レビューが書かれている……ですとヽ( ゜∀゜)人(゜∀゜ )メ
リスカさん、ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです。
本分の文章の推敲が足りない……
ストーリーや重要なセリフは変えませんが、地の文や文章構成はチョコチョコ書き換えるかも知れません。大目にみてください。
【新暦0075 聖王教会】
【ゼスト・グランガイツ】
モニターには、白いバリアジャケットを着た少女が、次々と試験課題のガジェットを倒していくのが見えている。
「ほう。なかなか伸びしろが有りそうな人材だな」
「ええ。今日の試験内容を見て、すぐに使えそうなら引きぬきをかけます」
「わかった。直接の判断は、小隊指揮のおまえに任せる。部隊に入ったら、おまえの部下で教え子になるわけだからな」
「イエス・サー」
クイント・ナカジマ二尉の敬礼を一瞥すると、俺はメンバーを見渡した。今回、新たに設立を予定している機動六課のメンバーだ。
隊長:ゼスト・グランガイツ二佐
副隊長:ゲンヤ・ナカジマ三佐
事務官:ラッド・カルタス二尉
監査:ヴェロッサ・アコース査察官
小隊指揮:クイント・ナカジマ二尉
技術部主任:マリエル・アテンザ
後援:カリム・グラシア少将
後援:聖王教会シスター シャッハ・ヌエラ
もう一人の小隊指揮官のメガーヌ・アルピーノ二尉は、高町なのはの試験監督を務めていてこの場にはいない。
「人員は、なんとか集まりそうですね」
機動六課の設立を支援してくれた聖王教会の騎士カリムが、落ち着いた所作で紅茶を飲みながら言う。
「ああ。管理外世界で腐っている高魔力持ちに声をかけて回った。ナカジマ三佐のスターズ小隊に、アルビーノ三佐のライトニング小隊。どちらもメンバーの目処はつきそうだ」
「それはよかった。機動六課の設立について、聖王教会は全面的な支援を約束します。管理外世界からの引き抜きについての、担当部署との交渉も支援いたしましょう」
聖王教会からの支援は本当に助かる。俺たちのチームのメンバーは、政治力のないヤツばかりなのだからな。レジアスのヤツが手を貸してくれれば……。いや、あんなグランマの腰巾着と化したヤツの手など借りるものか。
「管理外世界への協力に、資金提供と技術提供を約束しましょう、そのかわり、私の預言阻止には協力してもらいますよ」
「もちろんだ。もとより、生まれ持った魔力を使って地上の平和に貢献することこそ、我らベルカの騎士の目的なのだからな」
俺達の機動六課の設立背景について説明しよう。
きっかけは、聖王教会の騎士カリムの古代ベルカ式レアスキル預言者の著書だ。
このレアスキルは、最短で半年、最長で数年先の未来を、詩文形式で書き出した預言書の作成を行う。預言は年に一度しかできない上に古代ベルカ語で難解な文章で書かれており、解釈が難しい。
だが大規模災害や大きな事件に関してはほぼ例外なく預言されているため、聖王教会や管理局の一部からの信頼度は高い。管理局の上層部もこの預言には必ず目を通すことになっている。
だが、管理局主流派であるグランマや、レジアス・ゲイズ少将がレアスキルのような継承不可能スキルに頼ることを良しとしていないため、さほど重要視はされていない。彼女らは、極論すれば「魔力やレアスキルを持っていなくても、教えれば誰でもできる」通常の情報収集や分析能力の向上に重点を置いているからだ。
そんな騎士カリムの預言に、10年ほど前から3つの預言が現れた。
──古い賢者と無限の欲望が集い交わる血 死せる者の下、聖地より彼の者が蘇る
──其れを先駆けに海を守る船も砕け落ち
──死者達が踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落る
この預言の意味するところは明白だ。
おそらくはロストロギアをきっかけに始まる、管理局システムの崩壊とミッドチルダ地上本部の壊滅を指すのだろう。
だが、管理局本部は「危機対策は既に行なっている」ことを理由に対処しなかった。そこで聖王教会が目につけたのが、教会と関係の深い古代ベルカ式を使う軍部の非主流派だ。
ベルカの騎士である俺を隊長として組織の編成に乗り出し、調整を行い、10年かけてようやっと形になってきたところだ。
「騎士カリム。約束しよう。私は必ず預言の成就を阻止する。例え管理局の上層部の首をすげかえても、だ」
「はい。期待しています。騎士ゼスト」
◆ ◆ ◆
【聖遺物管理司祭】
「騎士カリム、ご苦労様でした。なんとかうまく行きそうですね」
騎士ゼストたちが退出すると、私は控えの間のドアを開け、先程までお茶会の開かれていた騎士カリムの執務室に入った。
「ありがとうございます、司祭様。ご指示どおりこの機を逃さず、管理局内に教会勢力を築いてみせます」
騎士カリムは、その美しい顔に笑顔を浮かべて言う。
今回の機動六課の設立の目的は二つ。
一つは、ミッドチルダに起こるであろう災害を食い止めること。もう一つは、時空管理局内に教会勢力を大きく食い込ませることだ。
管理局と教会は明確に敵対しているわけではない。むしろ、緩やかだが協調関係にあると言っていいだろう。……表向きは。
だが、聖王教会の目的と管理局の目的を考えれば、この両者が心の底から手を組めるわけがない。
聖王教会の目的は、古代ベルカの聖王の教えを守り、布教し、その聖遺物を管理することだ。当然ながら古代ベルカに由来する聖遺物やロストロギアを所有し、布教のために管理することを望んでいる。
そして時空管理局の目的は次元世界の平穏だ。ロストロギアは古代技術の研究対象であると同時に、扱いによっては次元世界の平和を乱すものだ。当然ながら管理局の手によって厳重に管理し、徹底的に研究されつくされる。
聖王教会としても次元世界の平和は望むところだが、古代ベルカの遺産に尊崇の念すら抱かずに解剖されて面白いはずがない。それは教会が、信仰のために厳重に保管すべきものなのだ!
だが、両者の力関係は明確だ。
これまでに、いくつの聖遺物を涙乍らに管理局に引き渡してきたことか……。
聖遺物の中に危険なものが含まれているのは認める。厳重な保管や研究が必要なのも認めよう。だが、それは教会主導のもとに、古代ベルカへの尊崇の念を以ってなすべきことなのだ。
今回の騎士カリムの預言は、私達教会にとって渡りに船だった。この機会に、時空管理局内にベルカ式の騎士を中心としたエース部隊を創り、教会のバックアップのもとに徐々に浸透させる。
最終的には、管理局をベルカの後継者達で牛耳るのだ。
そして聖王の教えのもとに、教会と管理局は手を携えて平和を築きあげるのだ!
管理局の重鎮の一人が、数年前から活動を弱めている。病で寿命も近いと聞く。私達が動くのは、今、この時しかないのだ。最も、私は過去に数度管理局と聖遺物を巡って衝突しているため、表に出ることはできないのだが……
「騎士カリム。必ず機動六課を成功に導きましょう。そして教会の手によって平和をもたらしましょう」
「はい、必ず」
平和な未来を思い描いているのだろうか。彼女の微笑みは、とても尊いものに見えた。
◆ ◆ ◆
【ミッドチルダ地上本部 執務室】
【レジアス少将】
「以上が聖王教会の動きや。ほとんどおばあちゃんの予想どおりやな」
宙に浮かんだモニターには、聖王教会の司祭と騎士カリムが対談しているのが映っている。
モニターに映像を映し出しているのは、八神はやて捜査官の所有する"闇の書"によって作られたオオガラス型使い魔"ムニン"だ。
こいつの闇の書は、収集したリンカーコアを元にした魔法を使うことができる。無人世界でオオガラス型の魔法生物のリンカーコアを大量に収集した結果、オオガラスの形をした情報特化型の魔法が生まれたらしい。それが情報収集型使い魔の"ムニン"と情報解析型使い魔の"フギン"だ。
その情報収集能力を生かして、今は司法省広域捜査部で働いておる。現在の主担当はミッドチルダ方面。同じくミッドチルダ地上方面の軍部を統括する儂ことレジアス・ゲイズと連携を取る機会は多い。
「ふん。グランマが療養に入った今、教会が動くと思っていたら案の定か」
「まぁ、他に動きようがないしな。この機会に、逆に教会側に"くさび"を打ち込んだるわ」
グランマに不調が起こった段階で、教会勢力がなんらかのアクションを起こすことは予想できた。騎士カリムが各方面に打診中の「古代ベルカ式を中心とした特務チームの設立」がそのアクションの中心となることも予想通りだ。
それを軍部からは儂がコントロールし、司法省からははやてがコントロールすることになっている。
「ふん。愚か者どもめ。全ての情報を握られて、思うように動かされていることにも気づかんか」
「そりゃまぁな~。向こうの情報はこっちには筒抜けやし。……あ、そうそう。あの聖遺物管理してる司祭やけど、騎士カリムに惚れとるみたいやで。こないだ、懺悔室で懺悔しとったわ」
「面白い情報だが、今回は役に立たんな。そいつもフギンから手に入れたのか?」
「いや。懺悔を聞いた神父からの情報。懺悔内容を神父がバラすとか、世も末やね」
はやてのレアスキルは確かに役にたつが、それだけでは捜査資料として役に立たない。基本的には、証言や物証を先に集めて仮説を立て、それを検証する時にレアスキルを使う。今回は神父が管理局に通じているので、はやてがいなくとも情報が筒抜けなのだ。
代替手段を用意した上で、効率的な場面で利用するのがレアスキルの正しい運用というものだ。教会のように頼りきりになるといおささかまずい。
「人事課からの書類によると、六課メンバーは一人を除いてほぼ予想通りだったな…」
「うん、一人を除いて……な」
そういえば1つだけ、計算外のことがあった。
はやての友人の一人が、その高い魔力に目を付けられて機動六課に勧誘されていた。
まぁ、儂らの目的は機動六課を潰すことではない。それを利用して管理局内の教会勢力をコントロールすることだ。
「必要とあれば、なのはは見捨ててくれてかまへんで」
「必要とあればな。別に六課を潰すつもりはないぞ。連中は管理局の仲間でもあるしな」
むしろ、潰さないほうがコントロールしやすい。こちらの意を受けて動くメンバーも潜り込んでいることだしな。
「そういう建前を貫こうとするとこって、ええと思うよ。私も見習わんと」
「持ち上げてもなんも出んぞ」
「謙遜せんでええって。高い理想を持ち続けながら、合理的な行動のできるレジアスは貴重な人材やってばあちゃんも言ってたし」
「ふん、褒めてもなんも出んぞ」
「ところでお二人とも…。勤務時間外とはいえ、ここは執務室です。あまり砕けた口調はよろしくないかと」
記録を取っていたオーリスが、儂らの口調について指摘する。一応、今は私的な時間なんだ。堅いことを言うな。…全く、誰に似たんだか。
儂は魔力が少ないにもかかわらず、地上を守る軍人になろうとした。「平和な地上」を実現するには、そうするのが最も効率的だと考えたからだ。
以来、数十年。
目的を見失うことなく、より合理的に行動し続けた結果として少将に…将官にまでなった。
魔力が高くない事や、合理的な行動をすることが見こまれたのだろうか。少将昇進後は、グランマからミッドチルダ地上方面の軍部の指揮を取るように指示された。ミッドチルダの地上の平和の何%かは、儂の力が働いていると自負している。
はやてに会ったのもこのころだ。確か、闇の書事件の解決直後に引き合わされたのだったか。「親戚にごついおっちゃんが欲しかったんや」と、わけの分からん懐かれ方をしたものだ。オーリスの子供の頃を思い出して、ちょっと嬉しかったのは秘密だ。
そして今年。
病気療養に入ったグランマから、儂は情報網と危機管理プランを受け取った。プランの内容は、グランマ療養時の各勢力の活動予測とその対処方法だ。
この療養を機に、教会を始めとする各勢力を掣肘する。近い将来に訪れるグランマ死亡時の混乱を小さくするのが目的だ。
グランマ自身は気に入らないだろうが、彼女が実務から身を引いた後でもその影響力は良くも悪くも計り知れないくらいに高いのだ。療養しただけでコレだ。死亡した時には、様々な問題が浮き上がることだろう。
まだ彼女が存命中の内に、それらを片付ける。もしくは、コントロール可能なレベルに落としこむ。
「とっとと連中の弱みを握って主導権を握るぞ」
「おー」
基本的にBBAの能力は組織と体制づくりなので……
その場にいなくても無双が可能だったりしますw
そして無理やりに機動六課が設立w
この管理局は20~60代までが活躍するマトモな組織なので、隊長は10代の小娘ではなく、渋いオッサンが務めることになりました。
原作どおり、宗教のヒモ付きですけどね。
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