社説:いじめ自殺 事実の解明を丹念に

毎日新聞 2012年07月05日 02時32分

 大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年男子生徒が自殺した問題で、直後に学校が在校生にアンケートを実施した。

 回答の中には、この生徒が「自殺の練習をさせられていた」「死んだスズメを口の中に入れろと言われていた」などとあり、いじめがかなり深刻だった可能性を示唆する情報があった。

 市教委は11月の記者会見でこれを明らかにせず、調査を打ち切った。生徒の両親が今年、市や関係者を相手取って起こした損害賠償請求訴訟では、「いじめが原因の自殺とは断定できない」と主張してきた。

 これらのアンケート回答内容が表面化すると、市教委は回答は伝聞や無記名だったことから事実確認できなかったと説明した。

 だが、その情報にどこまで時間をかけ、丹念な追跡調査をやった結果の打ち切りだったのだろうか。

 細かな点になると、市教委や学校側は「訴訟中であり、コメントは差し控えたい」となりがちなのも、釈然としない。

 近年、学校にまつわる問題で、説明に訴訟を意識したような対応が見られる。学校教育の現場で、真実を探求して、できるだけ明らかにするよりも、法廷での有利不利への思惑が優先することは、本来ありえないはずではないか。

 日本の学校教育でいじめの問題は古い。長く学校側は不祥事として公にはしたがらなかった。また、例外的な事例ととらえがちだった。

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