＜米国に後半追いつかれドロー＞

「キャリアを積んだ２７歳の選手が昨年のドイツＷ杯以降、グンとレべルアップを果たし、チーム内で圧倒的存在感を放っている」
　女子代表初代専任監督・鈴木良平氏（ドイツサッカー協会公認Ｓ級ライセンス指導者）が高く評価するのが、主将としてチームを牽引するＭＦ宮間あや。左右両足で精度の高いボールを蹴らせたら世界有数の宮間だが、他に何が凄いのか？　「ボールを受ける前に相手の意図、動きを瞬時に予見して逆を取ったり、ボールを持ったら味方の欲しがっているところに、タイミングを鋭く察知して絶妙パスを繰り出していく。サッカーの眼力が素晴らしい」と前出の鈴木氏が続ける。
　昨１日、キリンチャレンジカップで世界ランク１位の米国と戦った女子代表なでしこジャパン。前半３２分に混戦からＤＦ近賀ゆかりが先制したが、結局１―１のドロー決着。通算成績は日本の１勝２１敗５分け（ＰＫ戦勝利は引き分け扱い）だが、ここ３試合は１勝２分けと負けなし。日本が世界ランク１位にならないのが不思議なくらいである。
「試合後に《サワがいなくても他の選手がしっかりとプレー。日本にとってサワ不在はマイナスではない》と米国監督が話していたが、Ｗ杯ではサブのＭＦ田中明日菜やＤＦ矢野喬子が、評価に値するプレーを見せた。米国監督の見立ては正しいです」（サッカージャーナリスト・六川亨氏）
　実際、チームの中から「沢不要論」が聞こえてくるようになった。
「沢の周辺で《病気を理由に休養》という噂は根強いが、五輪予選など休養前の沢からはＷ杯時の神懸かり的プレーが影を潜めた。《沢さんがいると“つい癖で”パスを出してしまう。でも、相手に取られたり、ミスが急増した。いない方がチーム力はアップする》とゲンナリする主力は少なくない」（マスコミ関係者）
　沢が休養してから米国戦は１勝１分け。沢不要論は、いよいよヒートアップするばかりである。

▼サッカー女子キリンチャレンジ杯（１日、ユアテックスタジアム仙台）
日本　１　（１―０
　　　　　　　０―１　）　１　米国
▽得点者【日】近賀（３２分）【米】モーガン（７２分）