名古屋グランパスのMF小川佳純(27)が3日、思い出の国立での今季初ゴールを誓った。7日の柏戦が行われる国立競技場は、小川が市立船橋高3年時に全国高校サッカー選手権決勝で優勝を決める得点を挙げた場所。「自分のサッカー史に残る」と振り返る最高に験がいい国立で、背番号「10」が9年前の再現を狙う。
2003年1月13日。当時全国的には無名だった市立船橋のMFがサッカーファンに衝撃を与えた。超高校級のFW平山相太(現FC東京)らを擁し、全国高校選手権で3連覇を狙った国見の夢を砕いたのが、小川のスーパーゴールだった。後半、ペナルティーエリア外からロングシュートをたたきこんだ。この1点を守りきり、市立船橋が頂点に立ったのだ。
小川はあのシーンを振り返る。「初めて何万人もの観客の前でプレーした試合。がむしゃらにシュートを打ったら入った。決めた瞬間、頭は真っ白になりました」
スター軍団の国見を破った1本のシュート。これが小川にとって大きな自信になった。「ボクのサッカー史において1、2を争う特別な試合です。あの試合には高校3年分の思いが詰まっていた。そこででき過ぎのゴールを決められたんですから」。小川は明大を経てグランパス入り。今では常勝チームの中核を担う。栄光への第一歩が、「国立」だったのだ。
小川が07年にプロ入りして以降、国立競技場でJリーグの試合を戦うのは初めて。気持ちは高ぶる。「Jの試合を国立でできる機会はそうない。やっぱり特別ですね」と語る。まして相手の柏は昨季勝ち点1差で優勝を譲ったライバル。「今のグランパスにとっても重要な試合。レイソルを倒して上にいきたい」と意気込んだ。
今シーズンは13試合に出場してノーゴール。小川は「今季初ゴールを国立で決められたら。少ないチャンスを生かしたい」。得点量産のきっかけをつかむには、願ってもない舞台だ。 (木村尚公)
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