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社会

震災がれき尼崎沖受け入れ 突然名指しに地元困惑 

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震災がれきの受け入れ先として浮上した大阪湾フェニックスの尼崎沖処分場(手前)=2011年8月(フェニックス提供)

震災がれきの受け入れ先として浮上した大阪湾フェニックスの尼崎沖処分場(手前)=2011年8月(フェニックス提供)

 東日本大震災のがれきを焼却した灰の受け入れ先として、尼崎沖と泉大津沖(大阪府)が急浮上した。大阪湾フェニックスが持つ4カ所の処分場のうち、埋め立てが既に終了し、水に溶けやすい放射性セシウムが海面に接する可能性が低く、安全性を確保しやすいためだ。だが、兵庫県尼崎市は受け入れの可否を市民と探る取り組みを始めたばかりで曲折も予想される。(木村信行、霍見真一郎)

 「聞いていない」。尼崎市の担当幹部は、関西広域連合の受け入れ方針に動揺を隠さない。

 市は、稲村和美市長の「受け入れの可否に関する議論を開かれた形で進めたい」との意向を受け、市民との対話集会を2回開いた。しかし、反対が続出し、試験焼却すら再考する事態になった。現在、がれき問題の学習会開催に向けて準備を進めており、藤川浩義環境部長は「フェニックスには、市が進めてきた検討過程を尊重してほしい」と話す。

 フェニックスは受け入れの基本方針として、(1)水と接触させない(2)周辺環境に放射性セシウムを出さない‐など4条件を明示。神戸沖などは地盤沈下が激しく、陸地化した場所に埋めても排水処理の際に水に接する可能性があり、「結果的に尼崎沖など2カ所に絞り込まれた」という。

 尼崎沖では、処分地を掘り返した上で、セシウムを吸着する鉱物「ゼオライト」を底に敷き詰める案などを検討中。ただ焼却灰の受け入れ基準をめぐっては、大阪府や大阪市は放射性セシウムが1キログラムあたり2千ベクレルと規定するのに対し、兵庫県は同100ベクレルを主張し、溝は埋まっていない。「基準は環境省の安全性評価を受けてから考えればいい」(府の担当者)と先送りしている状態だ。

 とはいえ、受け入れの最終決定権を持つのはフェニックス。現在も「2カ所に絞り込んだわけではない」との姿勢を崩していない。フェニックスは関西の174自治体が出資しており「責任があいまいで、決められない組織」(広域連合関係者)との指摘がある。

 尼崎沖で受け入れる場合でも、(1)環境省に安全性評価を申請(2)同省が可能と判断(3)関係自治体が変更許可‐などの手続きが必要になる。井戸敏三・兵庫県知事は「(受け入れが)あまり遅くなるのはいかがか」と前向きだが、稲村市長は「安全性の確保と市民の理解を前提に、フェニックスや港湾管理者には丁寧な手続きをお願いしたい」と慎重な姿勢を示す。

(2012/07/04 10:37)

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