SKグループは、株式会社SKが持ち株会社として、エネルギーや携帯電話サービス会社などを傘下に収めている。崔泰源会長はこのSKの株式を0.02%保有するだけだ。崔泰源会長が38%の株式を保有するSKC&Cという会社がさらに上にあり、このSKC&CがSKの株式を38%保有している。
崔泰源会長はグループ企業の株式をほとんど保有していない。他の財閥会長に比べて「支配力」が弱いとされる。グループ企業株の売買を通して資金を集めたり、財テクに走って巨額の損失を出すなどの「事件」を起こすのも、無理をしてでも資金を集め、有力グループ企業の株式を1株でも多く集めようとしているためだとの指摘が多い。
公取委によると、オーナーがいる上位10大財閥のオーナーの持ち株比率は1993年には3.5%だった。これが毎年のように低下し、2012年にはついに1%を割り込んで0.9%になった。つまり、どのオーナーも株式をほとんど保有していないのだ。
韓国の財閥オーナーの支配力の秘密はだから、「内部持ち株比率」の高さにある。公取委の発表資料を見ると、オーナーがいる上位10大財閥の内部持ち株比率は、2011年に初めて50%を超えたが、2012年には55.7%にまで跳ね上がった。
内部持ち株比率が高い、つまりグループ系列企業同士で株式を持ち合うことで、外部勢力の買い占めなどを防ぎ、オーナー家による支配も可能にしているのだ。
大株主の地位を守れなくなったオーナー家、世代交代も絡み大問題に
どうしてこんなことになっているのか。理由は簡単だ。企業がどんどん成長して時価総額が大きくなりすぎ、オーナーといえども、とても株式を買い続けることなどできなくなったのだ。10大グループの株式時価総額の合計は2012年4月末時点で737兆ウォン(1円=14ウォン)だ。
いくらオーナーが資産家だと言ってもとても「大株主」の地位を守りぬくことなどできない。
2007年に流通大手の新世界グループのオーナー家は、父親が子供たちに株式を贈与した。このときに発生した相続・贈与税は3500億ウォンだったと言われている。新世界グループの場合、「堂々と経営権を継承する」として韓国史上最高額の相続・贈与税を株式で納付したが、これは例外中の例外だ。
この当事、ポスコの会長が「高額の相続・贈与税を払う必要があり、韓国ではそのうちにオーナー経営はなくなる」と発言したことがあるが、現実はまったくそうは進んでいない。
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