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事件
【放射能漏れ】「公的資金を誰の金だと想っているのか」 受刑者に「無条件」賠償
福島刑務所(福島市)の受刑者80人超が東京電力福島第1原発事故の住民賠償を求めていたことが3日、明らかになった。今夏の家庭向け電気料金の値上げを申請する一方、社員には今冬以降のボーナスを支給する予定など、消費者の意識とかけ離れた対応を取ってきた東電。今回は受刑者に「無条件」で賠償金を支払うといい、疑問の声が出ている。
「何人の受刑者に支払っているのか、把握はしていない」。東電の担当者はこう話した。住民からの賠償請求と一緒に管理しているため、今後も受刑者からの請求数を把握することは難しいのだという。
福島県内23市町村の住民に対しては、自主避難の有無にかかわらず支払われるが、これは、避難したかどうかで賠償額に差をつけるべきではないとの政府の原子力損害賠償紛争審査会の見解を踏まえた措置だ。
賠償額は、18歳以下の子供と妊婦を除いて一律1人8万円。対象区域の福島市にある福島刑務所の受刑者も対象だ。東電は「請求期限は設けていない」としており、震災が起きた昨年3月11日時点で収監されていた受刑者が、出所後に請求することも可能だ。
だが、政治評論家の屋山太郎氏は「無条件で支払うとは、とんでもない。東電は公的資金を誰の金だと思っているのか」と憤りを隠せない。
政府が支援した資金は東電が利益から返済するが、東電の賠償負担は除染費用なども含めると10兆円以上に膨らむ恐れがある。結果的に電気料金にはねかえり、国民の負担となる可能性もある。今夏のボーナス支給こそ見送られたが、電気料金値上げ後の料金原価には、東電社員の今冬のボーナスが組み込まれた。
それだけに、屋山氏は「受刑者が放射線の被害や食事制限を受けたというなら分かるが、明確な根拠がないまま賠償していいのか」と疑問を投げかける。
東電によると、23市町村を対象とした賠償金の総額は現在、約2528億円。当初の見積もりを約500億円も上回るペースだ。
コラムニストの辛酸なめ子さんも、「ただでさえ電気料金が値上げされるのに、税金も含まれる公的資金が受刑者に無条件で支払われるのは納得がいかない」と強調。「このような形でお金を得る方法があったのかと驚いている」と話した。
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