2012.7.4 06:07

安易な幕引きは危険 原監督の「1億円騒動」(2/3ページ)

ベンチでさえない表情の原監督(左から2人目)=6月22日、長野(共同)

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 動かない日本野球機構

 記事には元巨人の横浜DeNAの中畑清監督が仲介役として登場してくるのだが、両球団が短期間でどういう調査をして、問題なしとの結論に至ったかなどよく分からない部分があり、原、中畑両監督の説明も一方的なものだ。日本野球機構(NPB)も表だって動いている様子はない。「力は正義なり」といった風に突き進む球団とそれを傍観する球界トップの図式は今回も変わっていない。そこにある種の危惧を抱かざるを得ない。

 加藤良三コミッショナーが6月29日、表彰式で訪れた東京ドームで原監督に「私としては(今回の問題は)承知しているが、野球に集中して頑張ってくださいと話した」と報じられた。この時期に本当にそんな会話しかしていないのだろうか。そうは信じたくない。

 「黒い霧事件」を教訓に

 プロ野球は約40年前、「黒い霧事件」という大きな痛手を負った。いわゆる野球の八百長事件で永久追放をはじめ多くの選手が処分された。オートレースの八百長にまでプロ野球選手が関係するなど、次々と暴力団との関係が明るみに出た。以来、プロ野球界はそれを教訓に、各球団は警察OBを入れるなど対策を講じてきた。

 原監督が1億円をゆすられた06年ごろは、人気球団の私設応援団員を語る暴力団員が問題を起こす事件が続いた。12球団は「暴力団の排除宣言」をするなど暴力団排除のキャンペーンを展開してきた。その中心にいる加藤コミッショナーがこうしたことを知らないわけはなく、今回はなにはともあれ原監督や巨人に事実関係を問いただすべき立場にある。最低でも巨人に経緯を報告させるべきである。

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