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【国際】

ウルムチ騒乱3年 収まらぬ民族対立

 【北京=渡部圭】中国西部、新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、漢族と少数民族のウイグル族が衝突し、死者百九十七人(当局発表)が出た騒乱事件から五日で三年を迎える。先月末にはウイグル族によるハイジャック未遂事件が起きるなど一部勢力の反発は収まらない。共産党・政府は最高指導部が交代する秋の党大会を控え、締め付けを強めるが、民族対立は依然、中国の大きな不安定要素となっている。

 三日にウルムチ空港を利用した旅行客によると、普段より銃を持った警察官の姿が目立ち、ウイグル族には漢族より厳しい所持品検査が行われている。北京や上海など他都市の空港でも、身体検査などが北京五輪の時のような厳しいレベルに引き上げられた。

 中国各紙によると六月二十九日に新疆南部のホータン発ウルムチ行き旅客機であったハイジャック未遂事件は、二十〜三十六歳のウイグル族の男六人が容疑者として拘束された。動機は明らかにされていないが、金属製のつえや爆発物などを所持し、操縦室を襲おうとしており、乗客を人質に当局側に何らかの要求をしようとした可能性がある。

 自治区トップの張春賢共産党委書記は二日、旅客機内で容疑者を取り押さえた地元公安局幹部やウイグル族を含む乗客ら十人に、一人当たり報奨金十万元(約百二十五万円)を贈呈。「命懸けでテロ分子と格闘した英雄」とたたえた。

 張書記は民族は団結し、「新疆の安定維持は進んでいる」と強調する。だが、騒乱後、中国当局はウイグル族住民への監視を強めたり、旅券発給を制限したりするなど差別的な政策を実施しており、ウイグル族の不満は高まる一方だ。北京在住のウイグル族女性は「漢族の蔑視は騒乱前よりひどくなった」と話し、実際には民族対立が激化しているという。

 

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