第11話『時空管理局』
とある公園。
そこには封時結界が展開されていた。
公園の中には童話に出てきそうな木の化け物がいた。
そこで戦闘を繰り広げているのはフェイト・テスタロッサ、使い魔のアルフ。高町なのはとフェレット(ユーノ・スクライア)
「あれ?逆じゃ……?」
「どうしたの?ユーノくん」
「いや、なんでもないよ」
……………その後…………
「撃ち抜いて!ディバイン」〈Buster〉
高町の言葉をレイジングハートが引き継ぎ杖先に収束された桃色の魔力の砲撃を放つ。
ジュエルシードの化け物に圧力がかかる。しかし化け物は展開したバリアにより直撃を回避していた。
「貫け轟雷!!」
そこへ、魔法陣を展開させたフェイトが叫ぶ。
〈ThundeSmasher〉
フェイトのデバイス、バルディッシュで目前の魔法陣を打つ。
底から直径Ⅰメートルほどの金色の収束砲が発射された。頭上と正面からの砲撃。この猛攻にはついに耐えられなくなり、消えていった。
残ったのは二人が捜し求めているジュエルシード。シリアルナンバー7。
レイジングハートとバルディッシュが同時に封印用の高出力形態に変形する。「ジュエルシードシリアル7」
そして二人とも同時に封印を行使した。
「「封印!」」
閃光が止み、ジュエルシードを挟んでお互いデバイスを構える。
ちなみに海原は自分のデバイスでは封印できないため、二人のやり取りを傍観していた。(鼻の下伸ばしながら)
「ジュエルシードには衝撃を与えたらいけないみたいだ。」
フェイトが静かに言う。
「うん、夕べみたいな事になったら私のレイジングハートもフェイトちゃんのバルディッシュもかわいそうだもんね」
これが初めて両者で成立した会話だった。
「だけど、譲れないから」
デバイスを向ける。
「私はフェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど……」
〈Devicemode〉
「私が勝ったら、ただの甘ったれた子じゃないって分かってもらえたら……お話聞いてくれる?」
そんな問い掛けにフェイトは無言でデバイスを向ける。
「助けに行かないと!」
ユーノが言うが、
「バカ!今良いとこなんだ。邪魔すんな!」
「良いとこって………」
何を言ってるんだと首を傾げるユーノ。
二人は同時にデバイスを振り上げた。お互いの想いの丈をぶつけるために。
しかし
「ストップだ!」
突如、二人の間に現れ二人の攻撃を止める影が現れた。
「ここでの戦闘は危険過ぎる!」
黒髪、黒の繋ぎのバリアジャケット、黒の詰め襟の上着。黒ずくめの少年は二人の少女を交互に見る。
「時空管理局の執務官、クロノ・ハラオウンだ!詳しい事情を聞かせてもらおうか」
「まずは二人とも武器を引くんだ」
三人はゆっくり高度を落とす。
「てめーKYが!邪魔すんじゃねー!!」
海原が声を荒げるがよく聞こえてないようだ。
突然クロノにむかって数発の光弾が飛来した。クロノは手の平を向けて障壁用の魔法陣を展開して防ぐ。
「フェイト!撤退するよ、離れて!」
アルフが光弾を撃つと同時にフェイトが飛び上がる。光弾は砂煙を巻き上げ、目くらましとなった。
フェイトはこの隙にジュエルシードのもとに向かう。だが次の瞬間、砂煙の中から数発の魔力弾が飛び出す。
「…っ!?あうっ!!」
直撃こそしなかったがフェイトを怯ませ、落下させるには充分過ぎる威力を持っていた。
「フェイト!!」
アルフは叫びながらフェイトを抱き抱え、逃げる。
「てめー何しやがる!!」
海原がバスターソードを振り下ろすがさけられる。
「何だ?君も仲間か?」
クロノは海原も敵と見なしデバイスを向ける。クロノが魔力スフィアを発射し海原も白い槍上の遠隔操作型飛行武器『ファング』を飛ばす。その時……
「だめぇっ!!」
高町なのはがやめさせようと、二人の間に割って入る。それに驚く二人。しかしファングもスフィアも発射されてしまった。だがスフィアもファングも高町に当たる直前で小爆発を起こして消滅した。
何が起こったのかわからない。
「不意に物影から声がする。その声は高町の知っている人物の声だった。
「おーおー、なんかスゲェ事になったなぁ。俺も交ぜろよ。」
そこには本来いるはずのない人物。"垣根帝督"
服装はいつもの着崩した制服だった。
高町はパニックになり
「ええ!?な、なんで垣根くんがいるの!?結界だって…どういうこと!?どうなってるの!!」
「落ち着けよ…」
「てめー垣根!!なんでてめーがいんだよ!あ、まさかなのはとフェイトを狙ってんだな!!そうはさせるか!!!」
何の脈絡の無い支離滅裂で目茶苦茶な事を叫びながら、バスターソードを腕にマウントする。剣身が縦に割れ、内蔵されている銃身が露出する。砲撃モードとなり垣根目掛けて太い砲撃を殺傷設定で放つ。しかしそれは垣根に当たり周りに砂煙が舞い上がる。
「へっ!ざまーみろ!!」
「海原くん!なんてことするの!!」
「しかも殺傷設定……どういうもりだ!?」
二人(と一匹)は海原に怒鳴る。
「へっ、だってあいつは」
「悪いな、それは解析済みなんでな」
砲撃を受けたはずの垣根は無傷で立っていた。
「何!?ならこれでも食らえ」海原の周りから魔力を込められた無数の剣が出現し、垣根に向けて発射される。しかもそれは至近距離で大爆発を起こす。大量の粉塵が舞い上がる。
「今度こそ…!な、なんだあれ!?」
その様子に高町は顔を青ざめるがすぐに晴れる事になる。
「痛ってえな。」
大量の剣と爆発を受けたはずの垣根帝督の全身が、白い繭のような物が包んでいた。いやちがう、ひとりでに広がったそれらは翼だ。天使のような六枚の翼が彼の背からゆったりと羽ばたく。
「そしてムカついた。テメェは今すぐぶち殺してえところだがこんな調子じゃ話が進まねえ。とりあえず寝とけ」
パチンッと指を鳴らした瞬間、海原は気絶し倒れる。
「なっ!?君は一体……?」
「それより、今のうちに拘束しといたほうがいいんじゃねえのか、ソイツ」
「あ、ああ…」
クロノは戸惑いながらも倒れている海原にバインドで拘束する。
突然、クロノの方に女性の映像が現れた。
「クロノ、お疲れ様」
「艦長、すみません。一人逃がしてしまいました。」
「まあ、仕方ないでしょう。そこの三人……、四人からお話を聞きましょう。クロノ、お連れして」
「はい、艦長」
映像が消えるとクロノがこちらを向く。
「事情を聞きたい。来てくれるね」
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