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与党が原因で国会が空転する異常事態(前編)

世耕弘成

2012年07月03日 11:43

現在、国会は与党が機能不全に陥っていることが原因で空転するという前代未聞の状況にある。

詳細な経緯がメディア等で正確に伝えられていないので、2回に分けてきちんとご説明しておきたい。

ここまで自民党は野党の立場を超えて、正常な国会運営に全面的に協力してきた。

自民党にも、私も含めて消費税増税に前向きではない議員が少なからずいる。しかし党内の議論を通して、増税に賛成が大勢であることが判明し、役員会、総務会、全議員支部長懇談会等の手続きがきちっと行われたことをふまえて、増税関連法案に対する党としての対応を総裁に一任した。

自民党は野田総理が「6月21日の会期中に衆議院で採決することに政治生命を賭ける」と言っていることを重視して、21日までに採決できるよう、実務者の交渉を加速し、15日には3党合意を成立させた。まさに「大人の対応」を取ってきた。

それに対して、まず採決までの民主党の対応は稚拙そのものだった。6月15日の三党合意が成立してから税調全体会議、政調全体会議といった党内の平場の議論を始める始末だった。三党合意が成立してから一体何の議論をするというのだろうか?

法案、修正案の作成も完了して、ひたすら待っている自民党に対する民主党の説明は「政調全体会議で執行部一任を取り付けるまで待ってくれ」というものであった。

6月19日夜に民主党政調全体会議が行われるということだったので、自民党は2法案と6修正案を衆議院提出の体裁に完全に整え、法案等を受け取る立場である衆議院事務総長を深夜まで待機させ、また翌20日に委員会採決、本会議採決が行わえるよう関係者が待機しながらひたすら待ち続けた。深夜、民主党政調全体会議が「前原政調会長一任」の形で終了したので、「さあ法案、修正案を提出して、明日の採決に向けて動こう」と自民党が促すと、民主党は「法案提出には政府与党3役会議を経なくてはならない」と今まで説明していなかった党内手続きを持ち出し、自民党側の待機を徒労に終わらせた。

政府与党三役会議は翌20日午前に終了した。自民党は改めて法案、修正案提出と採決を求めたが、今度は「夕方に全議員懇談会を開催するから待ってくれ」言い出した。再三の引き延ばしである。

しびれを切らした自民党が強く求めた結果、20日夕方にようやく法案、修正案が国会に提出された。しかしこの時点では少数党に法案、修正案への十分な質疑時間を確保することを考えると、21日の採決は絶望的な状況になった。野田総理が「政治生命を賭ける」と明言していた21日までの衆議院採決はいとも簡単に反故にされた。

参議院での審議時間を考えると、かなり前から国会会期延長は不可避の状況だったが、延長の手続きが取られたのは会期最終日の21日だった。

延長が決まった後も、民主党の意味のない引き延ばしが繰り返され、野田総理が明言した期限を遙かに超えた6月26日に採決が行われることになった。

採決では欠席も含め72名の造反が民主党から出た。そしてその後も民主党の機能不全による国会の混乱、機能停止が続くのである。(続く)

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自民党幹事長代理。ネットと政治に関する活動も行う。

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