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毎回更新遅くなるのは最初にちゃんとプロット書かないせいだと思う

原因は分かっているのに直さない作者なんて最低ですよね!(他人事)

こんな作者を見捨てないでくださる読者の皆様に感謝感激です!

あと今更ムクロの能力設定w


ムクロの能力“墓泥棒の懺悔<グレイヴ=ラヴァー>”
特質系:死者の念に込められたオーラを自分の物にできる
なかなか都合のいい能力だが制約が二つある

1、ムクロ本人に強い恨みを持ったまま残した能力の場合に限る
2、一度死者のオーラを使いきるとその後一週間、再び死者のオーラを使うことが出来ない

この二つの制約を設けることで能力の発現に成功した。しかし副作用として死者のオーラを取り込むと常に心身を害する 
※尚、2の間は副作用が解除される
・悪影響は普段包帯に巻きついているお札の神字でその効果を弱めている
※そうでもしないと死者の怨念で睡眠さえとれない。しかし同時にオーラ量も激減する
・棺断は死者のオーラを使うので包帯を外した時にしか使えない


そこらへんを理解した上で35話スタート!

仙水さん驚く

体が痛い

そう感じると共にまるで霧が晴れるかのように俺の意識が戻ってくる。
ふと見回すとここは今自分が寝ているベッドの他にはほとんど何もない部屋で、だからこそそれに気づくのも直ぐだった。

「……マチか」

ベッドの隣にあるパイプ椅子でスヤスヤと眠るマチの姿。誰かが気を利かしたのか、その体を覆うようにタオルケットが掛けられている
この様子だと看病してくれていたのだろうか?

とりあえず現状把握のために立ち上がろうとしたところで腕に痛みが走って、再びベッドに倒れこむ。ガッチリ包帯で固定されている両腕を見てムクロとの戦いは確かに現実だったとホッと一息をつく

あんな壮大で馬鹿らしい夢を見るほうがよっぽど非現実的だからそう心配せずにいいものだろうが、やはりもうムクロと戦わずにすむと考えると思いのほか安心するものだ


今度は痛みを感じないように手をつかず足だけで立ち上がり、寝ているマチを起こさないように部屋から出る。そうして出た廊下に敷かれた絨毯の柔らかい感触を足の裏で受けながらしばらく歩いていると、目の前から見慣れた二人の姿が現れた


「あら、起きたの? ちょうどマチに夕食を持っていくところだったんけど、一緒にどう?」


何時もどおりの白いシャツと紺のスーツ姿のパクノダは料理が幾つか載せられたワゴンを押しながらそう告げる。ここまでは良い
だがその少し前を先導するムクロの姿に思わず首を傾げる
いつもの包帯は何処へやら、シャツにジーンズと軽装? で右半身の火傷の痕も露出しているが本人は気にしてないようで飄々とした様子だ。気のせいか纏うオーラの邪悪さも薄れ、さっぱりとした印象さえ受けた

これがイメチェンというやつか


「どうした? 一週間も寝てボケでもしたのか?」


マジマジと見つめる俺の視線に気づいたのかムクロは小バカにしたような表情で言ってきた。
ん? 一週間?


「俺は一週間も寝ていたのか…」


そこまで体が疲弊しきっているとは……
そういえばヨナに連絡をとってなかったな。今頃心配しているだろうか?
……ああ見えて細かいとこまで気がつくマリアだから、おそらく連絡は行っているとは思うが

「ええ。もしビルから落ちた時、マチが咄嗟に念糸で網をつくらなければこれから先もずっと寝てたかもしれないけど」


あの時の感触はマチの糸で助けられた時のものだったのか
確かにあの高さから落ちたら死あるのみ。これはマチに世話になったな


「後で礼をいっておくよ」

「それだけでいいの?」


パクノダが何か面白いものでも見たかのような表情でそう返してきて、ようやく俺はそのことに気づいた。


「勿論謝礼金も払うさ」


マチの性格からして俺の礼よりそっちの方がよっぽど喜びそうだ。そんな基本的なことを失念してしまっているとは俺らしくも無い
だが、どうやらその考えも間違っていたようでパクノダとムクロは呆れたようなため息をつくばかり。頭の中で心当たりを探すがどうも思い当たる節がないので諦めることにする


その後ムクロから戦争の結末を聞くと、やはり夜号のトップであるムクロの敗北から旅団が勝利をおさめたらしい。だが夜号という巨大組織の解体はそれこそ小国を落としかねない暴動へと発展する恐れがあるため長をムクロに据えたまま、幻影旅団のパトロンとなることで話は収束したらしい。なんだか上手い具合に乗せられたような気がするが、13人しかいない旅団では夜号という巨大組織の持つ縄張りを治めきれないのも確かなのでおそらくこれが最善手だったのだろう

それにもともとパトロンなんていらないほど旅団は稼いでいるが、そこはやはり形だけでも取繕っておかないと一組織として舐められる。組織の大きさでは夜号が勝り、しかし今回の件で夜号の上位組織とまではいかないが同等の組織にまでなった旅団の対応にはあちらも困惑気味の様子だったが、一言ムクロの声が掛かれば先ほどの戸惑いも嘘のようにキビキビと行動し始める


そんな諸々の事情もあって今幻影旅団は夜号の治める土地に招かれている

――そういうことらしい







場所は変わって、夜号の治めるホテルの最上階に位置するVIPルームに俺達はいた

今後の幻影旅団と夜号の関わり方についてトップが議論するという名目で、幻影旅団側からはクロロと何故か俺、夜号からはムクロが集まるこの会合は本来粛々とした雰囲気で行われるはずだったが、名目はやはり名目でしかなかった


「遠慮せずに飲めよ。セノビア地方のワインは格別だぞ。献上品の中でもオレのお気に入りだ」


「自分は怪我に障るから遠慮しておくよ」


「……惜しいな、ここまでのワインは市場にも滅多に出回らないぞ」


そう言うとグッと煽るようにしてクロロがルビー色のワインを飲み干す。普段ゆっくり楽しむクロロがそんな余裕もなくすほどに美味いのだろう

それを横目で見ながら果たしてこれは会合と言えるものだろうかと今更ながら思う
やっていることは普段の旅団の宴と変わりない。しかしさすがにこの状況の中それを諌めて場の空気を濁すわけにもいかず、一人素面しらふのままウーロン茶を飲むことに専念する


時計の針が深夜三時を指し示したところでようやく酔いが回ってきたのか、ムクロとクロロの頬がほのかに紅潮し始めた。口の中がウーロン茶の味で染まってしまった俺はこれ幸いと宴の終了を提案して、まだ飲み足りなさそうなクロロの肩を引きずり寝室のベッドへと投げ込む。大分酔っているせいか反抗する気力もないようで随分楽だった


だが、さすがに疲れた。

まだ不調というのもあるがアルコールですっかり舌を湿らせたムクロの話が止まらないこと、止まらないこと
最初のほうは熱心に聴いていたクロロも途中で耳から耳へ聞き流してしまった程だ
他の旅団員は下の階から喧騒が聞こえることから、まだ飲んでいるようだが俺は早めに休むことにしよう

宛がわれた部屋の電灯を点けることも面倒で、手探りでベッドを探すとそのまま倒れこんだ。体全体を包む気だるさに癒されながらふとガサガサと動く音が聞こえたような気がした







頬を何かでツンツンと突かれている。最初の頃はあまりの眠たさで放っておいたが、強く抓ったりと段々エスカレートしてきたのでその犯人の手を掴むと、起きていることに驚いたのか耳元で息を呑む音が聞こえた


「パクノダ……か?」


マチがこんなことするとは思えないし、そこらへんのあたりをつけていたが薄目を開けて犯人を見てみると想像だにしない人物が犯人だった


「オレだ」


窓から差し込む光を受けたムクロが真上から覗き込むようにして答える。この位置関係と頭に感じる感触はもしかしなくてもムクロに膝枕をされている?

あまりにも予想外すぎてしばらく呆然とムクロと見つめ合う
ムクロはムクロで暇つぶしでもするように俺の髪をいじくって遊んでいる。しばらくしてようやく現状を受け入れた俺はとりあえず一番気になることを質問してみた


「……いったいどうしてこんな状況になったか教えて欲しいところだ」


「うん? 覚えてないのか?」


しばらく考えてみたが心当たりがないので降参するように両手を持ち上げる

「ハンター試験の時だ」


……そういえばムクロに吹き飛ばされて気絶する前に膝枕がどうのこうの言った覚えがある。あの時はほとんど意識が朦朧として残念ながらハッキリとは覚えていないが

ムクロはそんな俺の表情で全て理解したらしく


「オレが『お前、部下にならないか』と誘う時は膝枕をしながら言ってくれ。そんなことを言ってただろう?」


そういえばそんなことを言った覚えがある。しかしあれは手も足も出なかったムクロに対する完全な皮肉だったのだが…まさか実現することになろうとは


「しかし夜号と旅団との関係が対等になった今では、一応旅団側の人間が夜号側につくわけにはいかない。夜号の幹部連中が勘違いする恐れもあるからな」


ハッキリ言ってこれは表向きの理由だ。俺は個人の責任で巻き沿いになったにも関わらず戦争に付き合ってくれた旅団に少なからず感謝しているし、クロロとはこれからもいい友人でいたい。時々仕事はあるが思いのほか楽に動ける旅団に愛着が全く無いといえば嘘にもなる

結局のところそういう面が大組織夜号に入るメリットを上まわっているのだ


「そんなことは分かっている。だからこれから言うのは別のことだ」

「何だ?」

「たまには夜号に顔を出せ」


「……そんなことでいいのか?」


もっと無茶を言われると思ったが思いのほか簡単な願いだ


「本当は夜号に迎え入れたいところだがな。昨日の感じからしてオレ側とクロロ側か選べと聞いたら十中八九お前はクロロ側を選ぶだろう。……ちょっとあいつがうらやましい」


穏やかな顔つきのムクロに少し見とれてしまったのは朝日があまりにも綺麗なせいだろう



ムクロたん可愛い♪
何故皆分かってくれないんだ!


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