NPO法人「禁煙推進の会兵庫さんだ」(11人、大前通代理事長)が発足し、初めての禁煙教室を29日、兵庫県三田市けやき台中学校で開いた。呼び掛けたのは、長年喫煙を続けた元市議大月勝さん(69)=すずかけ台。重病を患うことになった自身の体験をふまえ、同校の1年生約220人にたばこの恐ろしさを伝えた。
大月さんは約30年間、たばこを毎日数十本吸っていた。4年前、突然「おぼれて息ができないような感覚」に陥り、末期の肺ガンで余命1年と宣告。その後、肺ガンではなく重度の肺気腫と判明したが、薬の副作用などの闘病生活が続く。
市内の中学校の硬式野球協会会長を務める大月さんは、元気にプレーする子どもたちの姿を見て「将来同じ思いをさせたくない」と、喫煙の怖さを広めようと決意した。
昨年6月、禁煙仲間を集め、市民団体を結成した。近畿各地で喫煙に関する医療研修会にも参加し、メンバーのうち3人は、日本禁煙科学会の「禁煙支援士」の資格を取得。今月、NPO法人の認可を受けた。
この日の禁煙教室で、大月さんは自らの病気について語り、ニコチンの中毒性が麻薬並みに強いことや国内で喫煙による死者が12万人に上ることを説明した。同校の女子生徒(12)は「喫煙の健康被害の深刻さにショックを受けた。たばこは絶対に吸わないと心に決めた」と話していた。
同法人は今後、学校や自治会などで教室を開く予定。大月さんは「依頼を受ければいつでもどこでも出向き、草の根の活動を続けたい」と力を込めた。(井川朋宏)
(2012/06/30 09:00)
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