男の胸に倭刀を突き刺している高順を。そして、野盗を蹴り飛ばした高順はそのまま倒れた。その瞬間、高順は何かを呟いていた。
「『弱肉強食』か……」
近寄ると高順は全身にひどい火傷を負っていた。それこそ、華雄でも一瞬分からないほどに焼け爛れていた。
「高順!」
華雄は必死に呼びかけるが、意識を失っている高順は返事をしない。華雄は高順を背負って村から脱出を試みた。そして、なんとか近くの森の中に姿を隠すことができた。
「ひどい……薬草は……」
そして、落ち着いて高順を見ると専門知識のない華雄でもわかる。もうどう仕様も無いということが。だが、それでも村から持ち出せた包帯や酒などで消毒をして必死に自分にできる処置をする。
「死なないでくれ…もう、お前しかいないんだ」
なんとか鎮火した村から使えるものを探しに行ったときに見た。自分の知る人たちが死んでいる光景を。村の生き残りは、自分と高順のみ。
「高順……」
「華雄…お前……弱肉強食という言葉をどう思う」
突如、意識を取り戻した高順は華雄に向かいそう告げる。その目はまるで飢餓状態の人間が食糧にありつけたような『この世の真理を知ったような』目だった。
「高順…?」
「あの野盗が言っていた。『弱肉強食』こそ真理だと」
包帯で包まれた右手を天にかざしながら高順は笑った。自分たちは弱者であったが故に村を焼かれたと。
「なぁ…華雄。お前はどう思う?」
包帯の間から除いた目は獰猛な光を宿していた。華雄はその輝きに魅入られた。
「高順……そろそろ私たちも規模が大きくなってきた。ここでどこかの諸侯に仕官したほうがいいのではないか?」
盃に入った酒を呷っている高順に扇情的な着物を着た華雄が寄り添っている。村が焼け落ちて十数年が経った。あれから高順は、『弱肉強食』を掲げて生きてきた。華雄はその横で生きてきた。
「…そうだな。宋江。どこかいい仕官先はあるか?」
「戴宗に探らせていますのでもしばらくお待ちください」
高順が掲げた『弱肉強食』という理に惹かれたならず者たちが集まり、いつしか拠点としている涼州だけではなく、大陸の南の方でも噂になるほどの集団となってしまった。
規模としては約百十人。そのすべてが高順の『弱肉強食』を掲げて生きている。だが、彼らは高順に逆らうことはしない。何故なら、彼らより高順は『強者』だから。
「まぁいい。行くぞ、華雄。そろそろ体が限界だ」
「あぁ」
高順は華雄を連れて自室へ向かった。
「筆頭。我らは、貴方たちにどこまでも付いていきましょう」
宋江は高順と華雄が去っていった方向を見ながら頭を垂れた。
「高順…お前はいなくならないよな?」
高順の延命のための情事が終わり、若干赤身がかった肢体を高順の胸に乗せながら呟く。華雄はこうやって高順と肌を触れ合わせているのが嬉しかった。全身の火傷など関係ない。自分が見つめる男は、将来を約束した仲なのだから。
「ああ。どうせ、死ぬ時も一緒だろう」
自身の胸に乗っている華雄を抱きしめる。比翼の鳥。そんな言葉が高順の脳裏によぎった。
簡単な説明
大半は、「悪人無双~高順伝~」と変わらないが、黒がいないこと。高順が志々雄真実になる。華雄が駒形由美になる。波才のポジションに宋江がいる。など結構変更されていたりする。ということで、主役キャラのみの変更部分をあげてみた。
高順
生まれ育った村を焼けだされ、全身に大やけどを負う。そのため、志々雄真実と同じく火傷による汗腺の体温調節機能が壊れ、一日に数回ほど華雄と体を合わせなければ体温が際限なく上がる。また、「悪人無双」みたいに『仕える主を強者へ押し上げる』という思想は持っておらず、『強いから従う』というポジションになる。ちなみに、火薬を使わなくても劣化『紅蓮腕』を放てる。早い話が、シャイニングフィンガー。それ以外は、基本的に「悪人無双」と同じ。
華雄
ここでのヒロイン。村を焼けだされ、高順しか頼れる者がいなかったため高順に依存しており、高順と長時間離れることを極度に嫌う。高順の体の世話を全て行っており、『医者でなければ直せないような怪我』などの場合を除き、他人が高順の体にベタベタ触るのを嫌っている。高順の為なら何でもするが、彼女の体に触っていいのは高順だけらしい。戦闘能力も原作より高くなっている。
宋江
「悪人無双」の波才の立ち位置にいるキャラ。高順の腹心。高順と華雄に忠誠を誓っている。
高順一派
梁山泊百八星から完全パクリ。高順のカリスマに惹き寄せられている。全員が、高順に忠誠を誓っている。
本当は、詠ではなく華雄がヒロインだったんだ。でも、お蔵入りになったんだ。何故なら、ち○こ太守じゃないけど、高順と華雄がほぼ毎回情事を行う事になったからね……いや、やってもよかったんだけど…その時は度胸がなかったんだ。
もし、お望みなら続きを書きますよ?
なんで、島左近のような善玉が書きづらくて、高順のような悪玉が書きやすいんだ? 作者はこんなにもピュアな人間なのに(ぇ
ちなみに、これは「シグマのネタ草案倉庫」にも投稿しています。
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