診療情報の提供の考え方について
診療情報は、患者本人の情報であり、患者本人に帰属するものである。患者に対して診療情報が開示されない現状は異常な状態であり、診療情報開示に関する患者の権利を早急に確立すべきである。
診療情報を患者と医師が共有することにより、「患者不在のお任せ医療」から脱却し、「自己責任を伴う患者本位の医療」の実現に向かって前進することができる。
また患者が診療情報を手にすることにより、「医療不信の緩和」、「セカンドオピニオン取得の容易さ」を図ることが可能となり、患者の受ける恩恵は大きい。
「今のカルテは略語の多用や悪筆により患者は理解できないから、開示しても無駄」という意見もあるが、そのような患者を無視する考え方に固執する医者からは患者が離れ、「患者が理解できるように説明することを重視し、チーム医療にも有益なわかりやすいカルテを書く医者」に患者が流れるだけである。つまり、診療情報の開示は「消費者である患者が医療の質を見極め、病院を選別する」動きを加速し、ひいては「日本の医療の質向上」に寄与する。