二次創作は初めて書くので至らない点があったら気軽に意見ください。よろしくお願いします。
プロローグ
ああ~面倒臭い。
大学の授業に何の魅力も感じられなくなった俺、御山 忍は暗い部屋でゲームをしていた。この大学は元々第一希望ではなかったこともあり、おもしろそうなサークルもなかったので日々ゲームをするか寝てばかりで、自分でもこんなことをしていていいのかという考えはあったがそうそうこの暮らしを変えることもできなかった。
明日は兄貴が家にくると言っていたので部屋の掃除をしようとしたが風呂場の洗剤がなくなっていたことに気づき近くのスーパーでついでに不足品も買い物しておこうと考え家をでる。
一人暮らしの様子を身に来るのは普通親なんだが家は少し他所と事情が違う。
兄が言うには俺が幼い頃両親は自動車事故にあって死んだらしいのだが、親戚の俺達への反応は両親が亡くなった子どもへの哀れみではなくまるで俺達のことを恐れている風だった。それがどうしてかは分からないが血がつながっているとはいえ、俺からしたらただの他人なのであまり気にしていない。
幸いにも親が残してくれた遺産があったので身寄りの無い俺達は施設に入るのを拒み俺が大学生になるまで二人で暮らしていたが今でもよく連絡は取り合う。唯一の家族を盛大に迎えてやろうとバイトで貯めた金を下ろして今晩はすき焼きにしようと考えていたら、その目的地であるスーパーからどす黒い煙が空へと昇っていっているのが見えた。
急いで走りスーパーへと向かうと、店内からたくさんの人が悲鳴を上げて逃げ出してきた。
店内は既に火が充満してきているらしくあたりをオレンジ色に変えている。
「ママを助けてっ、まだ四階にママが残っているの!!」
隣にいる女の子が黒い煙をモクモクとあげるスーパーの四階の窓を指差しながら必死で周りの大人たちに助けを求めているが誰も動こうとはしない。
あの様子だとあと数分も持たないだろうから少しして消防車が来ても間に合わないだろうことが分かるからだ。
当然だ。誰も自分の命が一番大事でそれは当然のことなのだ。
決して責めるべきではない。人間なんてそんなものだ。
……だから俺は人間ではありたくないのだ。
店内の火が弱そうなところから窓を破って入る。後ろでギャラリーが何か言っていたが聞こえない、聞きたくない。
店の中はサウナの十倍以上の熱気が立ち込めていて喉がヒリヒリしたが我慢して、普段よく利用しているスーパーの階段を見つけると駆け上る。階段から食料品売り場へと足を向けたところで火事によってもろくなったのか、天井が崩れ階段は埋まってしまった。
もう階段を使うことはできなくなったか……
四階は煙で真っ暗だったのでどこかのTVで言っていたように地面をはいつくばりながら空気を吸って進む。煙が出て行く方に女性が見えた。
おそらくあれがあの子の母親なのだろう。窓へ座って地面を見下ろしながら緊張した顔をしている。恐る恐る下を見ると消防隊が救護用のマットをしいて女性が降りるための準備をしていた。
おそらくこの女性は飛び降りる勇気がなくて困っているのだろう。
火がこちらへと赤い舌を伸ばしていたので俺は迷う女性を脇から掴んで救護マットへと降ろす。落ちる瞬間こちらを信じられないものを見たような目で見ていて恐怖したが命のほうが大切だ。
煙が胸を焼き目もボンヤリとしていく中で観衆たちの歓声が聞こえたのでどうやら無事落ちてくれたようだ。良かった。
そして意識が薄らぎ、最後は何もきこえなくなった。
ここはどこだ?
目が覚めると何も無い空間が広がっていた。いや、闇があるだけだな。
「我が子よ。よくここへ来た」
急に目の前に現れたのは白髪の幼女。
「幼女に母親発言される日がこようとは……」
「せっかくシリアスにしたのに空気を変えないで欲しいのだが」
ガクブル状態の俺を見て呆れたような口調で話す幼女。
「先程からモノローグが幼女で締めくくられるのには我慢ならんっ!!」
「で、あんたは誰で何故俺はここにいるんだ。」
渾身のボケをスルーするのが好きだ。
「はぁ、もういい。……私は神だ。
そしてお前は死んで魂だけの存在になったところを私に拾われた。」
「まぁこの状況から言ってそれを信じるしかなさそうだ。
で、これから俺はどうなる?」
「なかなか鋭いな。
普通ならお前は輪廻の輪に取り込まれて再び生まれ変わるが、お前は特別だ。」
「どう特別なんだ?」
「端的に言えばお前には霊力がある。それも普通では有り得んほどに」
いよいよ話がおかしな方向に進みだしたな。
「それのどこが悪いんだ?」
「霊力が強いものは邪霊に狙われやすい。そしてそれはお前の周りにも影響を及ぼす。
お前の両親が死んだのも、今日のような火事があったのもそれが原因なのだ」
こいつの話が本当なら親戚の連中が俺を恐れていたのにも納得できるな。
……待てよ。まさか兄貴にも影響が・・・
「その可能性は高いな。今は何も被害を受けていないがいずれ巻き込まれるだろう。
そしてお前が輪廻の輪に戻れないのはその力が次の生命にも受け継がれる度に力を増し、世界を危うくしかねないからだ。」
「…………」
「そこで、今回紹介するプランはこちら!!」
幼女は後ろに現れたボードのシールを得意げに剥がす。
こいつキャラが安定していないぞ。あとどや顔がうぜぇ!!
「『私が作り出した世界に行って霊力を別の物に変えてしまおう』プランです!!」
「別の世界っていうのは?」
「まぁ、ぶっちゃけハンター×ハンターの世界です。
ここでは霊力がオーラに変わるってことだよ♪」
「テンプレな展開だが勿論願い事はあるだろうな?」
今まで運動もろくにしていない大学生があんな危険いっぱいなところに行けば速攻で死ねるからやはり最低限度の保障はしてくれるべきだと思う。
むしろ当然だろ!!
「う~ん、仕方無いねぇ」
「なら幽遊白書に出てくる仙水 忍にしろ。もちろん霊光烈蹴拳と聖光気、気鋼闘衣付きで、あと多重人格の設定はいらない。」
「なんで仙水なの?他にも強い人いるよ」
「仙水と俺は霊力が強く邪霊に狙われていたという点で一緒だし、名前も同じ忍だ。
それにどこか他人だとは思えないからかな。」
「ふ~んとりあえず納得。で、さっきの願いのことだけど霊力が使えないから全部念能力で実現可能にするために具現化系と放出系を百パーセントにしたの。だから他の系統はせいぜい二十パーセント以下になっちゃうけどいいよね?」
クラピカの緋の目の限定版みたいなところか。
「大丈夫だ。問題ない」
「それは死亡フラグだよ。」
「神は言っている。ここで死ぬ定めでは無いと……」
「私が神なんだけどな~。まぁそろそろ時間だから、最後に何か私に言うことはない?」
「兄貴を頼む」
こんな迷惑体質の俺を育ててくれたのは実質兄貴のおかげだ。感謝してもしきれない。
せめて兄貴だけは幸せになってほしいものだ。
「……もちろん分かっているよ。ではいってらっしゃい」
幼女はふざけた顔をやめ本当に綺麗に笑った。
ああ、こいつはやっぱり神なんだ。
何故かすんなり納得できた。
「いってきます」
そうして俺は消えた。
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