- [PR]
政治
北方領土ビザなし訪問団 進むロシア化 韓国企業も進出
ロシアによる不法占拠が続く北方領土への「査証(ビザ)なし訪問団」が6月28日からの国後(くなしり)、択捉(えとろふ)両島での活動を終え、7月2日に根室港に帰港した。メドべージェフ首相の2度目となる北方領土訪問を前に、両島では道路舗装が急ピッチで進んでいた。択捉島の港湾工事には韓国の下請け企業が参入するなど「ロシア化」が加速し、日本の足跡が薄まりつつある。(楠城泰介)
首相訪問を前に
「皆さんの感情はあくまで感情。否定的な感情もそちらの問題だ」
択捉島を事実上管轄するクリール行政区のオーシキナ区長は、訪問団がメドべージェフ氏の再訪問が日露関係に悪影響を与えると指摘すると、そう強調した。領土問題は存在せず、日本側が一方的に問題視していると言いたげだった。
強気な発言を裏付けるように、両島ではインフラ整備が着々と進んでいる。
島内視察では、昨年9月に開園した幼稚園や今年6月に完成したばかりのディーゼル発電所などを次々と案内された。これらの施設は、露政府の「クリール諸島社会経済発展計画」(2007~15年)の一環で整備されたものだ。
19年ぶりに択捉島を訪れた元島民の小浜暁子さん(75)は「新しい道路ができ、住宅も増えた。昔住んでいた場所もすぐには分からない」とつぶやいた。日本人の島民が郵便施設として利用していた建物は、すっかり朽ち果てていた。
両島の中心部ではロシア人の島民が道路清掃や草刈り、住宅のペンキ塗り替えと首相訪問に向けた準備に追われていた。ロシア人の女性ガイド(65)は「首相訪問を機にインフラ整備がさらに進む」と話した。00~08年の前政権時に比べ政治基盤が盤石とはいえないプーチン大統領が、国民受けを狙い、「地方」の発展を重視していることを織り込み済みのようだ。
このニュースの写真
関連ニュース
- [PR]
- [PR]