シズクやヒソカとも組ませて仕事をさせたいなぁ~
あとオリジナルキャラも出していきたいです!!
外伝 仙水さんと仲間たち(2)
飛行船から隣で滞空しているアン・ストッパブルを見上げると改めてその大きさに驚かされる。優に俺達が乗っている普通の飛行船の十倍はありそうな大きさで、揚力としてプロペラもいくつかついているそれは当時の技術力でよくつくれたものだと感心した。
「へぇ~、なかなかおもしろそうだね」
シャルナークも興味がひかれたのか、その当時の技術力でどうつくったのかの考察を一人で喋り続ける危ない人と化したので俺達は距離をとって他人の振りをする。
『大変長らくお待たせしました! 本船はまもなくアン・ストッパブルと連結致します。
アン・ストッパブル入船の際は必ずチケットを受付に提出なさって下さい。もしチケットを紛失されたかたは、真に申しわけありませんが入船をお断りさせていただきます』
俺達の他には十数名ぐらいしかアン・ストッパブルに乗り込む乗客はいないようで、その誰もが裕福そうな身なりだ。その乗客たちはアン・ストッパブルへの移動橋を渡り受付にチケットを渡す。受付は纏をしている様子から念能力者のようで乗客一人ひとりが念の使い手かどうか確認している。このまま行くと俺達は勿論、たとえ一般人のようにオーラを垂れ流しにしてもそのオーラの量で直ぐに念能力者だとばれてしまうだろう。
ここで凝を使われれば俺達は船内の警備員に念能力者ということでかなり警戒されてしまうが、今回は運が良かった。先頭を行くフェイタンがこちらを意味ありげに見るので俺達も頷いて反応する。
フェイタンは一般人が僅かに垂れ流しているオーラ部分だけをそのままに、あふれ出たオーラを隠で隠した。これなら少しオーラが一般人よりも力強く滑らかなだけで、そういう人もいるんだな~と納得出来るだろう。俺達も同様にそうして、少し怪しまれたがなんとか受付をパスすることが出来た。
「潜入には成功したけどこれからどうやって取引相手を探すべきかしら仙水?」
「勿論君の能力を使う。しかしただ闇雲に探ったところで詳しい情報は出てこないだろう。
なにせ乗客の数が多い。ここはバラバラに別れ、ある程度の情報を集めた後、信憑性の高い情報提供者をパクノダの能力で改めて調べるというのが一番効率的なやり方だろう」
「そうだね。……団長が仙水を旅団に入れようとしている訳が分かった気がするよ」
「ハハハ、ノブナガと似たこと言てるね」
「では集合は三時間後の正午に三階の中央ロビーだ。くれぐれも目立つ行為は避けろ」
そういいひとまず解散すると情報を集めに船内をうろつく。
情報を集めるというのは口で言うのは簡単だが、実際かなり繊細でなかなか実利を得にくい作業だ。自然な会話の中でこちらのカードを切らないで相手のカードを自身でも気づかない内に出させるのだからその苦労が知れるだろう。相手の表情の機微、心理傾向、ちょっとした動作から人物を見極め対策をとる。
そういうことが出来ないと情報は手にいれられない。そして得たたくさんの情報の中から有益な情報だけを篩いにかけて残るのはたった一握りだ。
シャルナークなんかはこういう事が素で出来たりするが、マチやウボォーギンなんかは向いていないだろう。マチは面倒くさがり、ウボォーギンは元から出来ないという若干の差はあるが……
船内を歩いて気づいたことはやはり富裕層が多いということだ。チケットでさえ一人七百万ジェニーもかかるのだから乗っているのは当然金持ちだ。そんな金持ちに当てはまる貴族のお嬢さんたちに笑顔で話しかければ皆同様に船内が暑いのか赤面し、出身地はどこ? 等と質問をした後は、ほとんど何も聞かなくても自分から知っている情報をぺらぺら喋ってくれた。
時折頷いて相槌を打つだけでこんなに簡単に情報が手に入るなら思ったより情報屋は楽な仕事かもしれない。情報を手に入れる難しさは知っていたが、実際諜報関係の仕事はやったことがなかったので俗に言う食わず嫌いだったのだろうか?
「ちょっと仙水君、聞いてる?」
少し考えていたので目の前で少し怒った顔をする貴族のお嬢さんに気づかなかったようだ。
上手くご機嫌をとるのに時間はかかったがなんとか成功した後、食事を誘われたが丁重にお断りした。
腕時計を見ると時刻は11:34
上手くすればまだ情報は手に入りそうな程時間は残っていたが、お嬢さんと話すのに少し疲れたのでこのまま時間を潰そうと最上階へ行く。
何でもここの最上階はガラス張りで外の景色が見えるらしい。
開放感を味わいたかった。人のいる所にずっといると胸がつまったような感覚を覚える。
そして最上階へ着くとそこに爽快な景色があった。見えるのは雲と空だけだが、綿菓子のような雲を切り裂いて進んでいく飛行船が雲の塊を突き抜けた先に広がる青空。
このまま何も考えずにここで時を過ごしていたかったが正午まであと二分も無かったし、時折感じる粘っこい視線が気分を害するので三階のロビーへと足を進める。
案の定、既に俺以外はロビーに集合していた。
「遅れたか?」
「当たり前ね。ワタシ待たせるとは良い度胸だよ」
「もういいじゃないフェイタン。食事はあんたが何処で食べるか決めていいから」
「勿論中華ね」
「……俺はダマサ料理がよかったんだけどな」
少し落ち込むシャルナークを連れてパクノダ達について行く。……少し日本食が恋しくなった。
やはり世界十大ホテルの内の一つというべきだろうか、船内には世界中のあらゆる料理屋がある。それにしても中国という国はこの世界にはないはずなのに何故中華料理があるのだろうか? 日本がジャポンになっているように中国も別な呼び方になっているだけなのかもしれない。
「エビチリとカニ玉とギョーザとチャーハンとラーメンを五人前ね」
「……一人分多いぞ」
さすがに耐え切れずフェイタンに指摘した。
「何言てるか、今言たのはワタシの分だけね」
ここの世界の住人はよく食べる。どう見てもその体に対して不釣合いな位に食べるフェイタンが良い例で、シャルナークにしても三人前位は食べるし、女性のパクノダでさえも二人前は食べる。俺は至って普通なのだが少食だと思われがちだ。
目の前に運ばれた料理を食べながら気になっていたことを話す。
「やっぱり今も監視されているな」
「それは私も感じていたわ。殺気を隠そうともしないでいるのはこっちがそれに気づくかどうか窺っているのかしら?」
「監視にそれなりの使い手がいたんでしょ。僕らのオーラを見てかなり警戒しちゃってるみたいだから。どうせこうなるんなら最初から絶をして念の初心者アピールすべきだったかな?」
「いずれ気が付かれていただろうさ」
ここの警備もザルという訳では無い。今は一人だけの様子だがこのまま放っておくといろいろ面倒だ。
「食後の運動にちょどいい相手ね」
あれだけの料理をもう腹の中におさめたフェイタンは動きも軽く今にも飛び掛りそうな様子だ。
「やめておけ」
「何故止めなければいけないね。あいつウザいよ」
「コインで決めるか?」
蜘蛛のマークの入ったコインを弾き、手の甲で受け止める
「ふん、いいよ。裏ね」
「表」
ゆっくり片手を離すとコインは蜘蛛のマークがついた表のほうだった。
フェイタンは軽い舌打ちとともにおとなしく席につく。
「もっといいやりかたが有るということだ」
俺はシャルナークの鞄から勝手に拝借したアンテナの突き刺し部分だけが出るように念弾とアンテナを合体させ、テーブルの隅をゆっくりゆっくり移動させる。途中でそれに気づいたシャルナークはいつの間に? という表情をしていたが関係ない。
目でほとんど見ないで移動させるので、操作系が苦手な俺としてはそれが最大のスピードだったが今回は警備に気づかれないためにそのスピードが役に立った。そしてついにこちらに殺気を振りまいている男の首筋へとアンテナを刺すとシャルナークが携帯をいじりだす。
しばらくして設定し終えたシャルナークは満足げに携帯を閉じると、それが合図だったかのように男も去る。
「ここからは更に慎重に行動していかないとな」
「……そういえば早速だけどあなたたちが集めた情報を教えてほしいわ」
「コチの方では特に無かたね」
「俺は有力そうなのが二件、微妙なのが五件といったところかな~」
「有力なのが六件、名前だけは知っているのが三件、見たことがあるのが二件、だいたいの場所を知っているのが一件だ」
「!? すごいじゃない!」
「仙水に負けた……」
旅団の仕事を止めた時の再就職先は決まったな。
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