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キャラを壊さずに書くって難しいっ!!

既に仙水さんは壊れてるかもしれませんが……
仙水さん仕事をする(2)



フヴァロン家の敷地内には既にカタギの人間ではないような集団で溢れかえっていた。各々物騒な銃火器を持ち屋敷の周りを警備している連中を前にしてフランクリンとマチはリラックスモードだ。魔獣たちが常に襲いかかってくる中育った俺もたかが銃をもつ相手は脅威にもならないので同様にしている。

「おそらく雇われた能力者達は屋敷の中にいるだろう」


屋敷内に植えられている茂みの中でそう告げる。

「十中八九そうだろうな。するとここでゴミどもを外で相手するのが一人、中に潜入し敵をバラした後お宝を盗ってくるのが二人。問題はその人選だが……」

フランクリンも顎に手を当て思案顔で答える。
「それについては既に考えている。マチ……頼めるか?」

マチの実力は十分知っているが狭い屋敷の中放出系の俺とフランクリンは念弾を敵に当てやすい。屋敷の中は逆に隠れる場所や死角も多いがそこはフランクリンの“俺の両手は機関銃ダブルマシンガン”で一面に弾幕を張ればあまり意味がないし、俺の場合は今朝制約をつけて実現した複数の“烈蹴紅球波”が相手目がけて襲う“烈蹴紫炎弾”を使えばそれも解消できる。それにフランクリンを今回の仕事につけたクロロもそれを予期してのことだろう。

「やだね。
旅団クモでもないあんたの指示を受ける義務はこっちには無い。
それにあんたは信用できない。好きにさせてもらうよ」

そう言うとマチは屋敷の裏にある窓へ念糸を飛ばして、その上を伝って屋敷内に入っていってしまった。以前から嫌われているとは思っていたが、まさかそこまで嫌いだとは思わなかったので少し驚くと同時に面と向かって拒否されたので少し傷つく。それにマチの言うことももっともな話なのでマチの行動にも理解がないわけでもないが、今回は一応この仕事を任された俺に従ってもらいたい。

「仙水、マチはああ見えてお前のこと(実力)を認めているんだ。

だがマチは今まで団長に依存してきたからな、旅団としての繋がりしか持てないマチにとって団長の友人という特別な繋がりを持つお前が妬ましかったんだろう。

ゴミ掃除は俺に任せて仙水はさっさとマチを追っていけ」

フランクリンはそう言うと茂みから抜け出して銃火器を持った連中に向かって進みだす。それに気づいた連中は一斉に銃を突きつけた。

「何だてめぇは?命が惜しければさっさと帰りな!」

「……うるせぇよ

俺の両手は機関銃ダブルマシンガン!!」

フランクリンの両指から多数の念弾が放たれゴミ共は抵抗らしい抵抗も出来ずにやられて行く。ここにいるゴミは直ぐに片付くだろうが応援は次々とやってくるだろう、いつまでもここに居ては目的も達成できないので一番近い窓までジャンプしてガラスを蹴破り侵入した。ガラスが割れた音が響いたが外でフランクリンがそれよりもっと大きな音を響かせながら暴れているので気づかないだろう。

廊下には今の状況におよそ似つかわしく無い牧歌的な風景画が並んでいる。その廊下を進んでいくと脇のドアから剣をもった男とまるでカエルのような見た目をした男が進路を立ちふさがるように現れた。練をしている所からどうやら念能力者のようだ。

「おーっと、これより先に進まれたら困る。依頼主に怒られてしまうんでね」

「ゲロ、侵入者はカエルの前を飛び交うハエのようにやられる定めゲロ」

剣を持った男とカエルのような男はそう言うと襲い掛かってきた。おそらく具現化したであろう男の振り下ろしてきた剣を手でいなし、続けてカエル男が粘着質なベロで俺を捕えようとしてきたので、剣士の襟を掴んで引っ張り男を盾にする。

剣士はあっさりカエル男のベロに心臓を貫かれ死んだ。まさか仲間の攻撃で死ぬとは思わなかったのだろう、驚愕の表情を浮かべている様子は滑稽ですらある。続けて怯んでいる様子のカエル男に一速跳びで接近し、相手の“堅”を超える錬度の“堅”で回し蹴りを放つ。ゲロォ!!と妙な断末魔の叫びを上げ頭が床に転がったのを横目で確認した後、道を急いだ。

いくらマチが強いからと言って念能力の可能性は大きい。勿論マチはそれを補えるだけの経験と勘を養っているはずだが何か悪い予感がするのだ。
誰も知るはずの無い襲撃をまるであらかじめ知っていたかのような念能力者の手配。
それにA級首の幻影旅団が来ると知っているならもっと何かあると考えて間違いないだろう。

マチの勘ほどではないが嫌な胸騒ぎがする。



†  †  †  †


あたしは仙水 忍という男が嫌いだ。

最初に抱いた感情は正にそれだった。いつも仕事には車か飛行船を使って移動するのだがたまたまその日は交通の便から電車で移動することになったのだ。人が混み合う電車はあまり好きではなかったが、旅団のメンバーで一つの車両にかたまれば一般客も近寄ってこないだろうと思っていた。……その考えが甘かったのだ

最初の頃は物々しい旅団のメンバーが一つの車両にいるのを見て大抵の客は例え混雑していても他の車両に移動した。それでも居座ろうとする連中は少し殺気を飛ばせば冷や汗をかきながら出て行くのでちょろいもんだ。

だが次に停車した駅で奴が現れた。
奴は強面の旅団のメンバーもまるで気にした様子も無く、更に図々しいことに団長に向かって隣の席を譲ってくれ(実際は違うが)とぬかすのだ。当然団長は断ると思ったが団長は気にした様子もなくそれを受け入れ再び本を読み始める始末。
団長に頼るのは諦め、早く去れとガンを飛ばすがそれすらも奴には効果がなく、挙句の果てにはこちらの目的地まで聞いてくる。

あまりにも鈍感か?
それともかなりの曲者か?(これは有り得ないことだが)

こいつという存在に頭の中を掻き回されていることすら嫌だったので、もう考えることすら放棄し到着までのしばしの間休息をとることに決めた。
しかし予想外のことに団長が何度も読んでいるお気に入りの本の作者が目の前の男だったらしく、意気投合した二人は本についての考察を語り合っている。その様子にしばらく呆気にとられた。表情には出てないが、団長があんなに楽しそうに人と話しているのは付き合いが長い私達でさえ見たことがないものだったからだ。気づけば他の旅団のメンバーも珍しいものを見たような顔でこちらを観察している。

ムカツク事に降りる駅まで一緒だったが奴と駅で別れた時ホッとした。それはあまり認めたくはないがおそらく嫉妬、いやもっと幼稚な感情かもしれない。

団長の笑顔、旅団の皆の好意的な態度

あたしが長い間積み上げてきた全てがあの男の手に奪われていってしまうようなそんな感覚さえした。だからこの男との繋がりが切れるその時あたしは安堵したのだ。


しかし運命というモノはあるのだ。別れの時間は短くその日の仕事先で再び奴とであってしまった。ボノレノフの戦闘演舞曲バトルカンタービレ『木星』で死んでしまえば良いと思ったが予想以上に奴は出来るらしく、それに目をつけた団長は仮宿に連れて帰るなんてことを言い出した。

その時にあたしは旅団の皆にも一目置かれている勘が働いたのだ。
『おそらく団長は奴を仲間にしたがっている』
この時の勘ほど外れて欲しかったものは無い。こいつがこれ以上あたし達の中に入ってきたらあたしという存在はいったいどうなってしまうのだろう。

パクノダが記憶を読んだ後に突然悲鳴を上げたことが更にあたしの不安を助長させた。
そして続くウボォーギンとの戦闘も危うい一面を見せながら勝利する。

団長が勝った仙水を自室へと案内したところからおそらく本格的な勧誘をしているんだろうと、あたしは絶望的な気持ちの中団長が帰ってくるのを待った。ところが奴は団員には入らず団長の友人というふざけた地位におさまった。しかも奴には仕事の拒否権まである。

あたしを含め団員はそれに強い反感を覚えたが、奴と共に仕事をするにつれそのような話はいつの間にか聞かなくなってしまった。あのあまり人を認めないフェイタンやフィンクスでさえも奴に一定の理解をしめしている。団員でもないのに奴は仲間の一人という妙な共通意識が芽生えつつあるのだ。



奴はいつもあたしの期待を裏切って行動する。だから今回の仕事ではあたしの好きにさせて貰う。自分の幼稚な発想にほとほと呆れるがこうでもしないとあたしはやっていけないのだ。それが団長を裏切る行為だとしても……

屋敷の中に入ったあたしは念能力者を片付けながらフヴァロン家の金庫へと向かう。念能力者自体は弱かったので苦労もせず倒せたが、進むにつれ自らの勘が警鐘を打ち鳴らしている。おそらくこの先に恐ろしい者が待ち構えているのだろう、自らの勘だけではなくビシビシと伝わる空気がそれを教えているのだ。

普段なら勘の時点であたしは絶対ここから逃げ出していたはず。
……だが今回は進む。
今までとは全く違った行動でもとらなければ答えは見えてこなさそうだから





怪物ハンター、財宝ハンター、幻獣ハンターいろいろあるけど

千葉は読者の心を掴むハンターになりたい!!

そう言えたらいいなと思いましたwww



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